少年トッパ

名古屋の映画館状況・2005秋 <後編>



 名宝会館では忘れられない映画と何本も出会った。名宝シネマで観た『ディーバ』、名宝スカラ座で観た『ホワイトファング』(ディズニーアニメ『美女と野獣』と2本立て)、名宝劇場で観た『クロスファイア』は、いずれも生涯のベストテンに入りそうな作品である。のちにトンデモ映画として評判になる『幻の湖』も、封切り当時に名宝劇場で観た。900席以上の劇場で、観客は10人弱。身も心も凍えそうだったことを覚えている。っつーか、ここも名宝スカラ座も広すぎ。そりゃ暖房も行き届かんて。あ、でも『もののけ姫』の時は満員だったなぁ。
 その名宝会館の隣りにあったのが、納屋橋劇場。ここは日本映画の専門館で、少し古い一般映画1本と成人向け映画2本の計3本を、入替なしで800円で上映していた。しかし、集まる客の大半は、実は映画を観るために来ていたわけではない。何のために来ていたのか? ナンパ目当てである。それも男性が女性をナンパするのではなく、男性が男性をナンパするために来ていたのである。20年前、20代だった僕は、そうとは知らず大好きな『胸さわぎの放課後』をもう一度じっくり観るために訪れた。確かに怪しげな佇まいの映画館ではあったが、まさか後ろに座ったオジサンが首筋に息を吹きかけてくるなんて。隣に座ったオジサンが僕のズボンのジッパーを下げようとするなんて。ホント、「世の中には多種多様な人間がいる」ってことを身体で覚えましたわ。

 ダラダラと昔話を書いちゃったけど、僕は決して「昔の方が良かった」なんて思っているわけじゃない。むしろ逆である。つぶれてしまった映画館の中には、映写環境が劣悪なところもあった。座席がボロすぎたりスクリーンが暗かったり従業員の態度が横柄だったりすることも少なくなかった。はっきり言って、シネコンの方が快適で楽しいじゃん、と思えることが多いのだ。座席指定というシステムはあんまり好きじゃないけど。
 とはいえ、やっぱり名古屋の都心部から映画館が消えていくのは悲しい。2007年には名古屋駅前にシネコンがオープンするらしいから楽しみにしてるんだけど、なんでそんなに先なの? いや、その頃にも僕は映画好きでいるだろうけどね。さ、つまんねーこと書いてないで映画を観に行こっと。

*     *     *     *     *

 その後の名古屋の映画館状況については「映画バカ一代」8号で書いた「映画館日記2004」の中で触れているので、そちらをご参照ください。ってのも不親切なので、大ざっぱに書いておきます。

<2002年12月>
●名演小劇場、映画館としてリニューアルオープン。

<2004年2月>
●名演小劇場内に「シネサロン2」オープン。2スクリーンになる。
●ヘラルドコーポレーション倒産に伴い、シネプラザの3館(シネプラザ2、シネプラザ4、シネプラザ50)が閉館。その後、残りのヘラルド直営館はケーブルTV会社「スターキャット・エンタープライズ」が経営を引き継ぐ。

 また、2004年6月には木曽川町(現在は一宮市に吸収合併されたので一宮市内)に「TOHOシネマズ木曽川」がオープンした。テープカットを務めたのは、東宝シンデレラの長澤まさみである。ちなみに彼女の映画初出演作は『クロスファイア』。

 今年3月には、名古屋駅から歩いて7~8分のところに「109シネマズ名古屋」がオープンした。ここは10スクリーンのシネコンなんだけど、名古屋駅にあるピカデリー系と上映作品がダブってることが多いから集客に関しては心配だったりするなぁ。まあ、僕が心配しても仕方ないけど。

 そして、今年12月にはスターキャット経営の「伏見ミリオン座」がオープンする予定だ。こちらは3スクリーンだって。
 さらに、先にも書いた通り2007年には名古屋駅前に7スクリーンのシネコンが誕生する。ピカデリー系と同じく中日本工業の経営である。噂によるとピカデリー6館は残すようなので、一挙に中日本興業の映画館が13館になるわけだ。どうする、109シネマズ名古屋。いや、僕が心配しても仕方ないけど。

 僕が映画館に望むのは、何よりも「快適な鑑賞環境」である。具体的に言うと、まず「前に座っている人の頭が邪魔にならないような構造」。要は客席に段差を設ければいいのだ。古い映画館では床が平面なことが多く、前に座った人が背筋を伸ばしていたりすると字幕が読めないこともあったもん。欠けた状態のスクリーンを見続けるのは、精神衛生上ものすごく良くないっすよね。
 座り心地の良い椅子、それに前の客席との適度な距離も大事だ。以上の点で思いっきり落第なのはゴールド劇場とシルバー劇場である。この2館は、半年ほど前にリニューアルのため1週間休んだことがある。てっきり椅子の位置を変えたり客席に段差を設けたりするのかと思ったら、劇場内にパンやコーヒーの売店を作っただけだった。なんじゃそれ。あと、椅子にドリンクホルダーを取り付けたんだけど、これが前の椅子の背面にあるのよ。前に座っている人が姿勢を変えたりして椅子が動いたら、こぼれちゃうじゃん。オマケに位置が低いので使いにくいし、パッと見ると傘立てのようである。なんちゅう中途半端なリニューアルじゃい。
 「快適な上映環境」という意味では、今のところ109シネマズ名古屋が一番ではないだろうか。ただし、ここはここで問題が……って話は、また改めて書こうかな。

 というわけで、名古屋の映画館状況でした。以上!

コメント一覧

トッパさん
『パッチギ!』の感想は↓この中で書いてるよ~。
http://diary.jp.aol.com/cd24v5/106.html

>「2004年4月以降の日記」はリンク先間違えていませ
んか?

その時期の日記が中途半端な内容なので、わざとリ
ンクを外してあるのよ。というか、読もうとする人
がいるとは想定外だった!(笑)
まりゅうさん
場の空気。 う~ん。確かに。。
でも、自分もあまり多人数が集まり過ぎるイベントは好きじゃないです。
  
話はコロッと変わりますが、昨夜「パッチギ」を観たんで・・トッパさんのレビューを見たくて探したんですが見つかりませんでした。何処かに残ってますか? 「2004年4月以降の日記」はリンク先間違えていませんか? 
トッパさん
まあ、体育館の場合は、もともとコンサート用に作
られたわけじゃないから音響とかに関しては仕方な
いんじゃないかなぁ。野外イベントも同じだけど、
デカい会場では音よりも「場の空気」が大事だった
りするもんね。
僕としては、人が密集している場所は好きじゃない
んで、スタンディングで見なきゃならないライブハ
ウスよりも座席指定のホールの方が好きだなぁ。

>今度は「名古屋のライブハウス・ホール状況」

あんまり詳しくないけど、そのうち偉そうなことを
書くかも(笑)。
まりゅうさん
「快適な鑑賞環境」
これはコンサートなどを開催するホールなどにも求めたいですね。特にコンサートの場合は指定席で隣に誰かが居るなんて当たり前の状況ですから。
そこまでは考えてはいないのだろうけど、スタンディングして観ると隣同士窮屈になったりするのでその点も考えて座席スペースをもうちょい広くしてくれたりするホールがこれから増えると良いんだけど。。 
あと所謂「体育館」と呼ばれる所の大規模コンサートも「快適な鑑賞環境」とは言えないところが殆どなので(空調・音響等含め)観るのはちと辛いモンがありますね。
・・てなワケで今度は「名古屋のライブハウス・ホール状況」なんてテーマにも期待してますぜ。あにぃ。
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