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ソニー本社6階 その2

2005-04-13 15:19:42 | 経営戦略・仕事スキル・キャリア開発
「ソニー 本社 6階」でググると、このブログが随分と上位に出てきます。
(4/13現在 28000件中 4位)

元ソニー経営企画スタッフの竹内さんが書かれた『ソニー本社六階』と同時期に、『三菱とは何か』についても読記録を書いたんですが、こちらはさっぱりなので、改めてソニーブランドへの関心の高さを実感します。

ソニー本社六階

アンドリュース・プレス

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どんな人がこの本に関心を持つのでしょう。
ソニーに勤務する人・OB、ソニー信者的コアユーザー、ソニーのライバル企業に勤務する人・・といったところでしょうか。時節柄、ソニーに就職を考えている学生さんも読むのでしょうね。

”うちまる”なりに、この本の使い道を考えてみます。
まず、ソニーの活動自体、時代のトピックをいくつも提供しているので、マスコミが報じたソニー(例えば日経ビジネスやダイヤモンドのバックナンバー)と、コーポレートスタッフが書いた内幕の落差を、見てみると勉強になります。
すなわち、経営に奇手奇策はないと。マーケット、顧客がまだ気づきもしないニーズを掘り起こして、製品化にトライし、かつ技術的に可能にしたのが神話化するソニーの凄さということでしょう。

筆者が見たソニーが「真」で、外側から見たソニーが「虚像」だったという見方には与しません。
組織を外から眺めるのと、中に入って見るのでは、随分実態が違うことは、学校、他の企業、病院など非営利法人・・あらゆる所、あらゆる人に起きうる問題です。
むしろ、顧客や社会に永続的に期待を抱かせるという意味で、Going Concernとしてのソニーは、やはり戦後の日本の成長の象徴だったと、この本を読んでなお、そう思います。

成功体験のある組織に入る人、かつての省庁、金融などもそうですが、こういう集団に所属した人達は入った時点で自分たちを特別な存在と規定してしまい、思考方法もその枠をはめてしまいがちです。
惜しいのは、筆者の力量、キャリアからすれば、こうした思考の外側からソニーの経営について批評することが可能であったと思われるのに、「自分が入社した頃はピカピカで世の中で特別の存在だったソニーが、段々朽ちていった・・」という、バブル入社社員の繰り言で終わってしまっている点です。
当時のトップに箴言が入れられず、忸怩たる思いがあったのでしょうが、「トップがすべて悪い」と責任を押しつけてしまうのは、中堅社員にとって自分をスポイルする思考停止を招くことになります。

i-pod の成功で、アップル社と対比されることが多くなっていますが、同社にしてもi-Macで復活するまでは随分辛酸を舐めた時期がありますね。
『本社6階』の続編は、胸のすくような、ソニー復活の事業計画の提言であることを望みます。
この本が暴露本として受け取られ、ソニーに関わる顧客、社員の気持ちがディスカレッジされることを筆者は希望していないはずですから。




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