ウェネトさまの館

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もうひとりのル・コルビュジエ 絵画をめぐって(大倉集古館)

2024年07月25日 20時20分01秒 | 展覧会・美術関連

大倉集古館東京「大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ~絵画をめぐって」を観たのでございます。
https://www.shukokan.org/exhibition/

大成建設のル・コルビュジエ・コレクションから約130点の作品を展示し、美術作家としての業績を紹介。

わたくし今まで、ル・コルビュジエは建築家だと思うておったのじゃ。
実際、7カ国にある17資産が、ユネスコの世界文化遺産に登録されておるしの。

お恥ずかしい事に、絵画作品も数多く制作しておったとは全く知らなんだ。
そして、大成建設がル・コルビュジエの絵画を大量に購入していた事も、初めて知ったのでございます。

構成は以下の通り。
1階が第3章と4章、2階が第1章と2章になっておるが、1階で特徴的な作品を観てから、2階でそこに至るまでの流れを観るという構成だそうな。
リストもこの順番じゃからの、気になった作品などもリスト順に書きまする。

★1階
【第3章:象徴的モチーフ 牡牛 一角獣 イコン モデュロール 開いた手】

《牡牛XVIII》1959 グアッシュ、カンヴァス
赤、黄、オレンジなどパキッと鮮やかな色彩。牛はデフォルメされまくっておる。

《開いた手》1948 紙、インク、グアッシュ
重要なモチーフである「開いた手」の意味も興味深い。

《直角の詩 B-2》1955刊 リトグラフ
本展のメインビジュアル。「モデュール(基準の尺度)」と「ノンブル・ドール(黄金比)」を組み合わせた独自の尺度「モデュロール」で描かれた人物・モデュロール・マンと、黄金比の巻き貝。

《女の顔(イヴォンヌ・ガリ)》1929 紙、鉛筆
ル・コルビュジエが生涯愛した妻。大きな目が印象的じゃ。

【第4章:グラフィックな表現】

《一角獣》1951 紙、インク
翼のある一角獣はオリジナルキャラクター。ぷぷっと笑ってしまう可愛さ。

《直角の詩》1955刊 リトグラフ
リトグラフによる版画集。第3章の《直角の詩 B-2》もその1点じゃが、この章には10点ほど並んでおりまする。
上段右から2番目のフクロウの絵が可愛くてお気に入り。

《イコン》1963 木、スチール軸
友人の家具職人ジョセフ・サヴィナと2人で制作。
ル・コルビュジエが下絵を描き、サヴィナが立体化し、ル・コルビュジエ彩色を施しておるのじゃ。

《奇妙な鳥と牡牛》1957 ウール織物
モデュロールの寸法に従って織られた大きなタピスリーで、牡牛や鳥や組み合わされた手など、色々なモチーフが。

★2階
【第1章:ピュリスムから 詩的なオブジェまで】

《レア》1931 油彩、カンヴァス
庭らしき場所のテーブルの上にギターらしき物、黄色いドアを開けて出てくるのが青い貝殻らしき物(これが「レア」かの?)。シュールじゃ。

《青い靴の裸婦 》1929 紙、チョーク、鉛筆
ボディビルダーのようにポーズを取るふくよかで逞しい裸婦。青い華奢なハイヒールとのギャップが・・・

【第2章:女性たち 踊る女性 たくましい女性 くつろぐ女性 人体の変容】

《着物を脱ぐ二人の女》1930 紙、インク、チョーク
女性たちが着物を脱ぐ場面じゃが、これから戦いでも始まりそうな逞しさ。

《サーカス 女性と馬》1929 油彩、カンヴァス
真っ赤な馬の首に腕を回す逞しい女性。
女性は馬と同じ大きさで、スキンヘッドにレスリングのような衣装を着ておる。
足元に座る犬がアヌビスチック。

《長椅子 ソファに座る裸婦と犬、カラフェ》1934 油彩、カンヴァス
ソファに座る妻イヴォンヌが、ぐんにゃり溶けておる。

《アコーディオンに合わせて踊る女性》1949 油彩、カンヴァス
踊る女性がアコーディオン人間のようじゃ。

地下へ行く前に2階のテラスでひと休みしようと思うたが、暑過ぎて退散w

★地下1階
【建築模型と書籍】
わたくしは模型好きじゃからの、建物の模型が5点あるのも嬉しいぞよ。

《クルチェット邸 模型》2000制作 ボード紙
アルゼンチンの医師、ペドロ・クルチェットとその家族の為の住居兼診療所。
スロープが吹き抜けになっていたりなど、開放感のある明るい建物。

《国立西洋美術館 模型》1997制作 ボード紙
ル・コルビュジエと聞いて真っ先に思い出すのがこの建物。
当初ル・コルビュジエは、劇場、企画展示館、図書館などからなる「美術文化センター」を構想したが、美術館以外は実現しなかったのじゃ。残念な事よのぅ。

全く知らなかったル・コルビュジエの一面を知る事ができ、たいそう興味深うござりました。
会期は8月12日まで。

そして、ドトールの黒糖ソフトクリームでひと休み。

★本の話
らしかさんから教えてもらった2冊の本を読んだのでございます。

劉慈欣『流浪地球』

以前この作家の『三体』を読んだが、3巻5冊という長大で壮大な大風呂敷で面白かったのじゃ。

これは6つの短篇集じゃが、やはり壮大な大風呂敷で、どれも発想が凄い!
『三体』を彷彿とさせる部分もございます。

「中国太陽」と「呑食」特にお気に入り。「山」の結末も気になる。
劉慈欣を初めて読む方は、いきなり『三体』から入るより、こちらがお勧めやも知れぬ。

乙一『一ノ瀬ユウナが浮いている』

乙一の小説は、これまでメンタルにジワジワくる怖い話しか読んでおらんかったゆえ、こういう物語も書くんだ~とビックリ。
怖さは皆無なれど、この切なさはやはり乙一よのぅ。