数日前の話になりまするが、東洋文庫ミュージアム「フローラとファウナ 動植物誌の東西交流」を観たのでございます。
http://www.toyo-bunko.or.jp/museum/exhibition.php
(写真撮影可)
今年はシーボルトの来日から200年の節目だそうな。
本展は、シーボルトの代表的な著作をはじめ、動植物の図鑑・図譜を展示し、日本と西洋それぞれの自然に関する学問の発展、知の東西交流の足跡を辿るという展覧会。
だいたい観た順に、気になった本も一部載せまする。
展示には全て丁寧で分かりやすいキャプションがございますが、ここでその内容は書きませぬゆえ、ご興味ある方はぜひ会場でお確かめくだされ。
★企画展示室
【博物学の東西―古代・中世】
『薬物誌』ディオスコリデス 50-70年成立(1955年、バルセロナ刊)
薬理学・薬草学の父
『毛詩名物図説』徐鼎 1771年刊
実際のところ、どんな生き物とか植物なの?
★回顧の道
(左)『三才図会』王圻 1609(万歴37)年刊
右ページに描かれているのはいったい何でしょう?
(右)『和漢三才図会』寺島良安 1715(正徳5)年刊
江戸時代の絵入り百科事典
『三才図会』のなかの不思議な生き物から「鼯(むささび)」をば。
【近世・近代ヨーロッパの博物学(1)】
『セイロン植物誌』リンネ 1748年 アムステルダム刊
現在も用いられる「リンネ式階層分類体系」の生みの親
『ジャワの植物誌』ブルーメ 1828-58年 ブリュッセル、アムステルダム刊
ニオイが強烈なのでご注意ください(ラフレシア)
【近世・近代ヨーロッパの博物学(2)】
『茶の国、中国への旅』ロバート・フォーチュン 1852年 ロンドン刊
すべては美味しい茶のために
【江戸から明治へ 本草学の発展と変容(1)】
『大和本草』貝原益軒 1709-15年
日本の博物学の夜明け
『物類品隲』平賀国倫(源内)編 1763(宝暦13)年
博物学は国の豊かさにつながるかも?
【江戸から明治へ 本草学の発展と変容(2)】
『草木図説』飯沼長順(慾斎)1857(安政3)年
日本近代植物学の幕開け
『日本植物志図篇』牧野富太郎 1888-1891(明治21-24)年
植物図鑑のルーツはここにある
【知の東西交流―オランダ商館医とNIPPON】
『NIPPON』シーボルト 1832-52頃 ライデン刊
日本研究の集大成
『日本動物誌』シーボルト 1833-50頃 ライデン刊
お医者さんがどうして動物図鑑をつくったの?
『日本植物誌』シーボルト 1835-70頃 ライデン刊
植物をとおして日本を想う
【本の中できらめく生命 東西の図鑑・図譜の名品】
『本草図譜』岩崎灌園 1828(文政11)年完成
写生の腕もみがいてきました
『魚譜』作者未詳 19世紀(江戸後期)
雲母を使った魚の腹の表現がリアル
『アジアの鳥類』J.グールド 1850-53 ロンドン刊
鳥に魅せられた男のライフワーク
『中国・日本・朝鮮の蝶類』ジョン・ヘンリー・リーチ 1892-94 ロンドン刊
チョウきれい!!
【植物を愛でる心―日本の園芸文化】
『桜花聚品』作者、制作年不明
吉宗さま、素敵な風習を広げてくれてありがとう!
『紅葉図譜』作者不明 18-19世紀(江戸後期)
春に桜、秋に紅葉
★名品室
【記録された記憶―東洋文庫の名品でたどる世界の歴史】
『妙法蓮華経』1070年頃書写 ネパール
サンスクリット語の名称は「サッダルマ・プンダーリカ・スートラ」
『リンスホーテン航海記』リンスホーテン 1596年 アムステルダム
新たな航路で、いざアジアへ!
『夷匪犯境録』編者不明 1844年頃
日本に伝えられたアヘン戦争
デジタルブックも2種類ございます。こちらは、
『ウォルタース蒐集東洋陶器図説』(デジタルブック)S.W.ブッシェル編 1897年 ニューヨーク刊
自慢のコレクションをご覧あれ!
★モリソン書庫
シーボルト文献など。
★オリエントホール
「岩崎久彌の故郷『土佐』偉人伝」
様々な本も丁寧な解説も、たいそう興味深く観応えあり、予定の時間をかなりオーバーしてじっくり観たのでございます。
会期は5月14日まで。会期も長いし再訪しようかの。