Kaz Laboratory  (KazLab)

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Kazが読んだ本、考えたこと、日々の記録

帰ってきたもてない男

2005-11-04 00:27:41 | 人間・家族・教育
帰ってきたもてない男 女性嫌悪を超えて

筑摩書房

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「もてない男」で一世を風靡した小谷野氏の続編。

たしかにもてないだろうね、この人。
自らをコミュニケーション下手な恋愛弱者と定義しつつ、男子校-東大文学部ー大学院という女性が少ないという環境のせいにしてみたり、論理が破綻している。
周囲に女性が多かろうが少なかろうが、もてるやつはもてるし、もてないやつはもてない。
東大なのにもてないと嘆くのだが、じゃあ、その学校歴アセットが有効に「もて」に働く私大の文系大学院の院生あたりと共同研究でも企画すればよさそうなものだが、そういう働きかけもしてそうにない。

さらに、近松門左衛門やクラシックが好きで、才色兼備な人がタイプらしいのだが、村上春樹や江国香織くらいの「文藝好き」の女性を、自分の力で近松好きになるまで育てよう(これこそ恋愛の醍醐味のひとつ)という気概もお持ちでない。

突っ込みどころ満載なのだが、なぜか読むのをやめられない。
こうした「もてない」という論点設定をして、あけすけに世間に公表する潔さがある当たり、きっと人としての「可愛げ」はあるのだろう。
この「可愛げ」をきちんと理解してもらうことは「もて」への第一歩ですよ、小谷野さん。



下流社会-新たな階層集団の出現

2005-11-04 00:06:17 | 法律・経済・政治
下流社会 新たな階層集団の出現

光文社

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最近の「格差社会」「二極化」論をマーケターの視点から論じたもの。

・下流とは生存そのものが脅かされる「下層」でなく、上昇志向や意欲、世の中へのコミット意識の低い層のことである。
・「下流社会」に属するか否かは、所得や資産だけでなく、コミュニケーション力の有無の影響が大きい

といった主張は、この手の論議の王道。
目新しい視点は、階層によって消費者が分裂し、中流化モデルが無効化するという話。
たしかにね。男性誌に出てくるBerlutiの20万円の靴なんて、誰が買うのと思ったりもするが、売れてるみたいだし、一方でクールビズの浸透をはじめとするビジネススタイルのカジュアル化で、革靴すら履かない男も増えているしね。

ただ、「下流社会」って明らかにセンセーションを狙ってつけたタイトルは煽りすぎの感あり。随分取り上げられてるので成功しているんだろうけど。
皆が皆、立身出世やお金持ちになることを目指す必要はないし、生まれた地域に根を張って生きるという選択肢も悪くはないとおもう。それを「下」と見るのはどうなのかな。