ひかりとしずく(虹の伝言)

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ブータン ②  シンプルな幸福観

2012-05-22 | ポルカさんのちゃぶ台だよりから
GNH(Grass National Happiness is more important than Grass National Product.)という理念の意味するものを4代国王のことばで拾い上げていきますととてもシンプルです。でも深い意味が内包されている気がします。
「私が国民総幸福量という言葉で表現したかったのは人生の充足である」
「“幸福”というのは非常に主観的なもので個人差がある。だから本来は国の方針とはなりえない。私が意図したことはむしろ“充足”である。それはある目的に向かって努力する時、そしてそれが達成された時に誰もが感じることである。この充足感を持てることが人間にとって最も大切なことである。私が目指していることはブータン国民一人ひとりがブータン人として生きることを誇りと思い、自分の人生の充足に充足感を持つことである。」
本『ブータン王室はなぜこんなに愛されるのか』より

思うにこれはGNH第二位の経済大国である私たち日本人に欠けているものではないでしょうか。希望する職につけない、派遣社員、失業、血縁地縁の欠如した無縁社会。飽食の豊かさと共に増える不健康。そして原発事故による見えざる恐怖etc.

四代国王の愛用句“ガー・トト、キー・トト”(ゾンカ語)心身ともに心地よい状態という一見素朴にも聞こえる幸福観は大地震で家屋、家族を失った方には切実にせまる“日常性の幸せ”を表現しているのでは、と思います。
「ブータンは、近代化はするが西洋化はしない」(同書60ページ)
ブータンはヒマラヤ7.000メートルの銀嶺を背に地上1.000メートルにいたる斜面山岳地帯。「最後の秘境」とも言われてきた。長い間陸の孤島として鎖国状態だったため近代化の歩みは遅い。国連加入は1971年。しかし国際社会へのデビューが遅れた分ブータンは先進国の陥ったジレンマをつぶさに見ることになります。経済の高度成長がもたらした光と影を。特に負の面として環境破壊や公害、地方の過疎化、伝統文化の衰退、行き過ぎた競争社会がもたらした貧富の差、失業、自殺率の増加などなど。
 
北に中国、南にインドという大国にはさまれた弱小国ブータンはそういう先進国の状勢を踏まえてGNHの概念を醸成してきたに違いありません。国の政策として四つの柱を打ち出している。
① 健全な経済成長と開発 ②環境保全と持続的な利用 ③伝統文化の保護と振興 ④良い統治

このようにGNHという理想を掲げるブータン国の現実はどうなのだろう。国家予算の3割はインド、日本などの国際援助による。道路、電力などのインフラ整備は決定的に遅れている。発電はブータンの最大の産業。爆流が落下する山岳地帯ゆえ、水力発電で得た電力をインドに輸出。それが最大の外資獲得となっている。しかし険しい地形に阻まれて国内の送電網は未発達。都市郡での普及には時間がかかる模様。しかし電気代は安いため、いったん電化された地域ではテレビ、ビデオ、炊飯器、ラジカセなどが急速に普及している。

ただ羨ましいことは、教育費と医療費の無料(国家蔵出の三割、識字率約六割)国土の森林面積の割合を60%以上の維持を定めるエコ国家。たばこ喫煙の制限、環境保護のためポリ袋の使用が制限されているので現地調達は難しい!ヤッホー!

ポルカ

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