少年トッパ

名古屋での卓治ライブを振り返る。

 前にも書いた通り、小山卓治の「25th Anniversary フォトブックレット」に、僕が偉そうに書いたコメントが載っております。で、ごく一部の方からのリクエストにお応えして、それをここに転載いたします。

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 1983年7月、卓治が歌う姿を初めて見た。場所は鶴舞にあるFM愛知のスタジオ。そこで番組の公開録音が行われたのである。本当は善人(だよね?)なのに、「どうせ、みんな○○○目当てだろうけど」とメインのゲストの名前を出して挑発的な発言をしたことは、今も鮮明に……いや、さほど鮮明でもないけど、しっかりと覚えている。ちなみに、2003年に豊橋のハウスオブクレージーで卓治の前座を務めた鈴木祐樹は、観客に向かって「どうせ、みんな卓治目当てだろうけど」と言った。歴史は繰り返す。
 1984年6月、名古屋市民会館中ホールではステージの前に柵が設けられるなど厳重な警備の中でライブが行われたが、残念ながら客席は4列目ぐらいまでしか埋まらなかった。しかし、同じ年の秋、そして翌年春のハートランドスタジオでの熱気は凄かった。開演と同時に観客が一斉に椅子を隅の方に積み上げ、我も我もと前方に押し寄せるようになったのだ。がらんとした後方スペースで、熱狂する観客越しに僕は卓治の姿を見ていたものである。同じ頃、アンコールでスマイリーがバドワイザーの自販機に乗ってサックスを吹く、なんてこともあった。そういえば、名古屋港のガーデン埠頭での野外イベントの時は、出番を終えてワゴン車で去る卓治ご一行に歩道橋の上から手を振ったものだ。懐かしいなぁ。そんなこんなで、80年代は瞬く間に過ぎ去った。
 90年代の卓治は、いささか迷走しているように思えた。なかなか作品は発表されず、ライブの本数も減った。『Rocks!』発売直後のライブは大いに盛り上がったが、それ以外は申し訳ないことにあまり強い印象は残っていない。このまま卓治は過去の人になってしまうのか? そう懸念していたのは僕だけじゃないだろう。
 しかし、20世紀が幕を閉じるあたりから、再び卓治は活発に動き始めた。生気を取り戻したかのようにライブの本数が増え、リリースも相次いだ。そしてそれと同時に、後世に語り継がれるべき出来事を次々と起こしてくれるようになった。
 まず2001年8月のイベント「TOKYO ACOUSTIC NITE 2002」では、ステージの上で意識を失って入院。今でこそ笑い話だが、目の前で倒れられた時はマジでこっちの寿命が縮んだものだ。かと思えば、翌年9月16日(卓治45回目の誕生日!)のライブ後には、奇特なファンたちによる真夜中の路上ライブに、たつのすけ氏と共に乱入。深夜の栄で『傷だらけの天使』の即興セッションが開催された。その場に居合わせなかったことが残念で仕方ない。
 2006年7月には生声ライブ「Naked“eyes”」にファン数名を出演させ、自らのギターをバックに『嵐からの隠れ場所』を歌わせた。この時は僕も図々しくも参加させていただいたわけだが、不覚にも歌詞を間違え……ああ、思い出したくない。ホント、すみません。
 2007年6月の全曲披露ライブ第2弾では最後の曲『YELLOW CENTER LINE』を歌い忘れたままステージから引っ込み、マネージャーさんに指摘されて慌てて戻ってきた。もちろん、ほとんどの観客がまだ一曲残っていることに気付いていたのは言うまでもない。そして、2008年2月。休憩をはさんで4時間、計36曲を歌うというライブでは、終わったのが午後10時40分で、そのあとに予定されていたサイン会が始まったのが午後11時、という前代未聞の記録(だよね?)を樹立。「会場の使用時間をオーバーしてるんじゃない?」「延長料金が発生しないか?」などとファンを心配させたものである。
 さあ、次のライブでは、どんな珍事を起こしてくれるのだろうか。楽しみにしているのは僕だけじゃないはずである。……って、ここまで書いてから読み返してみたら、ふざけたことばっかり言ってるじゃん。失敬。
 最近つくづく思うのは、デビューから25年のキャリアの中でここ数年こそが卓治の黄金期ではないか、ということだ。そして、この黄金期はまだまだ続くだろう。きっと、青臭さと荒々しさを残したまま円熟味を増していくのではないだろうか。
 最後にひとつ、決意表明。ここまで来たら、卓治が引退するまで見届けてやるぞ!

*     *     *     *     *

 というわけで、「見届けてやるぞ!」と締めた以上、7/26(土)のライブへ行かないわけにゃいかんよなぁ。なんせ名古屋で12年半振りのバンド編成ライブだもん。しかし、仲間たちの晴れ舞台も見届けたいし……嗚呼。

コメント一覧

トッパ
その悔しがり方は素直でいいじゃん。卓治や鈴木祐
樹の場合は、観客に対して挑発的な言い方だったの
よ。強がって悪いヤツぶってた、って感じ(笑)。

内に秘めるか剥き出しにするのかはともかく、野心
は必要だよね。
まりゅう
旅から戻ったばかりで疲れ気味のためにまともなコメントは出来ませんが・・
  
何もコメントがないままなのはもったいない記事なので、あえて書かせて貰いました。
  
11日に福岡で染谷俊を観てきました。
  
前座の誰それもやはり、
「今日は染谷さんを観に来た人・・?」
と会場の観客に挙手を求めてきました。
  
殆んど全員が手を挙げたのを見て、
  
「チクショー!いいなぁ~!」
  
と本気で悔しがってましたよ。(笑)
  
そんな奴らには・・
若さと可能性があるんですよね。
  
野心・・ももちろん必要ですね。
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