あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

子どもたちの世界

2023-07-22 | 本(文庫本)
伊坂幸太郎さんの『逆ソクラテス』を読みました。

学校に通っている子どもたちは夏休みに入りましたね。私が子どもだった頃の夏休みって、確かに毎日暑かったけどここまで暑くはなかった。朝の体操の時間帯はまだ爽やかな空気で、汗だくになって体操をすることはなかった。だけど今は、体操を始める前から汗まみれ! 頑張れ・負けるな子どもたち!
本日、梅雨明けしました。明日は大暑です。

どこにでもいるごく普通の小学6年生。ある日転校生の安斎から担任の好ましくない思考を本人に気付かせるための大胆な作戦を持ち掛けられる。「敵は、先入観だよ」という安斎が計画したのは「カンニング」。クラスメイトや大人たちを巻き込んでく変えた結末は? 全5編収録。第33回柴田錬三郎賞受賞作。

あとがきで伊坂さん自身が「かなり自分の中でお気に入りの短編になった」とあったのは本当に間違いなかったです。それほど面白かった。
伊坂さんの作品では子供が主人公のものなんてお目にかかれませんが、描かれている子どもたちが実に「子どもたち」でした。子どもを生き生きと鮮やかに描ける作家さんは宮部みゆきさんがいちばんだと思うのですけど、こんなの読ませられちゃったら、この先、伊坂さんのお名前も挙げないわけにはいかない!
全作小学生の日常の物語で、特別な事件が起きるわけでもなく、淡々と日常が描かれます。これも伊坂作品にしては珍しいパターンだと思うんです。どこにも呼吸をするように悪いことをするようなオトナは出てきません。「ちょっと間違った方向に育っちゃったね」くらいのオトナが出てくるくらいです。
そして伊坂作品らしい伏線回収、他作品とのちょっとしたリンクもちゃんとあります。ここがファンにはたまらないところです。とくに5篇目の『逆ワシントン』は、できれば『残り全部バケーション』を読んでからいっていただくと、登場人物とか「ワシントンの桜の話」がリンクしていて楽しめるでしょう。

本作はオトナだから楽しめるものであることは間違いないのですけど、子どもたちにも読んでほしいなぁ、と思うのです。子どもとしてこういう考え方ができるとか、オトナや友だちとの付き合い方ができるとか、知ってほしいなぁと思ったりしました、おばちゃんは。

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