やるじゃん、ミムラ。駆け出しながら素質充分の落語家という役どころに相応しく、流暢な話芸を聞かせてくれた。公園で「寿限無」を披露するシーンなんて最高に楽しい。そんな表情しちゃって女優として大丈夫なのか、なんて心配をしてしまったほどだ。いやはや、誠にお見事。
ただし、映画全体の印象はいまひとつ。てっきりミムラ演じる「落語娘」のサクセスストーリーかと思っていたら、途中から物語は妙にホラーっぽい方向に進むのだ。しかも、クライマックスにはミムラによる見せ場があると思いきや、そこで落語を披露するのは師匠役の津川雅彦。しかもしかも、その落語で語られる物語を劇中劇として見せるのだ。しかもしかもしかも、その内容がなんとも陰惨で気が滅入る。しかもしかもしかもしかも(しつこい?)、その話がなんと「夢オチ」なのである。あちゃちゃー、それはダメでしょ。いや、ラストのラストで、なぜ夢オチにしたのかという真相も明かされるんだけど、それでもどうもスッキリしないのよ。あの落語の作者が書いた本当の結末も分からないままだし(だよね?)。
やはり、この『落語娘』というタイトルから誰もが連想する通り、落語の世界で若い女の子が古いしきたりや慣習に抗いながら成長していく、という物語にした方が良かったんじゃないだろうか。というか、今回のストーリーは、そういう成長譚の番外編みたいな感じである。テレビ局を上手く利用する師匠のしたたかさも確かに魅力的ではあるが、僕としてはミムラが観衆の前で堂々たる話芸を披露する場面をもっと観たかった。というわけで、ぜひ続編を!
※『落語娘』公式サイト→http://www.rakugo-musume.com/
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