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支流からの眺め

上高地と涸沢(6)近隣の山々

 穂高周辺の山の成り立ちはどうか。まず、釜トンを抜けると見える焼岳だ。焼岳火山群(白谷山、アカンダナ山、割谷山を含む)は約3万年前から活動している。焼岳頂上部分は溶岩ドームを形成し、硫黄の吹き出し、爆裂火口、火山湖(正賀湖)もある。20世紀にも数度噴火している真の活火山だ。

 次は槍ヶ岳。穂高岳の山体を作ったのは176万年前のカルデラ噴火だった。その直後の175万年前に槍ヶ岳の北でもカルデラ噴火がおこり、辺縁部に凝灰角礫岩の固い部分ができた。周囲は氷河の浸食によりカールとなったが、その固い部分は残り、氷食尖峰(ホルン)として槍の穂先になったのだ。

 不思議なことに、槍ヶ岳のテント場から飛騨乗越付近は片岩(火成岩ではなく変成岩の一種、層状の模様がある)で出来ている。古くは海底にあった堆積岩や火山岩が、プレートが大陸に衝突した際に地下20-30kmの深さまで沈み込んで高熱と高圧で変成を受け、その後にこの高さまで隆起してきたものらしい。

 槍穂高の東側には蝶・常念・大天井・燕などが連なる。この山塊は古い花崗岩で、燕岳付近の白砂やトア(岩塔)はいかにも花崗岩の山らしいく穏やかだ。その中で威容を誇る常念岳はホルンフェルス(砂岩の変成岩で固い)で、鋭く尖る蝶槍はチャート(放線虫の堆積岩で非常に固い)で各々出来ている。

 常念側から穂高を望むと、屏風のコルから南(左)へ向かい、奥又白池やひょうたん池などがほぼ同じ標高に繋がっている。ここは、カルデラ噴火の辺縁と、その下から隆起してきた穂高岳の本体との境界線にあたる。山体として一塊にみえるが実は不連続で、その接合部は浸食に弱いため段差や池ができたのだ。

 槍穂高の西に聳える笠ヶ岳は、日本列島が大陸の一部だった5~7千万年前頃に4回のカルデラ噴火で形成された(東面の縞模様はカルデラ内の堆積物の断面、サムネール参照)。その構造が被覆され浸食を受けずに列島の一部となり、百万年前頃からあの高さまで隆起したらしい。お隣だが実は大先輩の火山だ。

 焼岳の南には乗鞍岳がある。約百万年前頃までに形成された南西部の溶岩台地の上に、32万年前からの数度の火山活動で出来た。噴出物は安山岩質の溶岩が主体で、姿の柔らかな鞍状となった。最近では約2千年前に恵比須火口(駐車場のある畳平の隣)から火山灰が噴出した。歴とした活火山なのだ。(続く)

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