宇宙時間 ソラノトキ

風樹晶・かざきしょう

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のんびりしようよ

みらーじゅ 47

2009-01-17 15:03:53 | 小説 ミラージュ
 少々乱暴ではあるが、他に方法が考え付かないのだからしょうがない。
 ひゅん と、飛んだ黒蛇は、うまい具合にグルラディーヌの檻の上に落ちた。そこで尻尾を使ってうまく隙間から檻に入り込み、グルラディーヌの顔の上に ぽとん と、着地。
「うまく届いたようですわ」
 グリシーヌは上機嫌だが、レトとしては何時あの魔術師が戻ってくるか気が気ではない。
 そうでなくても、生命樹の枝に今にも咲きそうな蕾がいくつかあるのだ。でも、魔術師が言っていた“気に入った”という言葉の意味は?
「それは、妹姫ほど詳しい訳ではございませんので・・・・でも、多分、苗床にするつもりではないかと」
「苗床って?」
「つまり、種を植え付ける為の素材として“気に入った”のでは・・・」
「冗談じゃねえぞ。・・・・て、そう言えば、お前達って言ったたよな。それ、俺らのもって事か」
「多分、・・・・」
「おい、お嬢。お前さんだけでも逃げた方がいい。しばらくなら、背後は守れるぞ」
「それこそ、冗談ではありませんわ。そんな事したら、妹姫だけではなく兄達にも顔向け出来ませんわ」
 きっぱり言い切るグリシーヌをレトが振り返った。
「お前さん。一体何人兄弟がいるんだ?」
「四人兄妹ですわよ。あの子の他に兄が二人。・・・・あ」
「ん?」
 グリシーヌの反応にレトが前方に目を戻す。
「  妹姫ぇ」
 グリシーヌが口に手を当てて、妹を呼んだ。
「あ、姉姫。大丈夫?」
「それは、こちらの言うことですわ」
 水の上を緊張感のない姉妹の会話が飛び交った。

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