0269_神々の戦い(038)裕也の冒険-過去の監視者-
--過去の監視者--
洞窟から外の景色を眺(なが)めていた。
もう、夕暮れ時であった。太陽が沈む。
異世界でも裕也の住む地球と同じような自然界であるらしい。
安全か分かるまで魔族の民は、暫く洞窟で暮らすそうです。
眼下に広がる黒々とした森に吸い込まれそうになる。
(俺は、歴史を変えたのだろうか?
俺が帰らないと、未来の歴史は変えられてしまうのではないか?
神々の合議は、成功するのか?)
裕也は、そんな思いを巡らしていた。
すると、天空が歪みだした。
「ブォォン」
そして、亀裂がはしる。
天空の斜めに走った線の歪みから、
丸く縦長の楕円な白い石で出来ている物体が現れる。
遠くではっきりしたことは分からないが、
東京ドームくらい(4万平方メートル)くらいありそうである。
下半部に電波を発しているのか角らしものが4本突き出ている。
裕也は、何か見覚えがある。
(ソース?)
その物体から声がする。
「そこにいるのは裕也ですか?
時空の歪みが発生しているので調べに来ました。」
何か聞き覚えのある声である。
裕也は、救われた気がした。一遍に明るい気持ちに成った。
「はい。そうです。」
声の主は、答える。
「裕也。私です。
ミディアムでお会いしたイエントです。」
(やっぱり、ソースだ。)
裕也は、救われたと確信した。
「時空の歪に落ちてこの時代に来てしまいました。
元の世界に帰りたいのですが、
帰る方法がありません。」
「私たちは、時空の歪みを調査して過去や未来を飛び回っています。
分かりました。歪の原因は、裕也さんみたいです。
元の世界に帰してあげます。」
いつの間にか闇の長(おさ)も裕也のそばに来て天空の声を聴いていました。
裕也は、額から黒い感情の宝石を外し、闇の長(おさ)に渡した。
「お世話になりました。」
そして、大声でソースに依頼した。
「イエント。元の世界に帰してください。」
するとソースの4つの角から何か力の波が起こった。
そして、裕也を包む。
(凄い力だ。)
裕也の体は、消えた。
つづく。 次回(ゼウスの駆け引き①)