少年トッパ

外国映画ベストテン2012(日本インターネット映画大賞投票用)

続いて外国映画を。

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【作品賞】(3本以上10本まで)
「ミッドナイト・イン・パリ」 5点
「マリリン 7日間の恋」 5点
「戦火の馬」 4点
「J・エドガー」 4点
「高地戦」 3点
「SAFE/セイフ」 2点
「ディクテーター 身元不明でニューヨーク」 2点
「ロック・オブ・エイジズ」 2点
「007 スカイフォール」 2点
「アーティスト」 1点

【コメント】
「実在した人物を独自の解釈で描いた作品」や「映画製作(もしくは映画業界)の舞台裏を描いた作品」に秀作が多かった一年だった。その代表と言えるのは『マリリン 7日間の恋』。稀代の大スターであるマリリン・モンローの素直さ、健気さ、そして演技に向ける真摯な姿勢が無名の若者の視点から描かれていて、とても爽やかで微笑ましい気持ちになった。ミシェル・ウィリアムズ、お見事。

『ミッドナイト・イン・パリ』では実在した作家や画家、音楽家などが次々と登場し、観客を楽しませてくれた。いたずらに過去への憧憬を募らせることの空虚さを端的に突くなど、示唆に富む作品でもある。

『戦火の馬』と『高地戦』は、凄まじいリアルさの中に軽妙さを織り交ぜ、戦争の無意味さと国家権力の横暴さを描いた傑作。『高地戦』の終盤では、あまりの理不尽さ、虚しさ、悔しさ、息苦しさに、いたたまれない気持ちになった。

『J・エドガー』は、自分の経歴を都合良く「脚色」しようとした男の物語。終盤、パートナーが主人公に向けて放った言葉はあまりに鋭く、胸に突き刺さった。

『SAFE/セイフ』はジェイソン・ステイサムの「媚びない魅力」満載のアクション活劇。守られるべき存在をあえて可愛げのない少女にした点(って書くと演じた子に失礼ですが)に、作り手の見識がうかがえる。
ステイサムは先達と共演した『キラー・エリート』『エクスペンダブルズ2』でも揺るぎない存在感を示していた。もはや向かうところ敵なし、といった感じ。実に頼もしい。

『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』は荒唐無稽かつ痛烈な風刺劇。『ボラット』や『ブルーノ』では笑えなかったけど、今回は楽しめた。ほど良く毒気を薄めたのが功を奏したのだろうね。

『ロック・オブ・エイジズ』は、80年代のロックをふんだんに使った愉快なミュージカル。メインの恋愛ストーリーは凡庸だが、脇を固める中堅たちの怪演で楽しませてくれた。特に素晴らしいのはロック排除運動の先頭に立つキャサリン・ゼタ=ジョーンズ。『シカゴ』での歌いっぷりも痛快だったけど、今回もお見事! トム・クルーズは少々やりすぎではあるものの、サービス精神は大したもの。

『007 スカイフォール』はド派手なアクションあり、まるで芸術映画かと思えるような美しい映像ありと、これまたサービス精神旺盛な作品。特筆すべきはダニエル・クレイグの「粗野」と「洗練」の絶妙なバランス。ものすごくカッコいい、という表現しか出てこないほどのカッコ良さだった。
残念なのは、終盤ちょっと盛り上がりに欠けること。ただ、物語の流れからして、そうなるのは仕方ないだろう。ともかく次回作も楽しみ。

モノクロのサイレント映画という触れ込みの『アーティスト』は、人気商売の難しさと楽しさを端的に描いた作品。主人公たちが歌って踊るシーンがとても楽しかった。

他に良かった作品は、順不同、というより観た順に書くと、『哀しき獣 THE YELLOW SEA』『TIME/タイム』『ドラゴン・タトゥーの女』『顔のないスパイ』『ドライヴ』『ジョイフル♪ノイズ』『キラー・エリート』『アメイジング・スパイダーマン』『ロボット 完全版』『メリダとおそろしの森』『ダークナイト ライジング』『トータル・リコール』『アベンジャーズ』『デンジャラス・ラン』『ボーン・レガシー』『エクスペンダブルズ2』『アルゴ』『ザ・レイド』『人生の特等席』『恋のロンドン狂想曲』『ホビット 思いがけない冒険』『フランケンウィニー』。って多すぎ? すみません、絞り込めない性格なので。

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【監督賞】
[ウディ・アレン] (「ミッドナイト・イン・パリ」)
【コメント】
『ミッドナイト・イン・パリ』のウディ・アレンか、『マリリン 7日間の恋』のサイモン・カーティスか。ちょっと迷ったものの、『恋のロンドン狂想曲』もあったことだし、ここはアレンに。ちなみに『恋のロンドン狂想曲』は、鼻持ちならないブルジョアたちの自己中心的で身も蓋もない恋愛を俯瞰的に描いた作品で、アレンの意地悪さが楽しめます。

【主演男優賞】
[ダニエル・クレイグ] (「007 スカイフォール」)
【コメント】
ジェイソン・ステイサムとどっちにすべきか散々悩んだ挙句、ダニエルに決定。ステイサム、ゴメン。『ミッドナイト・イン・パリ』のオーウェン・ウィルソン、『ドライヴ』のライアン・ゴズリングも良かった。

【主演女優賞】
[ミシェル・ウィリアムズ] (「マリリン 7日間の恋」)
【コメント】
見た目だけでなく、豊かな表情や優雅な身のこなしで見事にマリリン・モンローに成りきっていた。拍手! また、『ヤング≒アダルト』で「トウが立ってることに気付かない痛々しい女」をリアリティたっぷりに演じたシャーリーズ・セロンも見事。

【助演男優賞】
[アーミー・ハマー] (「J・エドガー」)
【コメント】
見目麗しい好青年からヨボヨボの老人まで、それはそれは見事な演じっぷり。まあ、老けメイクは少々やりすぎ感もあったけど。

【助演女優賞】
[キム・オクビン] (「高地戦」)
【コメント】
この部門は候補が多すぎ。特に「悪女」を魅力的に演じた女優が多かった。その代表が『ロック・オブ・エイジズ』 のキャサリン・ゼタ=ジョーンズと『トータル・リコール』のケイト・ベッキンセール。どちらも痛快だった。『トータル・リコール』では、主人公よりもケイトを応援したくなったほどだ。
そんな中でベストは『高地戦』のキム・オクビン。とはいえ、実は映画を観ている最中、あの女性スナイパーが『多細胞少女』で僕をゾッコンにしたキム・オクビンだとはまったく気付かなかった。エンドクレジットでも分からなかった(ハングル文字を読めないので)。映画館のロビーでパンフを立ち読みし、ようやく知ったのだ。そして感動した。「ああ、やっぱり彼女はスゴい女優だった!」と。ソン・ガンホと共演した『渇き』でも身体を張った演技を見せていたが、今回は緊迫感あふれる雰囲気を全身にまとい、意志の強さと慈愛の念を体現していた。これからの活躍がますます楽しみ。
あと、忘れちゃいけないのは『ジョイフル♪ノイズ』のドリー・パートン。30年以上前に観た『9時から5時まで』とほとんど見た目が変わっていないことに、ただただ驚いた。おそるべきプロ根性。

【ニューフェイスブレイク賞】
[キャサリン・チェン] (「SAFE/セイフ」)
【コメント】
可愛くないとか言ってゴメン! いい女優さんになることを期待しています。

【音楽賞】
「ロック・オブ・エイジズ」
【コメント】
やっぱり音楽映画は楽しい! そう思える作品だった。

【ブーイングムービー賞】
「ラム・ダイアリー」
【コメント】
ジョニー・デップ主演作は当たり外れの差が大きい、というのは昔からの定説(だよね?)。ただ、言葉が通じない異国でトラブルに巻き込まれることの怖さは伝わってきた。

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【私が選ぶ○×賞】
[それほどヒドくはないと思ったんですが、いかがで賞]
「ジャックとジル」
【コメント】
ラジー賞で10部門の「最低」に選ばれるなど、やたらめったら評判が悪い作品。確かに面白くなかったけど、年間ワーストに選ばれるほどじゃないと思うけどなぁ。アル・パチーノの自虐ギャグはなかなか楽しかったし。

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