あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

奥州街道徒歩の旅

2023-04-18 | 本(文庫本)
浅田次郎さんの『流人道中記』を読みました。
読書よりも桜観察がプライベート時間のメインになってしまう春。今年はこの本と一緒でした。

「痛ぇからいやだ」。姦通の罪で奉行所から切腹を言い渡された旗本・青山玄蕃こう言い放ち、蝦夷松前藩へ流罪となる。押送人は詳細を知らされずに玄蕃を松前藩に送り届けることになった見習与力・石川乙次郎。口も態度も悪い玄蕃と奥州街道を北へと歩む乙次郎は、次第に玄蕃の本当の姿を知ることになる。

私にとって「ハズレのない浅田さんの時代物」ですが、今回は戸惑うことが多かったような気がします。主人公である青山玄蕃のキャラクター設定にとまどったまま読了してしまった、という感じなんです。
多分、浅田さんがこういう人物が好きなんだと思うんですね。だから主人公として成立しているんでしょうけど、あまりにもできすぎと言いましょうか、こっちが構えて読んでしまうような人物の印象でした。
逆に19歳の石川乙次郎は、婿養子になって出世を果たしたけれど、それがまったく馴染まずに、出世はしたけれど自分の生き方を手探りしてもがき苦しんでいます。そういう姿の方が感情移入しやすくて好きかな~。『一路』とか『大名倒産』のパターンですね。本書はそれとはちょっとテイストが違います。
だからといって面白くなかったわけではないのです。
若い与力の押送人と高貴な流人の奇妙なコンビが、旅の途中で像遇する数々のドラマは、ドキドキ物の連続です。次第にお互いを理解して友情や尊敬の気持ちも芽生えていくところも素敵です。

本書、時代小説としてだけでなく紀行小説としても楽しめました。憧れの東北、奥州街道を徒歩で行く。今と江戸時代ではまったく状況は違うでしょうが、最後は龍飛岬まで。
♪津軽海峡、冬ぅ~景~色ぃ~♪
いやいや、奥州街道を徒歩で行くには冬はだめよ。私が行くなら絶対に春。江戸の桜の開花を見届けて、それから桜前線と一緒に北へ。龍飛岬まで行ったらそのまま北海道へ渡る。このコース、憧れるわ~。

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