時代小説と最中

台風が近づいています。昨日のうちにしっかりお買い物をしてきたし、休日にしておかなきゃいけない雑用も済ませてしまったので、今日は家で本でも読みながらゆっくりしようと思います。
年間、どのくらい本を買っちゃうでしょうか。好きな作家のものは必ず買ってしまいます。文庫本で。文庫本なら出かけるときに持ち出しても小さくて軽いから邪魔になりません。それに、小さい私の手にちょうど良いサイズです。

宮部みゆきは好きな作家の一人です。映画にもなった『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』などで多くの人に知られていますが、私が好きなのは時代小説です。時代小説でありながらファンタジー小説であるところがかなりお気に入りです。
たとえば『霊験お初捕物控 震える岩』。捕物帳にオカルトチックな要素が加わった作品ですが、決して突拍子もない作品ではありません。たしかに「死人憑き」という奇怪な話で始まりますが、読んでいくうちに「こんな話、あるかもしれない…」と思ってしまうくらい、ある意味「自然」です。それは宮部さんの筆の力によるものであることは間違いないのですが。
「震える岩」の物語は、奇怪な事件を調べる中で「忠臣蔵」の浅野内匠頭が切腹した場所、愛宕下の田村邸に行き着きます。…あとは是非読んでみてください。絶対に面白いから！

さて現在では、田村邸のあった場所は、新正堂という和菓子屋さんになっています。随分前に仕事でこの店の前を通ったことがあり、店の前に掲げられた「切腹最中」の幟が気になったのが、新橋に行くことがあれば必ず買いに行くようになった始まりです。
中に求肥が入っている餡がたっぷりの最中。あまりにもたっぷりで最中の皮が閉じていません！　ネーミング通り、最中が切腹してます！
面白いのは、この切腹最中をお詫びの気持ちをこめたお届けものに使う人があるということ。「申し訳ございません！腹かっさばいてお詫びいたします」ということでしょうか。こんな「お詫び」をもらったら、私ならすぐ許しちゃうんだけどなぁ～。