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今年の3月、日本の「ペトロ岐部と187殉教者の列福式」が
今年の11月に長崎で挙行される予定というニュースが
カトリック信者の間を駆け巡っていましたが、二ヶ月ほど前、
来年の11月の挙行が正式決定となったようです。
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/feature/kibe_187/
press070929.htm
殉教したペトロ岐部について、こちらに詳しく書かれています。
http://pauline.or.jp/modules/
areopagosu/index.php?page=article&storyid=21
今回は188人の一度の列福という大規模なものですが、それでも
日本の殉教者、特に女性や子供の殉教者に関してはこれまで
未だ充分に調査されておらず、こうした調査が進めば更に福者と
して認定される人の数が何倍にも増えると思います。
個人的には「長崎著聞集(ながさきちょもんしゅう)、公教遺事」に
散見される殉教者であるとされる、芥川龍之介が愛したという、
「神聖な愚人」、「じゅりあの・吉助」の事が気になります。
「じゅりあの・吉助」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/63_15200.html
記録されているという以上、実在した人間であると思いますが、
単純にして素朴であり、磔刑時には奇しき現象があったとされる
「じゅりあの・吉助」の話しは、わたくしも個人的に好きなものです。
では芥川龍之介はキリスト教の殉教を常に善意で見ていた
かと言えばそれは少し違うようで、シニカルな「商賈聖母」という
作品も残しています。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/3813_27308.html
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
天草の原の城の内曲輪(うちくるわ)。
立ち昇る火焔。飛びちがふ矢玉。伏し重なつた男女の死骸。
その中に手を負つた一人の老人。
老人は石垣の上に懸けた麻利耶(マリヤ)の画像を仰ぎながら、
高声に「はれるや」を唱へてゐる。
忽ち又一発の銃弾。
人はのけざまに仆(たふ)れたぎり、二度と起き上る気色は見えない。
白衣の聖母は石垣の上から、黙黙とその姿を見下してゐる。
おごそかに、悠悠と。
白衣の聖母? いや、わたしは知つてゐる。
それは白衣の聖母ではない。
明らかに唯の女人である。
一朶(いちだ)の薔薇(ばら)の花を愛する唯の紅毛の女人である。
見給へ。
その女人の下にはかう云ふ金色の横文字さへある。
ウイルヘルム煙草商会、アムステルダム。阿蘭陀(オランダ)……
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
キリスト教からは感情的な反発があるかもしれませんが、個人的
には少し考えさせられた作品でした。
今年の3月、日本の「ペトロ岐部と187殉教者の列福式」が
今年の11月に長崎で挙行される予定というニュースが
カトリック信者の間を駆け巡っていましたが、二ヶ月ほど前、
来年の11月の挙行が正式決定となったようです。
http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/feature/kibe_187/
press070929.htm
殉教したペトロ岐部について、こちらに詳しく書かれています。
http://pauline.or.jp/modules/
areopagosu/index.php?page=article&storyid=21
今回は188人の一度の列福という大規模なものですが、それでも
日本の殉教者、特に女性や子供の殉教者に関してはこれまで
未だ充分に調査されておらず、こうした調査が進めば更に福者と
して認定される人の数が何倍にも増えると思います。
個人的には「長崎著聞集(ながさきちょもんしゅう)、公教遺事」に
散見される殉教者であるとされる、芥川龍之介が愛したという、
「神聖な愚人」、「じゅりあの・吉助」の事が気になります。
「じゅりあの・吉助」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/63_15200.html
記録されているという以上、実在した人間であると思いますが、
単純にして素朴であり、磔刑時には奇しき現象があったとされる
「じゅりあの・吉助」の話しは、わたくしも個人的に好きなものです。
では芥川龍之介はキリスト教の殉教を常に善意で見ていた
かと言えばそれは少し違うようで、シニカルな「商賈聖母」という
作品も残しています。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/3813_27308.html
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天草の原の城の内曲輪(うちくるわ)。
立ち昇る火焔。飛びちがふ矢玉。伏し重なつた男女の死骸。
その中に手を負つた一人の老人。
老人は石垣の上に懸けた麻利耶(マリヤ)の画像を仰ぎながら、
高声に「はれるや」を唱へてゐる。
忽ち又一発の銃弾。
人はのけざまに仆(たふ)れたぎり、二度と起き上る気色は見えない。
白衣の聖母は石垣の上から、黙黙とその姿を見下してゐる。
おごそかに、悠悠と。
白衣の聖母? いや、わたしは知つてゐる。
それは白衣の聖母ではない。
明らかに唯の女人である。
一朶(いちだ)の薔薇(ばら)の花を愛する唯の紅毛の女人である。
見給へ。
その女人の下にはかう云ふ金色の横文字さへある。
ウイルヘルム煙草商会、アムステルダム。阿蘭陀(オランダ)……
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キリスト教からは感情的な反発があるかもしれませんが、個人的
には少し考えさせられた作品でした。