グレン市を目前にした町の食堂で、2人が食後のお茶を飲んでいた時のことである。
「レム=サティン ってのは、どいつだ」
扉が壊れるのでは? と思うほどの勢いで包帯だらけの若者が飛び込んできた。
しかし、レムは、面倒くさい事はおことわり。とばかりに無視を決め込んだ。すると、
「おい、そこの赤毛のちび」
店の入口に立った包帯男は、レムを指差し禁句を叫んだのである。
「お前だろう、レム=サティンってのは。お前のおかげでなぁ、おれは、仕事をクビになったんだ。忘れたとは、言わせねぇぞ」
そして、周りの視線も全く気にせず、一気にまくし立てる。のだが、
レムとしては、見たこともあった事もない包帯男に迫られても、嬉しくもなんともない。そこで、キッパリ言ったのだ。
「あの、どちら様?」
がしゃどし っ
その途端、派手な音をたてて男はその場にひっくり返った。当然の如く、店中の視線が男に集まる。
「お、お前、昨夜、グルタんとこの倉庫ふっ飛ばしただろう。俺は、そこで倉庫番をやってたんだよ」
よろよろと立ち上がり、恨みがましい目つきで男がレムに近づく。
そういえば、そんな仕事請けたっけ。
グルタという名前を聞いて、レムが昨夜の記憶を呼び起こす。
「ふぅ~ん、それで?」
そこで、男がもう一度こけた。
「それでっ、その時、お前が吹っ飛ばした倉庫の中にいたんだよ俺は」
ばんっ と、テーブルを叩きながら男が叫ぶ。
「あ、なるほどね。で、あたしにどうしろと? 言っておくけど、“返していただけないなら、その倉庫吹っ飛ばしますけど、よろしいでしょうか?”って、確認してからやったのよ」
そうええば、倉庫の番人が何とかって、言ってたような・・・・。
「だからって、本当に吹っ飛ばすか、普通。中の確認しないで」
「だって、やれるものならやってみろ。って言ったのよ、グルタさんが。それに、あたしだってアガタさんから、グルタさんに貸した宝玉を取り返して欲しいって依頼されたわけだし」
実際、レムが二人の前で倉庫を吹っ飛ばしてみせたところ、二人そろって、仲良く固まってしまった。
「ほう、それじゃ何か。あんたは、依頼されれば建物もぶっ壊すのか?」
ぴくぴくとこめかみを引きつらせて、男がテーブルの上に身を乗り出してくる。 それに対して、レムがキッパリと言い切った。
「そりゃあ、建物でも山でも。お金がもらえて、あたしの気が向けば、ね」
建物の残骸を目にしたグルタは、素直に宝玉をアガタに返し、アガタも“一応、依頼した仕事は成功したから”とのことで、レムにかなりの報酬を支払った。
レムにとっては、これが一件落着でなくて何なの。と言いたいところだ。
・・・・壊れた倉庫に関しては、お互い表沙汰にしたくない。と、二人の意見が一致して、無理やり理由を考え出した。その理由とは、
(人型の)自然災害が急所湧き起こった。というものである。
だけど、自然災害って・・・・。
レムとしては、あまり面白い理由とは思えないが、報酬も払われた後だったので、突っ込むのはやめておいた。
「・・・・・」
男は、レムの台詞に口をあんぐりとあけて固まり、辺りには沈黙の空気が漂った。
「レム=サティン ってのは、どいつだ」
扉が壊れるのでは? と思うほどの勢いで包帯だらけの若者が飛び込んできた。
しかし、レムは、面倒くさい事はおことわり。とばかりに無視を決め込んだ。すると、
「おい、そこの赤毛のちび」
店の入口に立った包帯男は、レムを指差し禁句を叫んだのである。
「お前だろう、レム=サティンってのは。お前のおかげでなぁ、おれは、仕事をクビになったんだ。忘れたとは、言わせねぇぞ」
そして、周りの視線も全く気にせず、一気にまくし立てる。のだが、
レムとしては、見たこともあった事もない包帯男に迫られても、嬉しくもなんともない。そこで、キッパリ言ったのだ。
「あの、どちら様?」
がしゃどし っ
その途端、派手な音をたてて男はその場にひっくり返った。当然の如く、店中の視線が男に集まる。
「お、お前、昨夜、グルタんとこの倉庫ふっ飛ばしただろう。俺は、そこで倉庫番をやってたんだよ」
よろよろと立ち上がり、恨みがましい目つきで男がレムに近づく。
そういえば、そんな仕事請けたっけ。
グルタという名前を聞いて、レムが昨夜の記憶を呼び起こす。
「ふぅ~ん、それで?」
そこで、男がもう一度こけた。
「それでっ、その時、お前が吹っ飛ばした倉庫の中にいたんだよ俺は」
ばんっ と、テーブルを叩きながら男が叫ぶ。
「あ、なるほどね。で、あたしにどうしろと? 言っておくけど、“返していただけないなら、その倉庫吹っ飛ばしますけど、よろしいでしょうか?”って、確認してからやったのよ」
そうええば、倉庫の番人が何とかって、言ってたような・・・・。
「だからって、本当に吹っ飛ばすか、普通。中の確認しないで」
「だって、やれるものならやってみろ。って言ったのよ、グルタさんが。それに、あたしだってアガタさんから、グルタさんに貸した宝玉を取り返して欲しいって依頼されたわけだし」
実際、レムが二人の前で倉庫を吹っ飛ばしてみせたところ、二人そろって、仲良く固まってしまった。
「ほう、それじゃ何か。あんたは、依頼されれば建物もぶっ壊すのか?」
ぴくぴくとこめかみを引きつらせて、男がテーブルの上に身を乗り出してくる。 それに対して、レムがキッパリと言い切った。
「そりゃあ、建物でも山でも。お金がもらえて、あたしの気が向けば、ね」
建物の残骸を目にしたグルタは、素直に宝玉をアガタに返し、アガタも“一応、依頼した仕事は成功したから”とのことで、レムにかなりの報酬を支払った。
レムにとっては、これが一件落着でなくて何なの。と言いたいところだ。
・・・・壊れた倉庫に関しては、お互い表沙汰にしたくない。と、二人の意見が一致して、無理やり理由を考え出した。その理由とは、
(人型の)自然災害が急所湧き起こった。というものである。
だけど、自然災害って・・・・。
レムとしては、あまり面白い理由とは思えないが、報酬も払われた後だったので、突っ込むのはやめておいた。
「・・・・・」
男は、レムの台詞に口をあんぐりとあけて固まり、辺りには沈黙の空気が漂った。