※画像は『リリー・マルレーン』のパンフ。あんまり保存状態は良くないっす。
お待たせしました! 今まで観た映画の中で、途轍もなく僕をドキドキさせてくれた女優さんトップ5を発表します。え? 待ってなかった? そ、そんなぁ。まあ、気が向いたらお付き合いくださいませ。
なお、僕はそれぞれの女優さんの大ファンというわけではありません。たとえば、ある映画で「この人、すんげー良いじゃん」と思っても、別の映画では全然魅力を感じないことも多いわけです。これは男優に関しても同じ。役者ってのは、良くも悪くも「素材」ですからね。スクリーンの中で輝いていた女優さんが記者会見とかではパッとしなかったとしても、そこでガックリするよりも「よくぞ化けてくれたもんだ」と思うべきでしょ。ねえ。
では、年代順に書いていきます。作品の内容に関しては少々ネタバレ気味の部分もありますが、ご容赦くださいませ。
●ハンナ・シグラ『リリー・マルレーン』
この映画を観たのは20代の初め頃。最初に写真で彼女を見た時は「オバサンっぽいなぁ」という印象だった。1943年生まれだから、撮影当時の彼女は30代後半だ。ハタチそこそこの若造から見れば、確かにオバサンの部類に入るような気もしないでもないかもしれなかったりするようにも思える。う~ん、このブログを読んでいるご婦人方の年齢層を考えると迂闊な表現はできんなぁ。ははは。
まあ、ともかく写真を見た限りでは、さほど彼女に魅力を感じなかったのよ。ところがどっこい、スクリーンの中で歌ったり笑ったり泣いたりしている姿を見たら、もう胸がドキドキしっぱなしのゾッコン状態。当時はまだビデオが普及していなかったので、歌声を聴きたくてサントラ盤も買っちゃったもんだ。あと、部屋にデカいポスターも貼ってたなぁ。
彼女が演じたのは、時代と男に翻弄される人気歌手だ。舞台は第二次世界大戦真っ直中のドイツ。言うまでもなく、ヒトラーによる圧政の時代である。『リリー・マルレーン』というのは歌のタイトルで、実際にその当時の兵士たちから熱烈に支持された――というのはあまりにも有名な話だから説明は不要かな? ドイツ語の歌であるにも関わらず連合軍の兵士にも絶大な人気があったり、ドイツ軍によって放送禁止にされたりなど、この歌に関するエピソードは枚挙にいとまがない。
煌びやかな衣装に身を包み、濃いメイクで歌う彼女からは、権力に利用される広告塔の役割を背負わされた痛ましさが伝わってくる。しかし、いくら体制側に与していようと、彼女が願い続けたのは愛する恋人の幸せだった。「君はどっちの味方なんだ!」と喚く恋人に対して、彼女は毅然として「私はあなたの味方よ」と告げる。恥ずかしながら、この場面ではドバドバッと涙が出てきた。こうやって文字にしちゃうと陳腐に思えるかもしれないけど、その時の僕はものすごく感動してしまったのだ。どんなに追い詰められても愛を貫く彼女の姿が、実に力強く崇高に感じられたのである。
●ジーナ・デイビス『ザ・フライ』
これまたハンナ・シグラと同じパターン。写真を見た時にはさほど惹かれなかったのよ。なのになのに、スクリーンの中の彼女にゃ眩暈を覚えるほどクラクラしちまって、もう大変。いやぁ、まいったまいった。
『ザ・フライ』は、映画好きにはおなじみのデヴィッド・クローネンバーグ監督の作品。主人公は「物質転送装置」の開発に取り組む科学者だ。彼は自分を実験台にして「転送」に成功した……ように思えたのだが、実はとんでもない事態を引き起こしてしまう。装置の中に一匹の蠅が入っていたせいで、彼は蠅と人間のハーフになってしまうのだ。「蠅男」の誕生である。
その蠅男の造形は、きわめて気持ち悪い。醜い。グロテスクだ。それだけに蠅男の恋人であるジーナ・デービスの美しさが余計に際立つ。美女と野獣どころの騒ぎじゃない。そして、どんどんグチャグチャになり、原型を留めなくなっていく蠅男を、それでもジーナ・デイビスは愛する。その献身的な姿に僕は涙ぐみながら、ジーナ・デイビスの美しさにただただ魅せられていたのだ。いや、彼女が世間的な基準で見てどれくらいの美人なのかは分からない。さっきも書いた通り、チラシなどで写真を見た時は僕もさほど良いとは思わなかったからね。そう、ハンナ・シグラの時と同じだ。そこで僕が思い知ったのは「動いている姿を見なければ映画女優の本当の良さは分からない」ってことである。まあ、女優に限らず男優でも同じなんだけど。
ちなみに、ジーナ・デイビスはデカい。『ザ・フライ』では主演のジェフ・ゴールドブラムが思いっきり大男なのでジーナはさほど長身に見えなかったが、なんと186センチもあるのだ。ちょっとお付き合いするのは大変そうだなぁ。僕、付き合う気だったのか?
<つづく>
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