例1) 『エンジェル ウォーズ』はIMAXの字幕版で観るべきか、という一件
先週土曜、『トスカーナの贋作』を観るために名古屋シネマテークへ行ったら、最近よく映画館(ミリオン座、シネマスコーレなど)で顔を合わせるKさんに声をかけられた。共通の知人を介して顔見知りになり、喋るようになった方だ。
『婚前特急』や『冷たい熱帯魚』など最近観た映画について少し話し合ったあと、話題は『エンジェル ウォーズ』に及ぶ。「観たいけど、名古屋じゃ字幕版はIMAXだけなんですよね」と、僕とまったく悩みを持っておられる様子。おお、同志よ。
「どうします?」と問われたので、「まあ、お金もないので、吹替版で我慢するつもり」と答えた。イオンシネマのレイトなら会員1000円だし、コロナ系でもクーポンを使えば1000円なのだ。しかも、どちらもポイントが溜まっているから、タダで観ることも可能である。しかし、IMAXじゃ2000円。いくら画面がデカくて画質も音質も良いといっても、1本の映画に2000円も払うのは、今の自分のフトコロ具合から考えると分不相応すぎるのだ。ここは吹替版で我慢しなきゃ。と、いわば自分に言い聞かせるような気持ちで、僕は「吹替版で我慢するつもり」と言ったのだった。
しかし、それから2時間後、気が付くと(って、それまで意識不明だったわけじゃないけど)僕は109シネマズ名古屋のIMAXシアターの座席に身を沈めていた。Kさん、すみません、あの時は確かにIMAXで観るのは我慢するつもりだったんです。でも、それを口にした直後、急にムクムクと「やっぱりエミリー・ブラウニングの声をスクリーンで聴きたい!」という気持ちが湧き上がってしまったんです。その衝動を抑えることは僕には無理でした。ホント、すみません。次にお会いする時には『エンジェル ウォーズ』について語り合いましょう。
ちなみに、IMAXの料金は2000円(3Dだと2200円)だけど、こんな時のために財布に忍ばせていたクーポン券を使ったので、200円OFFの1800円だった。で、初めて入ったIMAXシアター及び『エンジェル ウォーズ』の感想は……また改めて。
例2) 船戸さんの「ゴルゴ」シリーズは読むべきか、という一件
一昨日、ちょっと用事があって、仙台に住むGさん(って、名前を伏せる必要は特にないけど)と電話でお話しした。で、もうすぐ船戸与一氏の『満州国演義』シリーズの新刊(『大地の牙 満州国演義6』)が出ますよ、というニュースをお伝えしたあと、「ゴルゴ13」のノベライズ版シリーズに関して、やや否定的な意見を口にした。2月の終わり頃に出た1巻目『落日の死影』を読んでる最中なんだけど、それが自分にとってはいまひとつ面白味に欠ける内容なので、2巻目以降はパスしちゃうつもり、というようなことを言ったのである。
これは正直な気持ちだった。それに、今の厳しいフトコロ具合ではそうそう本にお金を使えない。しかも『満州国演義』シリーズは1冊2100円だ。これは何が何でも読まなきゃならない(よね?)。なので、「ゴルゴ13」シリーズの残りはとりあえず見送ろう。と、これまた、いわば自分に言い聞かせるような気持ちで宣言(って言い方もアレだが)したわけである。
だが、その日の夜に『落日の死影』の後半を読んでいたら、僕の心に変化が生じた。この小説、はっきり言って前半はいまひとつだったのだが、終盤に向かうにつれてどんどん面白くなってきたのだ。ゴルゴの徹底したプロ意識と非情さ、そして船戸さんのドライな語り口に夢中になり、すっかり作品の世界にのめり込んでしまった次第である。
読み終えた直後、猛烈に2巻目の『鬼畜の宴』が読みたくなった僕は、気が付くと(って、それまでも意識はあったけど)ネットで注文していた。Gさん、すみません。7月に名古屋へ来られた際には、ゆっくりと船戸さんについて語り合いましょう。