ひろひろの生活日記(LIFE Of HIROHIRO)

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第Ⅱ章。「現れし古に伝わりし指輪」12話、新しい悪魔の王。アデレイリは何と言い開く?古の指輪はどこ?「~失望と愛~導かれし悪魔の未都市。」0015

2022年10月27日 22時35分00秒 | 「~失望と愛~導かれし悪魔の未都市。」【R15】(自作小説)

第Ⅱ章。「現れし古に伝わりし指輪」12話、新しい悪魔の王。アデレイリは何と言い開く?古の指輪はどこ?「~失望と愛~導かれし悪魔の未都市。」0015

15、新しい悪魔の王。アデレイリは何と言い開く?古の指輪はどこ?

妖精フェリィ-フェルは、新悪魔の王アデレイリに『天(てん)の神インデリオスが会いたいから天雷(てんらい)の間に来るように言っている』と伝えた。

「よかろう。分かった。会う」
アデレイリは、素っ気なく返事した。
(天界も俺を王と認めたか)
少し嬉しげである。
「そうお伝えします。それでは、アデレイリ様」
「ポン」
妖精フェリィ-フェルは消えた。

アデレイリは、ゆっくり、噛(か)み締めるように天雷の間に向かった。
(神が王に告げると言う部屋か?)

天雷の間は、丸い天井。宇宙に浮かぶ炎の太陽。その中に宙に浮く平面な台地。その大地には城がある。宙に浮く平面大地は平面宇宙と呼ぶ。それを中心に夜空と星に変わり。そして、端に行くと青い空と雲の風景になる。

アデレイリは、部屋に入り、不満げに立っている。
「悪魔の王は神には従わん」
ボソッと呟(つぶや)いた。

暫(しばら)くして、宙(ちゅう)に天の神インデリオスの姿が現れた。
少し沈黙(ちんもく)しアデレイリの様子を見て口を開いた。
「アデレイリよ。ご苦労。
 なんだ。不貞腐(ふてくさ)れるな。
 これも悪魔の世界を治(おさ)めるために必要な会見(かいけん)だ」

(呼び捨てか!)
新悪魔の王アデレイリは、一層不貞腐れた。
「スゥーーーゥ」
天の神インデリオスの隣にベールを被り白い一枚の布で体を覆った女性が現れた。
「紹介する。悪魔の神ゴワーデルだ」

「お初にお目に掛かる。新王アデレイリ」
悪魔の神ゴワーデルは、丁寧(ていねい)に言った。

「何ようだ!」
アデレイリは、王になったので恐れるものはないと安心しきっていて、つい旺盛(おうせい)に言ってしまった。
少し後悔したようにも見える。

神ゴワーデルは、どすのある声で、
「言葉に気をつけろ。
 お前を跡形(あとかた)もなく消すことも出来るのだぞ。
 慎重に話せ」
と言い放った。
その声は、低く、アデレイリの体に響(ひび)いた。
「え!もしや。あの時の声の主でしょうか?申し訳ございません」
アデレイリは、急に神妙(しんみょう)になった。
「ご要件は 何ようでございますか?」
アデレイリは、今度は丁寧に発言したつもりである。

「お前を悪魔の新王に認めるに当たって2、3質問がある。正直に答えてくれると嬉しいのだが、どうかな?」
天の神インデリオスは、アデレイリに敬意(けいい)を払って言った。


「まず。なぜ、王を殺した?権力を欲(ほっ)したのか?
 悪魔同士で何を支配をし合うつもりか?」
まず、インデリオスは、今回の行いについて少し正(ただ)したかった。

「人間を支配できればいい」
アデレイリは、素直に答えた。
インデリオスには、ぶっきらぼうに聞こえた。
だが、怒った様子を見せずに続けた。
「ところで、支配とは?
 それで、平和を目指せると思うのか?
 支配して、人間の社会をどうする?」
悪魔の王は、ある意味、人間の欲望の管理者である。
『支配』とは、何を意味するのか、どう思っているのか、インデリオスは、その真意(しんい)を聞きたかった。

「悪魔は自由なのでは、自由な支配を望んでいるだけでございます」
アデレイリは、思っていることを正直に、
露(あら)わに自身も神の支配を受けないと、
対等を維持しようと話す。

「それは、王にならないと実現できなかったのか?
 司祭だろう。ルールをつくれば良かったのではないか?」
インデリオスは、それでは、悪魔の王を殺す理由にはならないとばかりに言った。

「祭(まつ)りごとを司(つかさど)っても、
 悪魔の民衆の人望を集めたとしても、
 王の権威には勝てない。
 王に支配される駒だ。
 結局、自然の流れ。
 契約には勝てない。
 結局、王の権威には勝てない。
 それが、俺が出した結論だ。
 それが、神が定めたルールではないのか?」
アデレイリは、反論する。
「確かに王の地位は、いろいろな意味で優遇(ゆうぐう)されている」
インデリオスも認めた。そして、一言。
「どこで知った。王の優遇を?」

「司祭なので自(おの)ずと知ることになりました」
(そうだ。俺は、神の存在、王の力に気づいたんだ)
アデレイリは、冷静になり、自分の立場を理解し出した。

「そう。王は人の欲望のエネルギーの集積地点である」
インデリオスは、またも、明(あ)かした。

「それを我(わ)がものにしたまでだ。
 私の望みは、富(と)める悪魔の世界にする。
 それだけだ。
 人からの欲望のエネルギーに満ち溢(あふ)れた悪魔の世界。
 只(ただ)、それを望む」
アデレイリは、熱く語った。
続いて、確かめるように天の神インデリオスに問(と)いかけた。
「欲望のない人間など無意味ではございませんか?」

「欲望は、争いを生む。
 平和を望むゆえの悪魔の役割ではないか」
インデリオスは、諭(さと)すように言った。
続けて、
「争いを生み過(す)ぎれば、星は滅ぶぞ。
 それでは、お前の生きる糧(かて)が無くなるぞ」

(そうか。悪魔とは、人間に平和を成すものなのか?)
アデレイリは、自分に言い聞かせるように問いかけた。
本当は、アデレイリは、貧しい悪魔の子の出身で世の中の格差をいやと言うほど見て来たのである。
(犠牲を払ってきたのは、悪魔の世界だ)
「それでも、信じる道を進みます」
インデリオスは、暫く考えて、
「そうか。分かった。
 では、新王アデレイリよ。
 悪魔の世界を好きに治(おさ)めるが良い。
 欲望のエネルギーを得るのはたやすいが、
 自身の欲望に負けるなよ」
と言い捨てた。
アデレイリには、彼なりの理由があったのだと、インデリオスは、少し安心した。

「もう一つ尋ねたいことが有る。
 今回の事とは別の話だが、悪魔に伝わる古の指輪を知っているか?」
インデリオスは、あたかも何気ないことを訪ねている素振りをした。

「私は、貧民(ひんみん)から司祭になりました。
 それ故(ゆえ)に古(いにしえ)の事は存じ上げません」
アデレイリも興味がない素振りをした。

「では、これで謁見(えっけん)は終了する」
悪魔の神ゴワーデルが話の終わりを告げた。
2人の姿は消えた。

(古の指輪とは、どう言うものなのだ?)
悪魔の新王アデレイリは、すぐさま城の書庫をあさりに行った。

アデレイリには、理想があった。
悪魔の世界も貧富(ひんぷ)の格差に苦しめられていたのだ。
天の神インデリオスは、悪魔の新王アデレイリを少し理解した。

つづく。 次回(デミュクの両替は上手くいったの?まだまだ、情報収集はつづくの?)
※食事処のデミュクと執事シュシャンと女将の話に戻ります。


#自作小説 #失望 #愛 #導かれし悪魔の未都市 #デミュク #導かれし未都市 #イリス

 


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