ひろひろの生活日記(LIFE Of HIROHIRO)

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第Ⅱ章。「現れし古に伝わりし指輪」6話、デミュクの住んでいた町。どう答えるの?。「~失望と愛~導かれし悪魔の未都市。」0009

2021年11月09日 20時37分19秒 | 「~失望と愛~導かれし悪魔の未都市。」【R15】(自作小説)

第Ⅱ章。「現れし古に伝わりし指輪」6話、デミュクの住んでいた町。どう答えるの?。「~失望と愛~導かれし悪魔の未都市。」0009


0009_デミュクの住んでいた町。どう答えるの?

デミュクの住んでいた世界は、王政(おうせい)であった。
文明と言っても魔法が支配する世界である。
この時代は現代ではない、電化製品があるわけでもない。
自然に支配されていて木々が生き生きと栄(さか)えている。
地球であって地球でない次元を異にする世界である。

闇(やみ)に輝(かがや)く街がある。
本当は、天空の浮遊都市(ふゆうとし)である。
夜空に光を放ち輝き浮いている。

何故に輝いているか、誰が住んでいるのか?
デミュクも知らない。
王家である王にしか明(あ)かされない秘密がある。
王でなかったデミュクには、明かされていない。
デミュクは、ゆっくり思い浮かべた。

デミュクが住んでいた悪魔の未都市。ミュウデラ。
それは、まだ、街とは呼べない。
深い森の中、山の中腹に城があるだけである。
森の木々の葉は、深い緑に満ちている。
一枚、葉を手に取ってみる。
ひんやりとしたツルツルした感触(かんしょく)が手に伝わり脈(みゃく)を打つように感じる。
瑞々(みずみず)しく命が溢(あふ)れ流れている。
葉には脈が透(す)けて見える。
人のように管(くだ)が通っている。
人間界と同じ植物のようである。
血が通っているのか?
根元から葉先まで毛細(もうさい)に張られた葉脈(はみゃく)。
葉は、栄養を土からもらい養分をつくる。
木々は、育つ。
年老いた葉は落ち、枯れ、また、土にかえり栄養となる。
森は、光が入らないほど木々は、太い幹(みき)に枝を伸(の)ばし葉に覆(おお)われ、枝は、重なり合う。
人が住む世界とは、個別な世界を創(つく)っている。
森に住む動物はと言うと。
僕(しもべ)、眷属(けんぞく)、妖精(ようせい)。
僕(しもべ)は、悪魔のペット、家畜、いや動物と言えるかもしれない。
犬、猫、魔獣(まじゅう)…。
それとは別に屋敷(やしき)に住む者に使魔(しま)がいる。
使魔は、動物と言うより人の形をしている。
魔法も使え主(あるじ)を持つもの。
動物とも妖精とも言えない特別な存在なのである。

森を抜けると、平地が広がる。
耕す畑ではなく木が植えられている。
悪魔は食物を摂(と)らない。
キャベツやレタスなどの野菜、
人の主食となる小麦などを育てることはない。
畑には、味を楽しむ果物(くだもの)、肉の木の果実があるだけである。
作物の養分は、生命のエネルギーである。

悪魔のエネルギーの源は、野菜や小麦を食べることでは補(おぎな)えない。
ただし、畑の果実は例外である。
非契約の人の欲望のエネルギーから果実は実(みの)る。

それと辺境の地に神の実がある。
燃えるように赤い実。炎に形どられている。
それは、世の果て東の裂(さ)けめに実っている。
特別な果実である。
王や貴族の生命のエネルギーは、悪魔との契約者のエネルギーから与えられる。
人間界に欲望を生み出すのが悪魔の役目である。

悪魔の国の中央の城には、王と貴族と騎士が住んでいた。
その辺境の街ミュウデラには、デミュクの住む小さな王族の城(住居)がある。
領地内に他に住居を所有している貴族はいない。
自然に囲まれている長閑(のどか)な地域である。
貴族以上の階級だけが人間の世界に入れる。
人間界に通じる隠された場所があるである。

その他の平民は、貴族によって養われていて、
通常、領地には食堂が設けられていて食堂で飲食をする。

デミュクの領地も食堂があり平民が飲食する。
平民は、通常、貴族の手伝いをする。

悪魔と言っても自然から生み出されたものである。
自然の摂理(せつり)がある。
それからは逃(のが)れられない。
たまに摂理から外れた者があらわれる。
その者は、神に罰せられ暗黒の牢獄(ろうごく)に幽閉(ゆうへい)される。
悪魔には寿命があるのか?
一つの役割を果たした者は昇冠(しょうかん)され、
天空に浮かぶ光の都市に生まれ変わると言う。
そんな噂(うわさ)を聞いたことがある。
空には、光輝く天空の街が浮かんでいた。

デミュクの脳にいろんな懐(なつ)かしい思いが浮かんだ。
デミュクは、出来るだけ本当のことを言うことにした。
嘘(うそ)がばれないようにする秘策(ひさく)である。
本当に近いほど嘘はばれない。

そして、やっと口をついて言葉が出た。
言葉は、この国の言葉と同じと言う訳(わけ)ではない。
悪魔の話す言語は、自然に通訳されて相手に伝わる。
心の言葉の通訳と言うべきか。
デミュクは、話す。

「私の育った土地は、ここから海を渡り北に位置します。
 ミュウデラと言います。
 異国の地です。
 自然に恵まれていて、
 森の木々がが生き生きと覆(おお)い。
 いろいろな作物を作っています。
 気候は、ここと同じ感じです」
(『いろいろ』は言い過ぎだよね)
「いろんなものが、ほぉー」
お爺さんは、興味津々(きょうみしんしん)である。
「私は、貴族として生まれました。
 私の育った地には王の城が一つあります。
 そして、遠く離れた地に光輝く街があります。
 夜でも光輝いています。
 ここには、農産物を売るべく、
 商談をするために来ました。
 皆さんが今夜、お食べになった肉に掛(か)かっている香辛料(こうしんりょう)を売るためです」
(胡椒(こしょう)をとっさに出したが、香辛料なら運んでこれるかな?
 もっと、自然のこと、森林を説明した方がよいか?)
「あれかい。ウサギの肉にかけた」
お爺さんは、身を乗り出した。
デミュクは、少し考えたが話を続ける。
「商談しに海を渡り来たのですが、
 農地を視察(しさつ)する途中で山賊(さんぞく)に襲(おそ)われてしまいました」
(もう、本題に入ってしまった)
「明日、街に行きたいのですが」
(細かいことは話せない)
デミュクは、話を終えてしまった。
「街に何かの用ですか?」
イリスは、不安げに尋ねた。
イリスは、デミュクがもうどこかに行ってしまうように感じた。
(話をするしかないな)デミュクは観念(かんねん)した。
「少し連絡をとりに、
 それと街の商いの様子と、
 領主に会いに行ってきます。
 用事(ようじ)が済(す)み次第(しだい)帰ってきます」
いろいろと故郷のことを思い浮かべたが話は数行で終わる。
(お爺さんの意図(いと)したことに答えられたのだろうか)
「イリスさん。お爺さん。
 明日は、街に行ってきます。
 農作業は、手伝えません。
 どうかお許しください」
デミュクの話は、本当に終わった。

「いいですのよ。
 今日は、手伝っていただき大変助かりました」
イリスは、返事した。
(デミュクさんが、お戻(もど)りに成られるのならそれで良いの)
「また、明日、話しておくれ」
お爺さんは、デミュクの話がもっと聞きたくなった。
デミュクは、嘘をつくのが少し辛(つら)くなった。


つづく。 次回(街、領主、商談?領主は、偉い人なの?)

#自作小説 #失望 #愛 #導かれし悪魔の未都市 #デミュク #導かれし未都市 #イリス


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