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月影の門 49

2009-11-22 20:11:15 | 小説 月影の門
「う~ん」
 箸を銜えながら、トシがうなる。
 あんな言い方をされてしまっては、気になってしまうではないか。
「おい、そんなに気なるんなら行って来い。ここはもう大丈夫だから。食い物もちゃんと残しておいてやるから」
 テツにそういわれて、現在の全財産が入ったザックをぶら下げて、第3会議室へ向かった。

「お、悪かったね。折角の飯時に」
 そう言ったのは、コウジ。
 会議室にいたのは、その他には鳩羽とワカバもいた。
「???」
 椅子をすすめられたトシは、頭にハテナマークを乗せたまま三人の前に座る。
「ちょっと、聞きたい事があるんだけどいいかな?」
 そう言ったのは、コウジ。
「鳩羽から聞いたんだけど、君、アトフの準隊員だそうだよね。なにか、証明できるものあるかな。アーマーソルジャーである君にこういうのを聞くのも、自分でどうかと思うけど」
 その言葉聞いたトシは、やっぱり来たか。と、天井を仰いだ。
 それは、当然の事だろう。本部壊滅後、突然あらわれた見ず知らずの自分が、アトフ準隊員です。と言ったところで、信憑性は薄い。
 それでも、トシは、少々とぼけた口調で
「う~ん、証明できる物ですか・・・・」
 と考え込むふりをした。いや、ふりではなく、本当に考えてみた。ザック以外のものは、全てアパートの部屋だ。免許証もパスポートも保険証すらない。後は・・・・・。
「あっ」
 小さく声を漏らした後、トシはザックの中味をがさごそとかき回した。そして、
「これじゃ、だめですか?」
 取り出したのは、一枚のカード。アトフの建物の出入りをする為のカードキーだ。
「ちょっと、見せてもらっていいかな?」
 コウジはそう言って、トシからカードを受け取ると、カードをパソコン脇のホルダーに差し込み電源を入れた。
コメント
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