これが率直な感想。とにかくもう、保険会社や医療機関の非人道的な遣り口には呆れ返るし、憤然とさせられる。たとえば、生後18ヶ月の娘を病院に運んだ母親は「加入している保険会社の系列の病院へ行ってくれ」と診察を断られ、その結果、娘は死亡する。どこの国であろうと、そんなことが許されていいはずがない。しかし、それがアメリカの現実なんだろう。
日本は遙かにマシだとは思いつつも、確実にアメリカの状況に近付いているような気はする。ほんの少し前には、救急車に収容された妊婦が、受け入れてくれる病院が見つからず流産する、という事件が起きたばかりだ。大手保険会社の保険金未払いも社会問題になった。その一方で、テレビからはやたらめったら外資系保険会社のコマーシャルが流れるようにもなっている。ああいう会社は信用できるの? いざという時、ちゃんと金を払ってくれるのか? あと、なんでもかんでも民営化すべし、みたいな風潮が一時期あったけど、あれは乱暴すぎる考え方ではないのか。少なくとも人命に関わることは、しっかりと国が手綱を握った方がいいんじゃないか? などと、いろんなことを次から次へと考えさせられるドキュメンタリーだった。
無論、マイケル・ムーアならではの偏った描き方があるのも事実だろう。だが、この人はそもそも「勉強した結果を見せる」ことより「勉強している過程を見せる」ことを芸風にしてきた表現者だ。彼にとって作品とは2時間弱のフィルムに焼き付けられたものではなく、問題提起を行うという行為そのものなのだろう。
この作品で印象に残ったのは、フランス人が言った「政府は民衆を恐れている。だから福祉に力を入れる」というような言葉だ。ああ、そうか、日本の国民は政府にナメられてるんだ。日本人は権力に弱いからなぁ。その典型である僕としては、とにかく食い物にされないように頑張らなきゃ。って、何をどう頑張ればいいんんだ? 幸いにして一度も入院したことはないけど、ずっと健康でいられるとも思えないからなぁ。うむむ。
あと、改めて「へーっ」と思ったのは、キューバに対する考え方。ほら、日本ではどちらかと言えばキューバに好感を持ってる人が多いよね? 野球が強い国というイメージがあるし、チェ・ゲバラはカリスマ的な存在だ。一時期なんか、街を歩けば必ずチェ・ゲバラの顔がプリントされたTシャツを着た若者を見かけたものである。
でも、アメリカじゃキューバは完全に敵対国らしい。まるで日本にとっての北朝鮮みたいな感じ。当然、それは政府やマスコミによる情報操作の結果だろう。ということは、もしかしたら日本人の北朝鮮への嫌悪感や敵愾心も、情報操作の結果なのかもしれない。まったくもって、真実を見極めるのは難しい。
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