道東を発見する旅 第3の人生

抽象化の壁、数式のこと

9歳の壁

最近、「9歳あるいは10歳の壁」という言葉があることを知った。最初は発達障害の言葉だったらしいけど、小学校4年の頃、算数などの授業で抽象的な概念を使って授業が進み始めると、途端についていけなくなることを意味するという。そこで落ちこぼれてしまい、中学、高校へと続いていくらしい。

なぜ、自分がそれに興味を持ったか、であるが、自分も今、抽象化になじめない当事者だからである。

初等数学の壁

何年か前から、ビッグデータを分析することが面白くなって勉強し始めた。データの解析は簡単なのだが、一歩進めていくと、大事なポイントは全て数式で表現してあり、数式が分からなければ話にならない。

数学なんて大学入試以来、40年くらい、ご無沙汰している。一念発起して取り組んだのはいいのだが、いくら本を読んでもさっぱり理解が進まない。

概念そのものがさっぱり頭に入ってこないのだ。自分は、こんなに能力が低かったのかと悩みながらも、そのうち、数学の本は、どんな偉い人でもノートとペンで書き写しながら理解を進めていくものであるという事を知った。

それから、ポツポツとやり始めたのだが、そんなに甘くはなく、書いても言葉は覚えるが、さっぱり分からない。そのうち、ある本にたどり着いた。そこには、何も考えずに計算問題をひたすら解いていくと、だんだんと概念が頭に入っていくと書いてあった。

行列計算

離島を離れ大阪に戻ってから、精神的にも時間的にも余裕が出てきたので、先月から行列の変形や、対称行列の対角化、固有値や固有ベクトルの計算、線形変換などを演習をこなしてきた。まだ理解したとは言えないが、ようやく、ぼんやりと概念が頭の中で形成されてきたようだ。

そんなとき、冒頭の9歳の壁の言葉を知り、自分が陥っていた迷宮の正体を知ったのだ。

並んだ数字が意味をもって見えてくる

行列計算で行や列の基本変形の計算をやっていると、だんだんと数字の並び方に規則性が見えてくる。自分でも、こんな風になるなって想像もしていなかった。

数字に異常な興味を示す個性の持ち主(アスペルガー症候群など)だと、この辺りから、問題を解くのが快感になるのではないかと想像してしまう。

実は、N子さんや次男は、ドライブしていて前を走っている車のナンバーを見ると、どう組み合わせれば0になるかと頭の中で計算しているらしい。

N子さんも医学部なので、そんなに本格的に大学の数学の勉強をしないまま、数学の講義を終わってしまっている。ひょっとして大きな楽しみを知らないままかもしれない。

一般に、高校生の時に数学が好きで、大学でも数学科に入ったにもかかわらず、挫折する人が非常に多いそうだ。そこにあるのが抽象化の壁なのだろう。

自分も、こんなに奥が深いとは想像していなかったが、その反面、特別な個性の持ち主には、天国みたいな世界なのかもしれない。

数学の勉強は、まだまだ入口にたったばかりで、これ以上書くとボロが出るので数学の話はこれで終わりにするが、物事を究める過程では、抽象的思考が出来るようになれるかどうかが重要なステップになるのだろう。

リンパ球を中心とした抽象的思考

自分で自分の例をあげるのも、おこがましいのだが、Tリンパ球やBリンパ球の話やウイルスの話などは、何年も論文を読んでは仮説を立てて実験で検証するという作業を繰り返してきたので、その分野では抽象的な概念で、実際の問題(先日書いたHBVのオカルトやデノボ肝炎の話やHCVによるオリゴクローナルなB細胞の変化など)を解釈し自分の考えを説明できる。

先日のミニレクチャーの反応で、自分は、普通の人より上のレベルで物が見えていることが、よく分かった。

その一方、数式の方は、ΣやΠ、δなどは記号を見ればイメージが湧くようになったが、尤度関数やテイラー展開などは全くイメージが湧かないままだ。

数学は時間の学問と言われているそうなので、焦らず、あわてず、のんびりと時間をかけて勉強を進めていきたいと思っています。

今日から6月

今日は金曜日。明日は1泊の予定で博多にいき、甥の結婚式に出る予定。94歳の母親、兄の家族や妹の家族とともに楽しい時間を過ごしてきます。
  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事