少年トッパ

『スプライス』の感想

 なぜ今頃『スプライス』の感想? えっと、途中まで書いたところで放り出してあったからです。とっくに上映終了してますよね、すんません。若干ネタバレあり……でもないかな?

 天才的な科学者が、その優秀さと熱心さゆえにモンスターを生み出してしまう、という古典的な展開の作品である。面白いのは、その科学者が「子供のいない若い夫婦」であることだ。よって、物語は必然的に「子育ての苦労」をなぞったようなものになる(序盤では「ペット禁止のマンションで犬や猫を飼っているカップル」のようにも見えるが)。
 ドレンと名付けられた異形の生命体は確かに特殊で厄介な存在ではあるが、普通の子供だって充分に厄介な部分を持っているものだ。子育てで苦労した方ならば、むしろ「ドレンの方が遥かに健気で聞き分けがいい」と思うのではないだろうか。実際、短期間で大人へと成長するわけだから、手がかかる期間は短いわけだ。
 そして、その健気さこそが、このドレンという異形の生命体を魅力的なものにしている。ほとんどの観客は、彼女を愛しく思ったことだろう。もっと自由に生きさせてあげればいいじゃん、と言いたくなっただろう。物語が悲劇的な方向へ進むのはこうしたジャンルの作品としては必然であろうが、できれば彼女が異形の存在ままで生き続ける、という結末にしてほしかった。ほら、オバQだってドラえもんだって、普通の家庭に居候して普通に生活してたんじゃん!
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