ものずき烏の無味乾燥?文

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桃裕行:暦法の研究

2005-03-08 | 書籍 の 紹介
『暦法の研究(上)』桃裕行著作集 7 思文閣出版 1990/06/15
『暦法の研究(下)』桃裕行著作集 8 思文閣出版 1990/11/24

史料編纂所で宣明暦研究をしていた桃裕行の没後刊行された著作集全8巻のうち2冊が『暦法の研究』上・下となっています。
古文書の中でも学制の研究などで業績をのこした研究者のようです。
「年の内に春は来にけり」など高校国語教科書の執筆などから読者に内容を理解させようという意図が覗える懇切丁寧な文章表現です。
人に教えるにはこのような文章が書け、且つ深い知識が必要とされるものであると認識させられました。
勿論、古文書の解読では私に評価する知識はありませんが、安藤有益「長慶宣明暦算法」という漢文で記述された古書籍を読み解き手計算で推歩する過程を「嘉元三年見行草について」という論文に仕上げてくれたことは、パソコンのプログラムに頼る私には一種の驚きを禁じ得ません。
史料編纂所などというと文系で数学が不得手の研究者かと思ってしまうのですが、とんでも有りません。
著者の誠実な人柄と学求心から、畑違いの東京天文台の広瀬秀雄前山仁郎などとの共同研究となったのでしょう。

下巻では、中国で普及した筈なのに暦法が失われてしまった符天暦がとりあげられています。
宣明暦の施行と同時期に中国から持ち込まれた符天暦が仏教系の宿曜道で用いられたということです。
符天暦の立成(計算書)の一部は、天文台の前山仁郎が天理図書館で発見しています。
(..前山仁郎は立成の発見後、早世。)
発見を自分の手柄になどと俗な考えを持たず、信頼のできる桃裕行に託したものでしょう。
この符天暦についてはまだ研究が完全には完成していないのではと思います。

2004/06/28 ものずき烏

※母屋から移し変えたコンテンツです。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「増補 暦法及時法」&「暦法計算」 (てっちゃん)
2006-10-16 12:33:04
以前にあったcablenet での上記のサイトが閉鎖になり、とても残念に思っています。とても参考になる立派なサイトであったのに。貴重な財産が失われてしまったような感じでいましたところ、このサイトを発見し、未だ手掛かりがあるようで、一途の望みをつないでいる想いです。是非、復刻して頂けるよう、是非、是非、お願いします。(最近、天保暦に懲りだしたアマチア男です。)

宜しくお願いします。
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