事件前の荷物の整理に
やっと取り掛かることが
できた
今まで、ダンボールに詰め込まれた
中身を見るのが怖かった
何かドロっとした塊が
溢れ出してしまいそうな
気がして、ずっと避けてきた
始めはおそるおそる
そーっと封を解いて
爆破物の処理のように
危険を回避するように中身を一つづつ
とりだしていった
ひとつひとつと記憶が呼び戻されて
今と繋がっていく
全て捨ててしまって
まっさらから始める気でいた
それでもセカイは地続きで
そんな都合のいいこと許しては
くれないと薄々気づきはじめていた
思い出が、過去の自分と、
関わった人たちが、
今のこのおれに向かって
逃げなくていい
そう言ってくれてるように
おもえてきた
事件と懲役によって切断
されてしまっていた
過去と今が
やっと繋がった
また逢おう
そのために今やるべきことが
見えてきた
そこに向かう勇気が湧いてきた
生きる
生き抜いて、生き残って
取り戻してやる