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支流からの眺め

パレスチナ・ガザ地区の悲劇(2)

 「合法的な」契約に切れた「蛮族」が善良な市民を急襲し、「卑劣で非道な」殺人を犯す。その報復として、神の加護のもとに「正義の」殺戮と領土収奪が行わる。列強の植民地支配や北米大陸でのインディアン征圧は、いつもこの様式であった。契約という法理、それに悖る者に下る神の懲罰、この論理で、窮した弱き者の非道を口実に、強き者が弱き者を懲らしめてきた。

 百年弱前、米国は日本移民を「合法的に」差別し、日本国への鉄材や石油などを禁輸し、中国大陸の利権をすべて放棄するよう宣告して来た。積もりに積もった国民の怒りは、真珠湾攻撃で晴れた。しかし、この不意打ちは「卑怯」とされ、新型爆弾による超非人道的な大量殺戮も正当化された。「正義の」裁きで道義的に断罪された国民は、怒りを忘れ誇りを捨てて現実と妥協した。

 国連決議とやらでパ人は土地を追い出され、ユダヤ人は決議の後も入植地を広げる。納得できずに戦うが、近代兵器にはかなわず、今や8mの壁に囲まれた天井のない監獄に20年近く押し込められ、ライフラインもお情けに頼る始末である。先の見えない閉塞感、じり貧で締め上げられる情勢に、ある日激しい襲撃を敢行し溜飲を下げた。しかし、その報復で・・・。

 パは弱き者である。宗教的つながりや人道的見地から手助けする国や、得になる範囲で援助物資や武器をくれる所もあろう。しかし、別の紛争地の烏国と違って、ガザ地区には広く豊かな穀倉地もない。多くの国は、産油地中東での紛争は回避して欲しい。サウジ等もイ国との関係修復を図っている。これらの構造からみれば、抵抗を続けるパを待つ運命は悲劇しかない。

 主権や自尊を賭けた戦いは、響きはいいが要するに意地を張った殺し合いである。特に最終兵器まで開発された現代では、その殺し合いの影響が地球規模となりかねない。日本の例がパに当てはまるとはならないが、利害関係の調整と割り切り、負けることで支援を引き出し生き延びる方法もある。戦いを避けつつ独自の生き方を認め合うのが、現代人類が持つべき知恵だろう。

 人殺しは止めて・・これが真情である。
 陛下の終戦の詔書もそのお気持であったろう。

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