毎日父さん 「白血病日記」

病気の経過や患者の思いなどをまとめてみました。「毎日父さん」は西原理恵子さんの漫画「毎日かあさん」からヒントを得てます。

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険が適用拡大されました 1

2022年12月27日 | 患者学入門

令和4年10月から短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用が拡大されました。

 

ポイントは以下の3点です。

  • 「特定適用事業所」の要件が被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時500人を超える事業所から被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時100人を超える事業所に拡大
  • さらに令和6年10月からは「特定適用事業所」の要件が被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時50人を超える事業所に拡大
  • 「短時間労働者」の適用要件の雇用期間が1年以上見込まれることから雇用期間が2カ月を超えて見込まれることに短縮。(通常の被保険者と同じ)

 

「短時間労働者」とは③の雇用期間に加え、1週の所定労働時間が20時間以上  月額88,000円以上  学生でないこと が条件となります。


短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険が適用拡大されました 2

2022年12月27日 | 毎日父さん

いわゆるアルバイト・パートと呼ばれる人たちが対象になります。

配偶者で今まで健康保険の扶養家族、国民年金の3号被保険者(被扶養配偶者)になっていた方は条件を満たせば加入となります。

社会保険となると、健康保険の傷病手当金や、老齢年金の厚生年金上乗せ分、障害年金3級(1.2級より軽い等級)などが新たに給付の対象となります。

また、今まで単独で国民健康保険・国民年金に加入していた方は保険料が安くなる方もおられると思います。

 

もちろん、いい事ばかりではありません。事業者にとっては事業者分の保険料・事務経費等が新たな負担になります。被扶養配偶者は新たに保険料負担が生じます。

また、政府としては年金積立金の減少を少しでも先延ばししたい思惑や国民健康保険の赤字を少しでも減らしたいのでしょう。

 

しかし、国民年金はそもそも自営業者ための年金制度で、65歳以上でも自営を継続したり、農業を継続したり、また、家族に事業資産を活用してもらう事が前提の制度です。国民健康保険も被用者を想定した制度設計になっていません。

 

定年退職後の高齢者の再就職者、病気や障害のために短時間就労になっている人、短時間就労を余儀なくされる外国人、―いわゆる「障・老・病・異(異文化)」の人々や、育児・介護等のため短時間就労になっている人、俳優や芸人などを目指すために、資格所得等を目指すため、短時間就労を望む人などにとっては労働条件の改善となる制度ではないでしょうか。


短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険が適用拡大されました 3

2022年12月27日 | 患者学入門

また、がん患者が職場復帰するときはどうでしょうか。いきなり「フルタイム」・「残業あり」ではハードルが高く体力的に不安な人でもいるでしょう。また、通院治療での抗がん剤等定期的に仕事を休まないといけない人もいます。生存率の向上の代わりに治療期間の長期化となる事が多いと思います。

 

私の骨髄移植時の退院にあたり、知己の医師から、「百歩のうちの一歩が終わったに過ぎない。」と言われました。付け加えて「男の患者はだめだ。無理して職場復帰して、状態を悪化させて病院に戻ってくる。フレックスタイムのような制度があるといいのだが」と。

「闘病の記録「骨髄移植編」」のブログ記事一覧(8ページ目)-毎日父さん 「白血病日記」 (goo.ne.jp)

私の場合、短時間就労は望ましいものでしたが、当時、制度はありませんでした。私が退職してから、55歳以上の人に限り、制度化されました。皮肉なものです。


短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険が適用拡大されました4

2022年12月27日 | 患者学入門

所謂フルタイム正社員でも、復職時・通院時など心身の状況に応じ、短時間就労や時短勤務やフレックスタイム制や在宅勤務など労働時間・労働場所・労働形態について柔軟に制度に組み入れるとよいと考えますが、いかがでしょうか。

決してそれは退職促すことでもなく、今盛んに言われている「人財の育成・活用」という視点からも企業にとってもプラスと考えますが、いかがでしょうか。短期的には人件費増加の可能性がありますが、中期的には埋もれていた人材の活用、良き人財の確保も可能でしょう。


がん患者と仕事1  原職復帰か転職か依願退職かそれとも解雇か

2022年12月08日 | 患者学入門

1 あるがん患者の体験談から 

 

がんノートnight #90 「お仕事~治療後キャリア」 Aさんの場合

You tubeでは実名にしておられますが、一応Aさんという匿名におきます。

 病名は甲状腺がん。発症は2011年(少し昔ですが、現在もホルモン剤服薬中です)当時25歳。治療は手術・内部放射線照射。発症当時の仕事は技術者‐エンジニアでした。大学卒業後、自動車会社の技術者として働き、3年半後キャリア形成を目指し、転職した会社で4か月目。試用期間から正社員になるところでした。

 暮れの12月25日のクリスマスにがん告知があり、仕事納めの12月27日に会社に休暇を申し出たところ、少し待たされます。そこで、社長、上司、総務担当との面談があり、社長からは「正社員という話はなし」との説明をうけ、総務担当からはすでに「一身上の都合により」と書かれた「退職願」を手渡されました。自分ががんになったのだからしょうがないが、苦笑いするしかなかったと語ります。

 午後から帰っていいといわれ、職場の同僚から「来年もよろしく」と声をかけられます。「来年にはこの会社に来ないし、生きているかどうかもわからない」と言葉に出せませんが、思います。

 さすがに帰る駅で涙が止まらなかった。いろいろあった1年間だったが、年末にがんの告知、無職という状況に今まで一番泣いたとAさんは語ります。

 

この涙は悔し涙か 会社への怒りか 情けない自分へ向けたものか いろいろ入り混じったものでしょう。

 

Chatでも「この会社はひどい」「こんな会社はいずれつぶれる」など言葉がいっぱい出てきました。当然だと思います。

 11年前の話で、現在こんなひどい対応は少なくなったかと思いますが、似たような体験をした人は多くいるのではないでしょうか。

 

詳しくは #90 がんノートnight[お仕事〜治療後のキャリア〜] - YouTube