『ホームレスが中学生』の感想 ※ネタバレ少しあり

　言うまでもなく、『ホームレス中学生』の便乗企画だ。ポスターや公式サイトのデザインも似ている（ココとココを参照）……じゃなくて、似せてある。まあ、まさか間違えて観る人はいないと思うけど。
　しかし、内容は別にパロディーではない。物語は、義務教育を終えていなかったホームレスが中学校に編入してくるところから始まる。つまり、タイトル通り「ホームレスが中学生になる」というのが発端であり、そのホームレスに拒否反応を示したり共感したり仲良くなったりする中学生たちの姿を描いた作品だ。はっきり言ってしまうと、『ホームレス中学生』よりも面白い。おそらく、両方を観た人の大半がそう思うんじゃないだろうか。いや、傑作とか秀作というほどではない。「なんじゃそれっ」とツッコミを入れたくなる部分も多々あるし、低予算ゆえの安っぽさも随所に感じられる。しかし、「ある日突然、ホームレスが同級生になる」という異常事態に見舞われて混乱していた中学生たちが、次第にそのホームレスの生き方や立ち振る舞いに憧れを抱くようになり、仲間として受け入れていく過程には、まさに「生きた教育」が描かれているように思えるのだ。って、それは褒めすぎ？　ともあれ、なかなか考えさせられる箇所もあるし、適度に笑わせてくれるし、良い後味が残る作品だった。

　ただ、ひとつだけ間違いを指摘させて。映画研究会のメンバーが作ったドキュメンタリー映画の中では、ホームレス氏が黒板の前に立って教師から紹介される場面が映ってるけど、その時点ではカメラマン君は撮影を始めてなかったんじゃない？　まあ、些細なことだけど。

　ちなみに、ホームレスを演じるうつのみや八郎は実際にホームレスであるとのこと。それが何よりもこの映画にリアリティを持たせている。日本アカデミー賞は彼に新人賞を与えるべきじゃないかな。で、劇中での格好のまま、授賞式に呼ぶべき。彼への生活支援にもなるし、視聴率も伸びるだろうから、まさに一石二鳥じゃん。
　あと、担任教師を演じた和希沙也という女優さんは好みのタイプだったりします。すんません、メガネをかけた美女には極端に弱いんです。

　この映画、名古屋ではシネマスコーレで公開中ですが、残念ながら明日まで（しかも16：00からの1回のみ）。もしもお近くで上映される機会があれば、ぜひ観てみてくださいませ。

お気に入り度　★★★★★★★☆☆☆

『ホームレスが中学生』公式サイト→http://homelessga-movie.com/