暦法の計算をプログラムで作成しようとしたとき「計算方法」が記述してある書籍は、内田正男『日本暦日原典』(雄山閣)に載っている論文が唯一のものと思います。
他に桃裕行『著作集7』(思文閣出版)がありますが宣明暦に限定されています。
前者でも元嘉暦、麟徳暦、大衍暦、五紀暦、宣明暦に限られています。
以降の貞享暦、宝暦暦、寛政暦、天保(壬寅)暦は古書を探し暦法を吟味しなければなりません。
宣明暦の解法については江戸時代に会津藩の安藤有益『長慶宣明暦算法』という古書籍が存在し、それを元に東京天文台の広瀬秀雄・前山仁郎と史料編纂所の桃裕行がそれぞれで解析されていました。その成果が『日本暦日原典』です。
桃裕行によって行われていた古文書暦日による補訂作業は内田正男に引き継がれ『日本暦日原典』の改版(現在4版)に反映されています。
さて麟徳暦、大衍暦、五紀暦の朔日の確定には太陽と月の補正が行われていますがその研究『隋唐暦法史の研究』を行っていたのが薮内清( 1906..2000 )です。
次の書籍リストは都度収集し通読したものです。
中国科学史の第一人者でしたので顕彰の意味でも業績の集大成が望まれます。
暦法計算については (15) 『中国の天文暦法(改訂増補)』が決定版です。
(21) の巻末には英文でインド系「九執暦」論文がのっています。
計算まではどうもという方には (11) 『歴史はいつ始まったか』が良いと思います。
暦計算に興味がない方にお薦めするとしたら (16) 『天工開物』を揚げます。明代の技術書なのですが江戸時代に日本で普及し1940年代に薮内清が翻訳と解説を行い、今は里帰りして中国で研究が盛んのようです。
なお前山仁郎(1913..1963)の文章に触れることができるのは学協会誌以外で (5) 新天文学講座12だけと思います。
暦法計算の観点から早世したのが惜しまれる内容です。(..プログラムの仕様書であっても使えそうな至れり尽くせりの記述内容です。)
2004/06/06 ものずき烏 記
※母屋から移し変えたコンテンツです。(..書籍リスト (22) は新規追加、(23) は追記。)
Yabuuchiと名付けられた天体があるという。
わたしは見たことはないが薮内清に教えを受けた後輩が命名機関に申請したものであろう。薮内清は天文学から中国科学史へ進んだ人なのである。きっかけは同様に天文学から中国の古典まで精通したした新城新蔵(京都大学総長)に誘われたことのようだ。
わたしが興味をもって読んだ書籍には数多くの薮内清 門下の名が見受けられる。( ..山田慶児/宮島一彦/矢野道雄/川原秀城/橋本敬造 みな一流の学者さんである。)
Yabuuchiという天体はずっと存在し続けるし、薮内の業績も伝え続けられることだろう。
惜しむらくは、中国科学史などというマイナーな分野でなく、同年代の湯川秀樹のように先端分野に進んで頂いていたらと思うのはわたしだけだろうか?
(2005/03/09)
他に桃裕行『著作集7』(思文閣出版)がありますが宣明暦に限定されています。
前者でも元嘉暦、麟徳暦、大衍暦、五紀暦、宣明暦に限られています。
以降の貞享暦、宝暦暦、寛政暦、天保(壬寅)暦は古書を探し暦法を吟味しなければなりません。
宣明暦の解法については江戸時代に会津藩の安藤有益『長慶宣明暦算法』という古書籍が存在し、それを元に東京天文台の広瀬秀雄・前山仁郎と史料編纂所の桃裕行がそれぞれで解析されていました。その成果が『日本暦日原典』です。
桃裕行によって行われていた古文書暦日による補訂作業は内田正男に引き継がれ『日本暦日原典』の改版(現在4版)に反映されています。
さて麟徳暦、大衍暦、五紀暦の朔日の確定には太陽と月の補正が行われていますがその研究『隋唐暦法史の研究』を行っていたのが薮内清( 1906..2000 )です。
次の書籍リストは都度収集し通読したものです。
中国科学史の第一人者でしたので顕彰の意味でも業績の集大成が望まれます。
1. 「中国の暦」 『暦』広瀬秀雄(編) ダイヤモンド社 1974/12/12 2.『中国の数学』 岩波新書 青059 1991/10/18 2版 3.『中国の科学文明』 岩波新書 青759 1974/03/20 3版 4. 「紀元制の歴史」 『元号を考える』鈴木武樹 現代評論社 1977/02/28 5.『天文学の歴史』薮内清(編) 恒星社厚生閣 1968/05/30 2版 新天文学講座12 6.『支那の天文学』 恒星社 1933/10/15 7.『中国の科学と文明:天の科学』 思索社 1991/09/20 J・ニーダム (日本版監修) 新装版 8.『中国科学の流れ』 思索社 1984/02/27 J・ニーダム (日本版監修) 9. 「中国暦とその思想的背景」 『万有こよみ百科』暦の会 新人物往来社 1973/11/14 歴史読本のち『暦の百科事典』に転載 10.『中国の科学』世界の名著12新装 中央公論社 1988/09/20 2版 11.『歴史はいつ始まったか』 中公新書590 1980/10/25 12.『中国天文学・数学集』 朝日出版社 1988/04/10 2版 科学の名著2 (監修) 13.『中国の科学と日本』 朝日選書109 1978/04/20 14.『科学史からみた中国文明』 NHKブックス406 1983/02/01 15.『中国の天文暦法』改訂増補版 平凡社 1990/11/20 16.『天工開物』訳注 東洋文庫130 1972/04/10 7版 17.『中国の印刷術』 東洋文庫315 1977/09/26 カーター (日本版監修) 〃 316 1977/10/26 18.『墨子』 東洋文庫599 1996/04/08 (訳注,平凡社古典全集の新装) 19.『漢書律暦志の研究』 復刻版 臨川書店 1979/02/15 能田忠亮・薮内清 共著 20. 「西洋天文学の影響」 『明治前日本天文学史』新訂版 臨川書店 1979/10/01 21.『隋唐暦法史の研究』増訂版 臨川書店 1989/11/10 22.『中国古代の科学』 学術文庫1654 2004/04/10 23.「夢ノ代」(注)『富永仲基・山片蟠桃』 日本思想大系43 岩波書店 1973/08/27
暦法計算については (15) 『中国の天文暦法(改訂増補)』が決定版です。
(21) の巻末には英文でインド系「九執暦」論文がのっています。
計算まではどうもという方には (11) 『歴史はいつ始まったか』が良いと思います。
暦計算に興味がない方にお薦めするとしたら (16) 『天工開物』を揚げます。明代の技術書なのですが江戸時代に日本で普及し1940年代に薮内清が翻訳と解説を行い、今は里帰りして中国で研究が盛んのようです。
なお前山仁郎(1913..1963)の文章に触れることができるのは学協会誌以外で (5) 新天文学講座12だけと思います。
暦法計算の観点から早世したのが惜しまれる内容です。(..プログラムの仕様書であっても使えそうな至れり尽くせりの記述内容です。)
2004/06/06 ものずき烏 記
※母屋から移し変えたコンテンツです。(..書籍リスト (22) は新規追加、(23) は追記。)
Yabuuchiと名付けられた天体があるという。
わたしは見たことはないが薮内清に教えを受けた後輩が命名機関に申請したものであろう。薮内清は天文学から中国科学史へ進んだ人なのである。きっかけは同様に天文学から中国の古典まで精通したした新城新蔵(京都大学総長)に誘われたことのようだ。
わたしが興味をもって読んだ書籍には数多くの薮内清 門下の名が見受けられる。( ..山田慶児/宮島一彦/矢野道雄/川原秀城/橋本敬造 みな一流の学者さんである。)
Yabuuchiという天体はずっと存在し続けるし、薮内の業績も伝え続けられることだろう。
惜しむらくは、中国科学史などというマイナーな分野でなく、同年代の湯川秀樹のように先端分野に進んで頂いていたらと思うのはわたしだけだろうか?
(2005/03/09)