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ウェネトさまの館

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美男におわす(埼玉県立近代美術館)

2021年10月29日 20時05分17秒 | 展覧会・美術関連

埼玉県立近代美術館「美男におわす」(後期)を観たのでございます。
https://pref.spec.ed.jp/momas/handsome-men-they-are
(一部のみ写真撮影可)


 

コロナ禍で、都外の美術館へは1年ほど行っておらんかったが、美男画が大好きなわたくし、この展覧会はどうしても観たかったのじゃ。
美女がテーマの展覧会はたくさんあれど、美男ばかり集めた展覧会はそうそうないからのぅ。

お天気も良く、美男日和じゃ。
埼玉県立近代美術館は、2018年以来ご無沙汰じゃった。


 

『かまくらや みほとけなれど 釈迦牟尼は 美男におわす 夏木立かな』与謝野晶子

本展は、日本の視覚文化のなかの美少年、美青年のイメージを辿る展覧会。
近世絵画、浮世絵、近代日本画、挿絵、現代作家の作品、マンガなどなど、様々な美男が前・後期合わせて約190点も展示。
前期も観たかったのじゃが、隣県への移動は自粛していたからのぅ。しくしく

展示室はお2階じゃよ。いざ!美男の園へ♪


 

構成は以下の5章。 

【第1章:伝説の美少年】

・入江明日香(写真撮影可)
入ってすぐの入江明日香のコーナーは、嬉しい事に写真撮影OKなのじゃ。


 
好きな作家じゃから3点載せるぞよ。

《L'Alpha et l'Oméga》ミクストメディア 六曲一双屏風
横幅が約10mもあるからの、右隻と左隻の部分をば。


 
《持国天》《廣目天》ミクストメディア


 

ここから第4章までは、お気に入りや気になった作品をリスト順に載せまする。
たくさんあって書ききれぬゆえ、一部だけじゃがの。

・狩野養川院惟信《菊慈童図》絹本着色 軸
菊慈童は不老不死の美少年のはずじゃが、少年というには・・・老けちょる(ごめんなさい~・逃)

・松元道夫《制多迦童子》絹本着色 軸
全身まっ赤な童子。愛らしくもキリッとした表情。

・蕗谷虹児《天草四郎(『名殘の繒姿』口絵原画)》彩色、紙
少女の如き天草四郎。背景には海と帆船。

【第2章:愛しい男】

・鈴木春信《風流艶色真似ゑもん まねへもん十四》木版、紙
仙女に団子をもらって小さくなった“真似ゑもん”こと浮世之介の様子が笑える。

・吉川観方《入相告ぐる頃》絹本着色 二曲一双屏風
卒業制作として描かれ、買い上げとなった作品とか。右隻の右端の若衆が可愛い。

・村山槐多《二人の少年(二少年図)》水彩、紙
江戸川乱歩が所蔵していた作品。

・金子國義(写真撮影可)


 
《メッセージ》油彩、カンバス


 

・山本タカト
《天草四郎時貞、島原之乱合戦之図》アクリル、紙
緻密に描かれた凄惨な戦場で、ふたりの天草四郎が凜々しく美しい。
山本タカトは好きな作家で、3点の作品に再会できて嬉しゅうござりました。

・魔夜峰央
《「翔んで埼玉」PARTⅡトビラ》インク、水彩、紙
妖艶な麻実麗。そういえばここは埼玉じゃ。真っ赤な薔薇も翔んでおる。
他に「パタリロ」の原画も色々ございました。

【第3章:魅せる男】

・絵師不詳 《大小の舞図》紙本着色 軸
黒・赤・白の華やかカッコいい衣装を着て、扇を翳して踊るお姿が躍動感あり。

・山村耕花《梨園の華 初世中村鴈治郎の茜半七》木版、紙
このお方、華やかで柔和な物腰の芸風と色気ある目遣いで評判だったそうじゃが、全くその通りに描かれちょる。

・歌川豊国(三代)《当世好男子伝 九紋龍支進に比す のざらし語助》木版、紙
「当世好男子伝」は3点展示で、3人のアウトローいずれも入れ墨と着物の柄が凄いのじゃ。
こちらのお方は、9匹の青竜の入れ墨と、髑髏の柄の着物。

【第4章:戦う男】

・月岡芳年《魁題百撰相 松永春松》木版、紙
13歳で斬首される少年の、死を目前にした表情が何とも・・・

・高畠華宵《月下の小勇士》印刷、紙
弥生美術館でお馴染みの作品。
手負いの少年と庇う少年、この後ふたりとも切られるのじゃろか。

・高畠華宵《さらば故郷!》印刷、紙
故郷を離れようとする少年と、着物の裾を咥えて引留めようとするワンコ。
たくさん展示されている高畠作品の中で、これは微笑ましい作品。

・山口晃《夢枕貘 著『大帝の剣』(角川文庫)装画》ペン、墨、水彩、紙 3枚組
わたくし、山口画伯の作品とトークの大ファンなのじゃ。
夢枕貘『大帝の剣』は読んだ事ないが、万源九郎とやらのマッチョぶり凄く、背景の漫画チックな部分も面白い。
柳生十兵衛と佐々木小次郎の場面は、「シャキーン!」と刀の音が聞こえまする。

【第5章:わたしの「美男」、あなたの「美男」】
この章は最後の2つの部屋が写真撮影可なので、観た順に載せまする。

・竹宮惠子《少年オーギュスト(『風と木の詩』より)》原画ダッシュ
バラを持ってソファで寛ぐオーギュスト、美しい~。
原画ダッシュ5点と雑誌の表紙2点ございました。

・よしながふみ《『大奥』『メロディ』2006年4月号表紙/2巻口絵)》複製原画
万里小路有功の出家姿と還俗したお姿、どちらも綺麗。
『大奥』の複製原画を観るのは初めてで、10点観られて嬉しゅうござりました。

ここから写真撮影可のエリアじゃ。まずはこちらの小さなお部屋。


 

・唐仁原希
よく観ると、ミルキーが飛んでたり、NIVEAが潜んでいたりなど、意外なものが描き込まれておる。
《キミを知らない》 油彩、カンバス


 
《旅に出る虹の子ども》油彩、カンバス


 

・𠮷田芙希子
《 風がきこえる》ポリエステル樹脂、FRP、サーフェイサー


 

その奥の広い空間へまいるぞよ(他に人がおったゆえ全景写真は撮らず)

・木村了子


 
《男子楽園図屏風 − EAST & WEST 》紙本着彩 六曲一双屏風
横長いので分けまする。右隻に肉食系男子、左隻に草食系男子。


 

・金巻芳俊
《空刻メメント・モリ》木彫、榧、楠に彩色


 
《空刻メメント・モリ》ドローイング、鉛筆、コンテ、紙


 

・川井徳寛
たぶん初めて観る作家な気がするが、ツボじゃったゆえ3点載せまする。 
《共生関係~自動幸福~》油彩、カンバス


 
左《Sleep collector》油彩、カンバス
右《 相利共生/Mutualism~automatic ogre exterminator》油彩、カンバス


 

・井原信次 
《Daily gate 》油彩、パネル


 

・森栄喜


 
《"Untitled" from the Family Regained series》ゼラチン・シルバー・プリント


 

・海老原靖
《colors》油彩、カンバス
32人の男性は、映画俳優や作家をモデルに描かれておるそうじゃが、映画あんまり観ておらぬから俳優が誰なのか全然わからぬ。
ちなみに眼鏡と蝶ネクタイの男性は、作家の自画像とか。


 
この中でひとり選ぶなら・・・う~む、この子かのぅ。


 

美男ばかりを集めた展覧会、美男の幅も広く、観応えあってたいそう楽しゅうござりました。
前期を観逃したのが悔やまれまする。
前期は山岸凉子のカラー原画もあったそうじゃしのぅ。
会期は11月3日まで。


 

そして、ミスタードーナツでハロウィーンのおばけ捕獲。
ふわっとおばけとまっくろチョコねこじゃ。
甘さは控え目ゆえ練乳かけるのはオヤクソク。エヘ


 

★本の話
『少年愛文学選』
稲垣足穂、江戸川乱歩、折口信夫、川端康成、中井英夫、堀辰雄などなど15名の作家の短編集。
今回の「美男におわす」で作品が展示されている村山槐多の作品も載ってるし、展覧会とカブる部分もあるかと読んでみたのでございます。
村山槐多の『ある美少年に贈る書』、ちょっと怖い・・・