Don Pullen (1988,1990) "Piano Trio"
"NEW BEGINNINGS" Blue_Note(USA)B1-91785 Don Pullen (p) Tony Williams (ds) Gary Peacock (b) 1988/12/16 Jana's Delight(5:58) / Once Upon A Time(5:50) / Warrious(6:47) New Beginnings(6:20) / At The Cafe Centrale(6:57) / Reap The Whirlwind(7:03)
"RANDOM THOUGHTS" Blue_Note(USA)CDP7_94347_2 Don Pullen (p) James Genus (b) Lewis Nash (ds) 1990/03/23 Andre's Ups And Downs(5:22) / Random Thoughts(9:08) / Indio Gitano(9:41) The Dancer(For Diane Mclntyre)(5:58) / Endangered Species:African American Youth(7:39) / 626 Fairfax(6:42) / Ode To Life(For Maurice Quesnell)(8:40)
ドン・プーレンはCharles Mingus:"CHANGES One/Two" あたりから聴いている。その前はレコード・ショップで餌を漁っていたときフリー系のマイナーレーベルで出していたと記憶している。
ミンガスが去ってしまったあと同僚のジョージ・アダムスとカルテットで来日し野外コンサート（琵琶湖？）で大うけしたとラジオが伝えていた。そのジョージ・アダムスも去ってしまい編成したのがこのピアノ・トリオである。
演奏のスタイルはセシル・テーラーとか山下洋輔を思い浮かべればよい。鍵盤への肘うちまではやってないと思うが、とにかくリズミカルで元気なのである。キース・ジャレットのスタンダードは確かに感動するが、このトリオは血が沸き立つ音楽なのである。
ミンガス、ジョージ・アダムス、トニー・ウイリアムスそしてドン・プーレン。みんな物故してしまった。残っているのは音楽だけ。
When You hear music, after it's over, it's gone in the air,
You can never capture it again.
( Eric Dolphy:"LAST DATE" 1964/06/02 )
ミンガスで活躍したエリック・ドルフィーが「音楽は終わると空中に消えてしまって取り戻せない」言っていたが．．．<客寄せ>で言ったのだろう。
今は彼の演奏もふくめ"音楽だけが残っている"。
♪ダァーダダ、ダァーダ、ダダダ、ダァーダ．．． このスピード感のあるリズミカルなフレーズが頭に残る。しばらく聴いていないとまた聴きたくなる。そんなドン・プーレンなのである。フリージャズに有り勝ちな、不快音を奏でて観客(聴取者)を刺激し、自分の演奏に引き込むということもなく、躍動的でポップなリズムなのである。
７０年代に愛読していたSwingJournal誌が２００３年に「ジャズ・ピアノ・トリオ」という増刊号を出したので久方ぶりに購入してみたが評価が定まったピアノ・トリオは数多く取り上げられているのだが、このアルバムは紹介されていない。"ジャズは死んだ"とはよく聞く言葉だが評論も死んでいる。愛読していた頃は植草甚一が評論とかコラムを書いていて興味深く読んだものだが、冊子をめくっていて寂しくなってしまった。
わたしが植草甚一を知ったのはSJ誌からである。映画評論家で海外ミステリーの紹介を手がけ５０歳を過ぎてからモダン・ジャズを熱中して聴いてジャズ評論もしていた。神保町で紙袋にいっぱい古本や雑誌を詰め込んでタクシーで自宅に戻るスナップが植草甚一の本にはのっている。海外ミステリーを紹介するくらいだから英語も得意。７０歳近くで初めてニューヨークへ行って出合ったことがらを面白く本で紹介してくれたカッコイイ爺さん（ＪＪ）。植草甚一がドン・プーレン（ピアノ・トリオ)を評価したら ５ Stars。（★★★★★）
ジャズは、演奏家はもちろんだが、評論家という人々も感性が鋭くなければ死んだままなのと違うか。
投稿済み・準備中を含め アルバム・ジャケット一覧 を用意しました。
2005/03/10 ものずき烏 記
この２枚もコルトレーン：至上の愛（ライブ）とおなじくＭＰ３に変換され、このＰＣに収まっている。
