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FC東京ービッグクラブへの道

ビッグクラブへの道①~銀河系軍団との戦い

2007年10月16日 | ビッグクラブへの道
「サッカーを読解せよ」の担当マサトくんの真似事を、
わたくしタカオもやってみようと思う。
うーん…途中で暴走するかも(笑)。

2003年8月5日。オレたちが絶対に忘れてはいけない日だ。
FC東京が、世界最強にして最高のチームとはじめて戦った日。
そして、最大の屈辱を味わった日である。

FC東京対レアル・マドリッド。
当時、「銀河系軍団」と呼ばれ、
膨大な資金力をバックに、世界中の才能たちをかき集めて
前年のチャンピオンズリーグを制覇したマドリーは、
03-04シーズンを更なる成績を残すために、
マンチェスターユナイテッドからデビッド・ベッカムを獲得。
シーズンが始まる前に、アジアツアーを慣行、
その相手がFC東京であった。
この日、国立競技場に集結した銀河系軍団のメンバーは、
真新しいユニフォーム姿のベッカムを筆頭に、
ジダン、フィーゴ、ラウル、ロベルト・カルロス、ロナウド、
マクマナン、モリエンテスにカシージャス…。
ざっと思い出すだけでも、とんでもないメンバーである。
東宝映画の「怪獣大進撃」か、
はたまた東映映画の忠臣蔵か。つまり、スター総出演である。
対するFC東京、オリンピック代表の遠征で、石川、茂庭、徳永がいない、
オールスター戦に監督推薦で出場するアマラオもいない。
前年ヨーロッパチャンピオンの銀河系軍団に、
飛車角抜きの上に、王将までナシ!?
東京の7番浅利は、プロ選手でなく東京ガスの社員である。
今でこそ東京の中心選手…にまで成長した梶山、韓国代表になったチャンは
当時高校生。飛車角王将抜きの東京、
その穴は高校生二人とサラリーマンで埋めるという布陣で挑む。
前期4位と言う、東京としては最高の順位を記録した直後だったけれど、
果たしてそれで、マドリーに通用するのか!?
そんなオレたち東京サポーターの心配をよそに、
世間一般の注目は、スター軍団がどんなサッカーを魅せてくれるのか?であった。

このような「ドリームマッチ」が組まれる背景には、
02年ワールドカップの成功がある。
日本代表の決勝トーナメント進出で、一気にヒートアップした日本列島、
日本がベスト16で敗退した後も、スーパースター達の競演に
日本中が酔いしれ、空前の盛り上がりを見せた。
その象徴がベッカムである。
あの時、日本人は自国のユニフォームだけでなく、
他国、例えばイングランドやブラジルのユニフォームを着て観戦すると言う事が
世界的には珍しい国民性として紹介されていたが、
一番多く見られたのがイングランド代表の7番のユニフォームであった。

この事実を、世界がどう捉えたか?と言うと、
日本はサッカーのマーケットになると言うことだった。
金になることならなんでも飛びつく日本の商社、マスコミ、呼び屋が
匂いを嗅ぎ付け群がってくるのと時を同じくして、
欧州のビッグクラブは日本をはじめとしたアジアマーケットに目をつけた。
本来であれば、シーズン開幕を前に大事な調節をしているはずの選手たちを
アジア各国に引きずり回したのが、このアジアツアーだ。
そういう内情がありながら、ワールドカップの熱狂が冷めていない日本人の
「サッカーファン」の皆様は、この企画に食いついた。
国立での東京との試合のチケットには、ネットで高値がつき、
東京ドームで行われたマドリーの公開練習には、
有料にもかかわらず、たくさんの人たちが群がるように見に行った。

国立競技場は、東京にある。厳密にはFC東京のホームスタジアムではないが
少なくとも日本にあるスタジアムであることに間違いない。
にもかかわらず、この日、国立を埋め尽くした54,268人の観客のうち
東京サポーターは約1万5千人程度だろうと思う。
後は、真っ白なレアル・マドリーのユニフォームを着た観衆だったのである。

まずもって、ほとんどが白い国立のスタンドを見た時点で、
予想はしていたけれど、オレら青赤サポーターの腹は煮えくり返っているのだ。
白いユニフォームを纏った彼らは、おおよそサッカー観戦に来ている雰囲気とは
程遠く、外国から来た大物アーティストのライヴに来たような、
そんな浮ついた空気も一緒に纏っていた。
そもそも興行主ですら、外タレを呼んでる感覚でマドリーを迎えたのだろう、
オレらにしてみれば信じられないことだが、
東京ゴール裏にも白いユニフォーム姿がチラホラ見受けられる。
ホームとアウェーサポーターを区切る干渉地帯もスタンドには設けられていない。
スタンドを一席たりとも無駄にせず、いっぱいに人を詰め込みたかったのだろう。
そうまでして、取れる金は取れるだけ吸い取りたかったにちがいない。

オレたち東京サポーターは、
レアルマドリーを、偉大なる敵として迎えた。
そこにも、この企画との隔たりを感じていた。
だが、我慢していた、不可解な笛で与えたフリーキックを、
ベッカムが東京ゴールにねじこむまでは。

マドリーが先制点をあげた瞬間、4万人ほどのマドリー「ファン」たちは
「これこそを見たかった」と言わんばかりに大きな拍手で湧いた。
その中で、東京ゴール裏のはじっこに陣取る一団が、「レアルコール」をはじめた。
そこまで我慢に我慢を重ねてきたオレたちの限界が、この時来た。
「レアルコール」をしていた一団に、
東京サポーターが掴みかかり揉み合いになる。
暴力行為は、決して誉められた行為ではない、だが、
東京ゴール裏において、そういうことをするとどうなるか?
サポーターなら常識中の常識である。
干渉地帯を設けなかったこと、
アウェーチームのサポーター(ファン)を分けて入場させなかったこと、
主催者の認識を疑う。
金になることなら、なんでも群がるヤツらに、そんな良識を求めるほうが
ムリだと言うことなのだろう。
いずれにせよ、試合中に東京ゴール裏で暴力沙汰が起きてしまうと言う
言語道断の事件が、この日、国立競技場で見られた。

もし、岡田主審が、あの時不可解な笛を吹かなかったら…
ベッカムのフリーキックもなかったろうし、
あの1点が入らなかったら、試合はどっちに転んでいたかわからなかった。
オレたちは、マドリーに勝つつもりで国立へ行ったのだ。
そして、そのためにやるべき事も、きちんと認識して試合に臨んだ。
力は確かに、マドリーのほうが上だ。
だが、あの時、「FC東京(ごとき)がレアルに勝てるわけがない」と言う声を
たくさん耳にしたけれど、そういう発言自体が、サッカーを知らないと
言っているようなものだと、言ってる人たちは気付いていないのだろう。
勝つための方策は、常にある、それがサッカーだ。

あの日、オレたちの国立は、大事なことがわかっていない浮ついた
白いユニフォームを着た人々に占領され、汚された。

当時の「銀河系軍団」を「サーカス団みたいにこのメンバーで
世界中まわればいい」と書いたライターがいたが、
この指摘は間違っていない。
サッカーでなく、「サーカス」が見たい人たちから
さんざん世界中で金を巻き上げた挙句、この銀河系軍団一座は
この後、まったく勝てなくなってしまった。
サッカーの神様は、大事なことがちゃんとわかってるヤツなようだった。

とにかくオレは、
この日、いつか絶対に世界一になってやる、
そう心に誓った。
そして、それは、オレひとりではないはずだ。

あの時、オレと同じように悔しい思いをしたのなら、
あの屈辱を絶対に忘れず、心に刻み込んでおけ。
どんなに不可能と思われることでも、
目指そうとしないヤツは辿り着くことが出来ない。
だから、いつか、必ず世界一になろう。
そして、世界一になっても、あの時のレアル・マドリーのようなクラブには
FC東京はならない、そう誓っていよう。

サッカーの神様は、意外と平等なようだから、ね。

タカオ




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