監督 フランク・ダラボン 原作 スティーヴン・キング
主演 誰が出演してるかはこの際問題ではない
2007年 アメリカ
先日、「クローバー・フィールド」を見た時はその怪獣映画ぶりに大喜びしてた私ですが、これを見た後では、あの映画は東宝怪獣映画好きのガキの遊びに思えてきました…
【ストーリー】
ガラス窓を破るほどの嵐の翌日、スーパーへ買い出しに出掛けたデヴィッド(トーマス・ジェーン)。軍人やパトカーが慌ただしく街を往来し、あっという間に店の外は濃い霧に覆われた。設備点検のために外に出た店員のジム(ウィリアム・サドラー)が不気味な物体に襲われると、店内の人々は次第に理性を失いはじめ……。(シネマトゥデイより引用)
原作を知らない方、いきなり少しネタバレしますよ。
「ドリーム・キャッチャー」は「ウルトラマン」だったけど、 今度は「ウルトラQ」ですか。
はい、中盤までのネタバレ終わり。
原作を未読だったので霧の原因と状況がわかったときは思わず大笑いしそうになりました。まあ、原作どおりだからしょうがないんでしょうけど。
でも、笑いかけたのはそこだけ。
「ウルトラQ」な状況が現実世界になったらマジに怖かったんですね。
(しかし、なぜ昭和29年版「ゴジラ」と「ウルトラQ」を作った日本がなぜこんな「日常を壊す怖い怪獣映画」を作れない。この作品の褒め言葉として「くやしい」。)
「クローバー・フィールド」な状況が現実に起こっても私は心のどこかで楽しんでしまうでしょうが、この作品の状況だけは嫌だ。絶対に嫌。この感想書いたら寝るつもりなんだけど夢に出てきたらどうしよう…
とにかく、確かな実力な職人芸で日常が崩壊した状況をつきつけられる恐怖を見せてもらいましたよ。しかも(途中で「もうやめてください」と思うくらいに)徹底的に。
その力量には拍手です。
途中退席するお客さんが多いのも分かります。
でも、これは作品のデキが悪かったからではなくて、その演出意図を的確に映像化していたから。ある意味、勲章みたいなもんですよ。
この映画を見た皆が話題にするあのラスト。
最初の感想は「ひでえ」。
でも、「ひでえ」からこそこの映画は素敵だ。
この作品はキングの原作に忠実だそうですが、見終わった後に、映画の各エピソードがこの「ひでえ」ラストを常に暗示していたことに気づいて、その構成力に脱帽しました。
物語は、主人公達が立て籠もるスーパーマーケットの外の悲惨で無残でひたすら怖い状況と、中のムカつく状況を交互に見せていきます。
が、これが主人公を追い詰めるためだけの伏線だったとは。
常に状況に合った正しい判断でやるべきことを勇敢にする主人公。
ただ、このせいで彼は常にこの状況の一番悲惨なものを見てしまう。
主人公だから観客の目になるのは当然なんですが、そのキャラ配置も伏線だったとは。
前半で自宅に残してきた子供たちのために「間違った判断」で外に飛び出す女性。
映画の前半の状況説明にしか見えなかった女性の使い方も「すばらしすぎる」伏線だったとは。
あと、この映画はこれから映画製作を目指す人へのテキストになると思います。
それぐらい映画文法的にも正しい演出と構成の力攻めです。
今年の大晦日、この映画をベストワンに選んでも全然不思議じゃないです。
それぐらい満足してますよ、今は。
うむ、こんなに映画を見た満足感に浸ってるのは久しぶりだな。
こんなの見ちゃうと、またしばらくノリとセンスだけで作ったチャンチャラ映画が見れなくなっちゃうんだよな。
いやー困った困った(でも、うれしい)
今回、一番この映画に熱演で貢献した女優さんはこの人。
でも、見ていてマジでムカついた。
来日したら石投げちゃうかも<おいおい
ワタシも映画紹介を見て、チラリと「見たい」と思った一人なんですよ。
ただスティーヴン・キングの「性質の悪さ」は分かっているつもりなんで、劇場でちゃんと見られるかどうか・・・「シャイニング」チックですか?「ウルトラQ」もマジ怖かったですよね~
スティーヴン・キングの原作を映画化したものでも「スタンド・バイ・ミー」とか「ショーシャンクの空に」(刑務所のリタ・ヘイワード)みたいな作品ならいいんですが・・・違うんでしょう?
「ウルトラQ」と言えば昨年「怪奇大作戦」のリメイク版やってましたね?ご覧になりました?(ワタシ、レビュー書いてますよ)
でも、オリジナル版と「ウルトラQ」のが怖いですね。作りはチープなんですが「ゾクゾク」と来るものがあって・・・ああ・・・怖い・・・でも見たいかも・・・ああ・・・
コメントありがとうございます。
「ミスト」は、「スタンド・バイ・ミー」や「ショーシャンクの空に」の路線では全然ありません。
キング原作映画で一番近いのは「ドリーム・キャッチャー」です。
でも、本当に一番近い映画はジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」でしょう。ゾンビは全然出ませんけどね(笑)
「怪奇大作戦」は大好きです。
「京都買います」とか「呪いの壺」とか。
リメイク版みるつもりで録画したんですけど、保存したまま未だに見てません。だから、なおみさんの感想もまだ見てません(苦笑)
でも、いずれ読ませていただきますね。
「ミスト」は「ウルトラQ」が面白いならゾクゾクしますよ。お釣りがくるくらい。
でも、見たあと「なんで薦めた!」と怒られても文句が『絶対に』言えません。
それくらい完成度は高いです。
でも、うっかり薦めたら怒られる映画なんですよね、あれは。
本当に衝撃的な作品でした。
あのラストがあってこそですね。
う゛・・・ウルトラQはわからなーいっっ
こちらこそTBと湖面とありがとうございます。
あのラストは効果的でしたね。
どんでん返しとか
>「ウルトラQ」
昔の怪獣テレビドラマなんですが、「非現実的存在により日常が壊されるサスペンス」というコンセプトが似てると思ったものですから。
この映画おもしろかったです。!!
単なる妖怪君が暴れるだけの映画とおもったら、いろいろ考えさせられました。
深いものがありました!
見た後もいろいろ楽しませてくれるのもナイスです。
TBありがとうございました!
様々な解釈が出来る映画でしたねぇ。
“絶望”を選択した者には更なる絶望を、“希望”に託した者には“幸運”をというような解釈をしたんですが、それ以外にもいくらでも解釈できるんでしょうねぇ。
こちらこそTBありがとうございます。
>様々な解釈が出来る映画でしたねぇ。
今回はワザとそういう風に作ってる気がします。
しかし、映画を見た観客に「感じる」より「考えさせる」正攻法にして力技なくせにどこか繊細な見事な演出でしたね。
ところで、たおさんの感想の導入部はいつも面白いんですが、この映画の感想は特に大笑いでしたよ。