ウェネトさまの館

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「終わりのむこうへ:廃墟の美術史」(松濤美術館)

2018年12月16日 06時24分13秒 | 展覧会・美術関連

一昨日は朝イチで、渋谷区立松濤美術館「終わりのむこうへ:廃墟の美術史」を観たのでございます。
http://www.shoto-museum.jp/exhibitions/181haikyo/
(展示室以外は写真撮影可)

西洋古典から現代日本まで、廃墟や遺跡をテーマにした作品で「廃墟の美術史」を辿る展覧会。
18世紀頃の廃墟の絵画や銅版画が好きでございますゆえ、楽しみにしておったのじゃ。

73点の作品が6章構成で展示されておりまする。お気に入りや気になった作品もリスト順に。
まずは2階の第1会場じゃ。

【Ⅰ章 絵になる廃墟:西洋美術における古典的な廃墟モティーフ】

17~18世紀に廃墟を描いて名を馳せた画家たちと、18~20世紀に廃墟主義を受け継ぐように描いた画家たち。

・ユベール・ロベール《ローマのパンテオンのある建築的奇想画》
本展のフライヤーになっている作品で、ペンと水彩で描かれておりまする。

・アシル=エトナ・ミシャロン《廃墟となった墓を見つめる羊飼い》
初めて知った画家じゃが、25歳で早世した画家で、この美しい油彩は20歳の時に描いたそうな。

・アンリ・ルソー《廃墟のある風景》
ここでルソーが登場するとは嬉しい驚き。

【Ⅱ章 奇想の遺跡、廃墟】

18~19世紀にかけて“廃墟趣味”が流行ったのは、イタリアで遺跡の発掘が相次いだ事と、上流階級のご子息の間でグランド・ツアーが流行し、お土産としてそのような絵画の需要が高まったからだそうな。
画家が勝手に空想や誇張も加えた奇想の廃墟も出現。

・ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージ
大好きなピラネージのエッチングが6点並んでおるのが嬉しいのぅ。
廃墟と共に、グランド・ツアーの参加者らしき方々も描かれておるぞよ。
《『ローマの古代遺跡』(第2巻II)より:古代アッピア街道とアルデアティーナ街道の交差点》は、緻密な描写がリアルなだけに、「なんじゃこりゃ~!」感も激しく、思わず笑ってしまうがの。

ジョン・コンスタブルのメゾチントや、ウジェーヌ・イザベイのリトグラフも好みでございます。

2階ホールのお写真撮影コーナーには、ピラネージ《 『ローマの景観』より:シビラの神殿、ティヴォリ(背後から)》を元にした大きなバナーが。

わたくしも、当時の廃墟マニアの仲間入り。


 
【Ⅲ章 廃墟に出会った日本の画家たち: 近世と近代の日本の美術と廃墟主題】

廃墟趣味な輸入版画を元に制作された江戸時代の浮世絵や、欧米に留学した画家の廃墟趣味を取り入れた作品や、昭和の近代産業の遺産を廃墟として取り入れた作品など。

・歌川豊春《浮繪アルマニヤ珎藥物集之圖》
ローマのあちこちの遺跡とローマ人と日本の風景が合体した、奇妙な錦絵。

・不染鉄《廃船》
手前に並ぶちっちゃい家々の向こうに、画面の横一杯な巨大廃船。
亡霊がたくさん乗ってそうで怖いぞよ。

怖いと言えば、難波田龍起《廃墟(最後の審判より)》も、血の如き色彩の中で人々がうごめいて怖うございました。
藤島武二《ポンペイの廃墟》や岡鹿之助《廃墟》は綺麗な作品。

お次は地下1階の第2会場へまいるぞよ。


 
【Ⅳ章 シュルレアリスムのなかの廃墟】

大好きなデルヴォーやマグリット登場。キリコもございます。

・ポール・デルヴォー《海は近い》
以前にも観たこの作品、好きなのじゃ。
古代と近代も入り交じる幻想世界。

・ルネ・マグリット《青春の泉》
これも何度も観たお気に入り作品。
ピンク色の夕焼け空。大きな鷲の石碑に刻まれた「ROSEAU」(葦)の文字。

【Ⅴ章 幻想のなかの廃墟:昭和期の日本における廃墟的世界】

シュルレアリスムの影響を受けた日本の画家たちの作品。
浜田浜雄《ユパス》と、槫松正利《夢》が気になりまする。

【Ⅵ章 遠い未来を夢見て: いつかの日を描き出す現代画家たち】

・麻田浩《旅・卓上》
麻田浩、昨年の練馬区立美術館で没後20年展「静謐なる楽園の廃墟」を観て、衝撃を受けましたのじゃ。
この作品は、レオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》の廃墟のような作品。

・元田久治《Indication:Shibuya Center Town》
この美術館に行く時も通った渋谷のスクランブル交差点が・・・ガクガクブルブル

・野又穫《交差点で待つ間に》
同じく渋谷の交差点。待っている間にこんな事になったら・・・ガクガクブルブル
ちなみにこの作品は、Ⅱ章に展示のピラネージ《古代アッピア街道とアルデアティーナ街道の交差点》のオマージュから、廃墟の渋谷を描いたそうな。

たいそうツボな展覧会でありました。
一昨日は渋谷区民無料デーで混んでおるかと懸念したが、まだ会期始まって間もないせいか、貸切状態でじっくり観られてラッキーじゃった。


 
会期は1月31日まで。ご興味ある方はお早めにの。


 
観終わって、東急本店地下のミカドコーヒーでミックスソフトをば。
カップかコーンを選べまして、カップはプルーンが付いてくるのじゃが、このプルーンがふっくらして美味しいのじゃ。
10個くらいのせてたもれ~。


 
そして、ちむさんに教えていただいたGREEN-EYED CREATIONの立体カード購入。
満月の夜にだけ開かれる海底サーカスの舞台が3層になっていて、とっても素敵なのじゃ。
これ、シリーズ化して色々出して欲しいのぅ。


 
★おまけYouTube動画
先日、お友達のモランさんとの会話で、昔お供のEが大大大好きだった、アンドレアス・ショルの話になり、ここ数日また色々聴いておりますのじゃ。
ショルのCDは、たくさん集めましたからのぅ。
1999年のコンサートの動画じゃが、癒やしの歌声を1曲貼っておきまする。