ウェネトさまの館

ようこそいらっしゃいました。
ビスうさ・ウェネトと申します。
どうぞごゆるりとおくつろぎ下さいまし。

大英博物館 北斎(サントリー美術館)& 写真家エリオット・アーウィット作品展(フジフイルムスクエア)

2022年04月28日 20時52分01秒 | 展覧会・美術関連

サントリー美術館「大英博物館 北斎 ―国内の肉筆画の名品とともに―」を観たのでございます。
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2022_2/index.html
(指定の2点のみ写真撮影可)


 
大英博物館所蔵の葛飾北斎コレクションを中心に、北斎が60歳から90歳で亡くなるまでの30年間に焦点を当て、約120点の展示。
大英博物館の日本美術コレクションの形成に寄与した6人のコレクターも紹介されておりまする。

大英博物館のコレクションは、状態が良くて色も綺麗じゃのぅ。
国内の肉筆画も展示されており、嬉しゅうござります。
キャプションも丁寧で分かり易いぞよ。

展示替えは前・後期のみで、今は前期。
構成は以下の6章。気になった作品の一部もリスト順に。(作家名を書いてないものは北斎作品)

【第1章:画壇への登場から還暦】
・《為朝図》一幅 大英博物館 (写真撮影可)
絹本着色。源為朝が訪れた島の住民達と力比べをして、己の怪力を誇る場面じゃよ。


 
・『日本絵画芸術』ウィリアム・アンダーソン 一冊 大英博物館
上の《為朝図》が載ったページを開いて展示。
外科医ウィリアム・アンダーソンの蒐集品は、大英博物館の日本画コレクションの礎を築いたのじゃ。

【第2章:富士と大波】
・《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》横大判錦絵 大英博物館 (写真撮影可)
北斎と聞いてまず思い浮かべる作品のひとつじゃ。
合成化学顔料のプルシアンブルーが使われておりまする。
本シリーズ中で特に人気が高く、長年にわたり8000枚程度も摺られたそうで、江戸の人々は蕎麦2杯分よりやや高いくらいの値段で入手できたとか。

 
 
・《冨嶽三十六景 凱風快晴》横大判錦絵 大英博物館
通称「赤富士」。ギメ東洋美術館では「ピンク富士」とか。

・《冨嶽三十六景 山下白雨》横大判錦絵 大英博物館
夏の午後、赤い富士の右下に黄色い稲妻。

【第3章:目に見える世界】
・《諸國瀧廻り 美濃ノ国養老の滝》大判錦絵 大英博物館
緑の山から流れ落ちる養老の滝、清涼感ありあり。

・《諸國名橋奇覧 飛越の堺つりはし》横大判錦絵 大英博物館
手摺りのない細い吊り橋、渡るのが怖すぎるぅぅぅ。

・《諸國名橋奇覧 かうづけ佐野ふなはしの古づ》横大判錦絵 大英博物館
『伊勢物語』にも登場する橋じゃが、これは橋に高低差がつけられ、人々も江戸時代の服装。

・《芙蓉 雀》横大判錦絵 大英博物館
芙蓉の横で落下するように飛ぶ黒目のクリッとした雀がたいそう可愛い。

・《藤 鶺鴒》中判錦絵 大英博物館
枝垂れた綺麗な藤の横で、長い尾を上に向けたセキレイの、足の踏ん張り具合と目つきの悪さもツボw

・《文鳥 辛夷花》中判錦絵 大英博物館
こぶしの枝に、くにゃっとしたポーズでとまる文鳥、色がシナモン文鳥チック。
上記の《藤 鶺鴒》と並べて展示されておるのも良い感じ。

・《滝に鯉》長大判錦絵 大英博物館
勢いよく流れ落ちる滝を登る鯉と、滝の下で大きな目でこちらを見る鯉。

・《若衆図》一幅 大英博物館
女性と見紛う青年。深緑地に桜模様の着物からチラリと紅色。長い脇差し。

【第4章:想像の世界】
・《小野小町》大判錦絵 大英博物館
大英博物館が入手した最初の北斎作品とか。

・《詩哥冩真鏡 安倍の仲麿》長大判錦絵 大英博物館
「詩哥冩真鏡」は、日本の歌人を宮廷風衣装で、中国の詩人を異国風の服装で描いたシリーズ。
安倍仲麿が、唐の満月を見上げて故郷を偲ぶ場面。

・《詩哥冩真鏡 李伯》長大判錦絵 大英博物館
真っ直ぐ流れ落ちる滝が、縦長の画面をパッキリ二分する構図。

・《百人一首乳母がゑとき 柿の本人麿》横大判錦絵 大英博物館
柿本人麻呂の「あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」がテーマじゃが、絵は引き網を手繰る漁師たちで、たき火の煙が山裾の一軒家へ流れてゆきまする。

・《百物語 笑ひはんにや》中判錦絵 大英博物館
血の滴る幼児の生首を掴み、ニタリと笑う般若。怖ろしや~。

【第5章:北斎の周辺】
・『日本の画家』アーサー・モリソン 二冊のうち 明治学院大学図書館
小説家アーサー・モリソンは日本の版画コレクターで、大英博物館の日本画コレクションを築いたおひとりじゃ。

・《ロンドン夜景》(前期のみ展示)下村観山 一幅 三溪園
下村観山のイギリス留学中の作品で、霧のロンドンの夜が没骨法で描かれておりまする。
下村は、イギリスでモリソンと交流があったそうな。

【第6章:神の領域―肉筆画の名品―】
・《流水に鴨図》一幅 大英博物館
斜めに横切る流水の上に2羽の鴨。1羽は水に潜って尻尾だけ出しておる。

・《鯉亀図》(前期のみ展示)一幅 埼玉県立歴史と民俗の博物館
2匹ずつの鯉と亀がリアルで、今にも動き出しそうじゃ。

・《河骨に鵜図》一幅 大英博物館
黒い鵜の羽毛がふわふわ~。黄色の河骨の花と水草の茎。

・《肉筆画帖》(後期は場面替)一帖 北斎館
全10図から成る画帖。リアルな鳥たち。鷹の羽毛と目つき、小鳥の愛らしさ。

・《白拍子図》(前期のみ展示)一幅 北斎館
白拍子は、平安末期から鎌倉時代にかけて流行した歌舞で、主に主に男装の女性や子供が舞ったのじゃ。
白水干に紅長袴。白鞘巻の太刀。下げ髪に立烏帽子。

6階では、約10分の特別映像も上映されておりまする。
「北斎館」で上映されている映像を、北斎の生涯を中心に纏めた映像じゃよ。

ショップには、大英博物館のグッズもございました。

会期は6月12日まで(前期は5月16日まで。後期は5月18日から)
後期の《弘法大師修法図》とかも観たいし、再訪しようかの。

そして東京ミッドタウンでもうひとつ、1階のフジフイルム スクエア 写真歴史博物館「写真家 エリオット・アーウィット作品展 観察の美学 筋書きのない写真たち」も観ましたのじゃ。
https://fujifilmsquare.jp/exhibition/220331_05.html


 
エリオット・アーウィットは1928年にパリで生まれ、11歳の時にアメリカに移住。
1949年以来、ニューヨークを拠点に約70年にわたり活躍してきたのでございます。

お供のEが初めてアーウィットの写真作品を観たのは2007年、シャネル・ネクサス・ホールの個展で、たいそうツボだったのじゃ。

本展では、往年の名作から1980~90年代に制作されたオリジナル・プリント25点が展示されておりまする。
写真撮影不可なのが残念じゃが、素敵な作品揃いですぞ。
会期は6月29日まで。入場無料。

観終わって、地下1階のDEAN&DELUCAでおやつじゃ。
キャロットケーキをお願いいたしまする~。


 
ボリュームもあるし美味しいのじゃが、フロスティングが酸っぱ~。
かなりレモンが入っておるのぅ。もうちょっと酸味がなければもっと好みなんじゃがのぅ・・・