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(虚空蔵峠道を行く 枇杷ノ沢左岸に紅葉した椛が見える)
注意!辰目沢右岸尾根は一般ルートではなく整備されていません。
埼玉県飯能市とときがわ町との市町境に刈場坂峠という眺めの良い所がある。その南から源を発する高麗川の右岸の尾根は牛立久保北西にあるピーク(奥武蔵登山詳細図(吉備人出版)では二子山)から南下し、高畑山で東に向きを変えて天覧山へと延びている。この高麗川右岸の尾根のうち、牛立久保北西のピーク(二子山)から伊豆ヶ岳までを一般に正丸尾根と呼んでいる。人里近いこの尾根にはいくつもの峠があるが、地理院地図や登山ガイドを見るとその中に虚空蔵峠という峠道の無い峠があるのに気づく。正丸尾根は昔の地形図にも道が描かれていた尾根で、現在でも関東ふれあいの道としてハイキングコースが設定されている。ボクもかつて何度かこの尾根を歩き、虚空蔵峠も通ったことがあるのだが、峠道が無いことをいつも不思議に思っていた。
昔の地形図を見ると虚空蔵峠から西に下る枇杷ノ沢を使って現在の正丸トンネルの横瀬町側(初花口)へと下りる峠道が描かれている。地理院地図には正丸トンネル付近から東へ登る尾根(辰目沢右岸尾根)道が描かれているが、虚空蔵峠への峠道は描かれていない。しかし正丸尾根を何度か歩く内に枇杷ノ沢に踏み跡が残されていることに気づいた。そこで今回は正丸トンネル付近から辰目沢右岸尾根を登って666m峰まで行き、666m峰付近の鞍部から枇杷ノ沢を使って虚空蔵峠まで登ってみたい。虚空蔵峠より先はどこへ行っても良かったのだが、未踏であった高麗川源流の碑から刈場坂峠までの道を上がり、刈場坂峠からは夏に訪れることができなかった関八州見晴台まで歩くことにした。
芦ヶ久保駅から虚空蔵峠
朝、始発電車で芦ヶ久保駅へとやって来る。かつての虚空蔵峠道の横瀬町側の登山口である初花集落へは芦ヶ久保駅からバスで行くこともできるのだが、本数が少なく(休日は4本)、駅での接続も悪い。少々面倒だが、芦ヶ久保駅から初花集落まで歩くことにした。始発電車としたのは次の電車ではバスに抜かれる可能性が高いからで、接続が良ければバスで行きたかった。駅を出ると駅前広場は工事の囲いがされている。ここは日向山や芦ヶ久保大観音の展望スポットとして使っていたので、囲いがされてしまったのは残念だ。駅前広場の石段を下って国道299号に出る。ここから4㎞弱舗装路を歩いていく。日曜日の朝6時台にしては行き交うクルマが多い。国道沿いは北側に集落が広がっており、あまり見所は無い。逆に南側は横瀬川の向こうに雑木林が広がり、紅葉が楽しめる。ただ今日はまだ時間が早いせいで横瀬川の谷は暗く、スマホのカメラで撮っても色が出ない。
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(芦ヶ久保駅前広場から)
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(国道を東へ 横瀬川の対岸は紅葉が盛り)
駅を出て20分ほどで赤谷集落内の大野峠登山口に着く。当ブログを始める前にこの峠道を歩いたことがあり、わりと歩きやすかった記憶がある。ここを過ぎるとトンネルが見えてくるが、目的地の正丸トンネルではなく、赤谷トンネルだ。短いトンネルを抜けると中井集落で芦ヶ久保駅周辺や赤谷集落に比べると人家は少ない印象だ。長渕バス停を過ぎるとようやく正丸トンネルが見えてくる。トンネルの手前に民家があり、その脇を舗装路が下っている。民家の敷地に踏み入れるような感じがして緊張するが、舗装路は民家の前を素通りして橋を渡っていく。
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(大野峠登山口 この辺り結構民家が多い)
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(赤谷トンネル ここは短いので人が通るのもOK)
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(中井集落に入ると横瀬川の左岸を行くようになる)
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(正丸トンネル 人の通行は禁止されている 虚空蔵峠への道は左の道を入る)
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(横瀬川にはしっかりとした橋が架かっている)
橋を渡ると杉林の中の砂利道となり、急坂を登りきると草地脇に出る。奥武蔵登山詳細図には立入禁止の看板の右を登るとあり、草地の向かいの斜面を見ると笹薮の中を道らしきものが延びている。立入禁止と書かれた看板は無いが、文字の消えかけた看板があるので、おそらくこれのことなのだろう。笹薮の中の道に踏み入ると意外にも地面は固い。笹薮を抜けると西向きの斜面の下をトラバースしていく。地理院地図だと真っ直ぐ登っているように見えるが、実際は北にある人家のほうへ一旦入り込んで折れ曲がる形で西に延びる尾根を横切っているようだ。尾根を回り込むと小さな谷になっていて、踏み跡が分かれる。左は雑木林が広がる緩斜面でかつて畑作などに使われたのだろう。踏み跡はここで切れるので、今度は右の道に入る。
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(左下に見えるのが奥武蔵登山詳細図に書かれている立入禁止の看板だろう)
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(笹薮を抜けるとトラバース道になる 踏み跡は明瞭)
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(左の道に入るとこの雑木林で道が途切れる)
右の道は斜面を横切るように延びる。辰目沢へ近づいたのが沢の音が聞こえてくる。踏み跡は薄かったり草で覆い隠されたりするものの、足裏からはしっかりと踏み固められた地面の感触が伝わってくる。道が一旦途切れたかと思うと九十九折の折り返しとなっていて、急斜面をジグザグに登っていく。結構急に感じる斜面ではあるが、大きな九十九折となっているので楽な登りだ。かつての峠道の雰囲気が濃い。辰目沢右岸尾根を登り始めてから20分経った頃、不意に住居跡のような平場に出る。峠道は基本的に杉林の中を登るが、ここだけは切り株すら無い更地で、小さな沢が流れている。これほどの山の中で水が得られるというのは貴重だったのではないだろうか。
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(しばらくはトラバースしながら上がっていく)
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(トラバース道が途切れたかと思うと九十九折の道となる)
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(平場に出た 奥に見える窪地には小さな流れがある)
開けた平場で一瞬道を見失うが、平場の西にある小さな尾根の上に踏み跡が延びるのを見つける。ここもジグザグの九十九折となっているが、踏み跡は草藪に隠れ、度々見落としてしまう。多少道が崩れた所もあるらしく、地面も柔らかくなっている。ただ道が不明瞭になれば尾根を直登すればよいので、この尾根を登りに採る分にはそれほど難しくない。尾根を直登するうちに草藪の中に斜面をトラバースする踏み跡を見つける。それを辿っていくと杉林の無い開けた所に出る。ただ先ほどのような平場はなく、草や灌木が繁茂している。住居跡というよりは畑でもあったのではないだろうか。ここで踏み跡は完全に消える。東へトラバースを続ければどんどん急な斜面となってしまうので、西に見える尾根を直登するのが正解のようだ。
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(平場で道を見失ったらこの道を見つけよう)
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(踏み跡がグズグズになっていて、九十九折が崩れている 尾根を直登していこう)
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(伐採地で道が途切れる 藪の薄い所を通って尾根に上がるのが正解)
西に見える尾根は今立っている所より高く盛り上がっていて、周囲も藪に覆われているので、できるだけ藪の薄い所を進む。藪の薄い所は獣道にもなっているらしく、鹿の糞が多い。尾根に上がってみると傾斜はそれほど急ではなく、直登していくと立木にテープが巻かれている。奥武蔵登山詳細図にも赤テープと書かれている所があるが、どうも地形が違う。もっと尾根が緩くはっきりとしているのだ。そこでスマホの地図ロイドを起動させると尾根が舌のように出っ張っている所にいることがわかった。今のところ順調に高度を稼げている。舌状の尾根からは特に踏み跡はないが、尾根自体は明瞭で迷う所はない。真っ直ぐ登っていくと東へトラバースする踏み跡が草藪の中を延びていく。
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(尾根に上がると立木にテープが巻かれている 右下へ尾根が続いているがこちらは通っていない)
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(舌状の尾根を登っていくとトラバース道の踏み跡がある)
トラバース道をどんどん進むと右手に突き出した小さな岩場がある。コンパスを使うとこの岩場は南に延びる急な尾根の上辺りにいるらしい。666m峰の山頂付近に差し掛かり、傾斜がかなり緩くなった。明瞭な踏み跡を進むと666m峰北東の鞍部に出る。そしてこの鞍部の東には北東にあるピークを南から巻いていくように道が付けられている。方向からするとこの道が枇杷ノ沢へと続いているのではないだろうか。ここまで来れば急ぐ必要はないので、666m峰の山頂へと寄り道していく。下からも見えていたように山頂の南側は檜に覆われているが、北側は明るい雑木林となっている。広葉樹の落ち葉が地面を覆い尽くし、もう冬枯れの山といった雰囲気だ。結構広い山頂なので休憩するには良い。
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(666m峰の山頂を巻く道に出た)
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(道を外れた所に岩場がある)
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(666m峰北東の鞍部)
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(666m峰の山頂)
地理院地図を見ると道形は鞍部から北東のピークを南に巻いて更に登っている。今鞍部からやや薄く延びている道が尾根を登っていく道でないことを祈るばかりだ。鞍部の東にある道に踏み入れると尾根からだいぶ外れて東へと向かう。踏み跡は思ったよりも明瞭で辰目沢右岸尾根を登ってきたときよりもわかりやすい。辰目沢の核心部へと近づいたせいか沢音が再び聞こえる。途中ヌタ場があり、それを避けていくと小さな沢が道を横切る。沢を少し遡る形で渡り、東へ更に延びるトラバース道を進むと右下に沢が見えてくる。これが枇杷ノ沢だ。沢を大きく高巻いているためか、峠道はしっかりと維持されていて、崩れている所は全くない。枇杷ノ沢の右岸を進んでいると沢の中にスポーツタイプの自転車が横たわっているのが見える。沢の中なので上流から流されてきた可能性はあるが、少々気味が悪い。
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(鞍部の東にこの道がある 結構明瞭)
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(ヌタ場 小さな沢があり、水が溜まりやすいのだろう)
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(道を横切る沢 踏み跡があり、容易に渡渉できる)
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(右下に枇杷ノ沢が見えてきた)
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(かなりしっかりとした道だ)
順調に踏み跡を辿っていると前方が開け、やや大きな沢にぶつかる。枇杷ノ沢は右手に見えているので別の沢だ。踏み跡はここで消えていてどう進んだらよいか迷う。周囲を見回すと沢の向かいの尾根に枝に巻きつけられた赤テープがある。尾根に薄く踏み跡があるようだ。沢を渡渉し、尾根を上がると再び枇杷ノ沢右岸に踏み跡が復活する。高巻いていた沢が段々と近づき、傾斜も緩くなると沢は左に曲がり、広い谷となる。谷の左岸は一面の広葉樹の林で、右岸は伐採作業も入った杉林になっている。谷の中心は細い水流があるようだが、問題なく渡渉できる。踏み跡は特になく、歩きやすい所を適当に行けばよいようだ。どちらかといえば伐採作業の入った右岸より雑木林が広がる左岸のほうが歩きやすい。この辺りは以前虚空蔵峠を訪れた時にいくらか散策して見覚えがあり、峠はもう近いことがわかって、思わずガッツポーズをしてしまった。
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(谷が大きく二つに分かれている所に出る 見えている沢を渡渉し、尾根を登るのが峠道)
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(沢を渡るとテープの巻かれた枝がある)
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(尾根に上がるとしっかりとした道が枇杷ノ沢右岸に付けられている)
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(枇杷ノ沢が左に曲がると広い谷に出る 峠は近い)
緩やかな左岸の平地をのんびり進むと暗い杉木立の向こうが開けているのがわかる。杉木立を抜けるとやはり見覚えのある東屋が現れる。無事虚空蔵峠に着いた。時計を見ると8時半前で思ったよりも時間が掛かっていない。辰目沢右岸尾根は多少傾斜の急な所があり、また枇杷ノ沢の中がどんな状態かわからなかったので、2時間は優に掛かるだろうと思っていた。しかし実際に歩いてみると辰目沢右岸尾根には各所に峠道が残されており、枇杷ノ沢も明瞭な道が残っていて、往時の峠道の歩きやすさを実感することができた。ザックを東屋に置き、周囲を少し散策する。尾根上には石祠があり、顔の削られた石仏がある。その石祠の前を抜けた先が飯能市側の峠道が延びていた斜面だ。下れないほど急という訳ではないが、道形は残っていない。
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(峠の直下までやってきた 虚空蔵峠に来たらこの辺は散策しても楽しい)
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(虚空蔵峠の東屋)
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(鞍部にこの石祠がある)
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(虚空蔵峠の飯能市側の斜面 踏み跡らしきものはない)
高麗川源流の碑から関八州見晴台
虚空蔵峠の峠道を歩き通せたことで今日の目的の大半は達成してしまった。もう旧正丸峠経由で正丸駅に下ってしまっても良いのだが、時間は8時半。これで下ってしまうにはもったいない。計画書では関東ふれあいの道を使って牛立久保経由で刈場坂峠に行く予定だったが、奥武蔵登山詳細図を見ていて、高麗川源流の碑から刈場坂峠へ至る道を歩いたことが無いことに気づいた。どうせならここも歩いてみたい。虚空蔵峠から高麗川源流の碑までは林道苅場坂線を下っていく。古い地形図には当然この道は載っておらず、かつては高麗川沿いに登山道が延びているだけであった。現在は全面舗装の立派な林道が延びていて、虚空蔵峠から高麗川源流の碑までは問題なく歩くことができる。林道沿いは杉檜の林が優勢ではあるが、時折紅葉した雑木林に目を奪われる。
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(林道苅場坂線からの眺め この日は靄っていて展望には恵まれなかった)
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(林道苅場坂線で出会えた紅葉)
虚空蔵峠から20分弱下ると高麗川源流の碑に着く。石碑の周りは整備が入っていて、紅葉した椛が美しい。ここは以前林道苅場坂線を延々と下ったときに訪れたことがあったが、刈場坂峠までの道は荒れ気味と聞いて、歩くのを避けたのだった。さて荒れ具合はどんなものなのだろう。石碑の裏に山道が沢沿いに延びている。この道はかつての刈場坂道をほぼ踏襲しているものと考えられ、明瞭な踏み跡が続く。沢の側なので多少の荒れはあるだろうとは思ったのだが、予想よりもしっかりとした道が続き、傾斜が急なことを除けば歩きにくい所はない。沢が二手に分かれる所で左の沢に入る。刈場坂峠の南に位置する谷を直接登っていくのかと思っていたのだが、道は西にある谷を登り、そこから九十九折に斜面を登っていく。九十九折を登りきると刈場坂峠から林道苅場坂線を少し下った所に出る。
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(高麗川源流の碑)
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(源流の碑の裏へ道が延びている)
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(高麗川の源流がつくる小滝)
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(奥に見えるのが西の谷 道は西の谷へ向かっている)
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(西の谷を離れる形で九十九折が付けられている)
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(林道に出た 奥が刈場坂峠)
別荘地を横目に刈場坂(かばさか)峠へとやって来る。いつもはクルマやオートバイ、ロードサイクルなどで訪れた人たちで賑やかな所だが、今日はバイクのライダー一人しかいない。どうやら峠のすぐそばを通る奥武蔵グリーンラインの東側で道路工事が行われているせいらしく、ツツジ山の入口も通行止めとなっていた。峠の北側からはだいぶ木が邪魔するものの、川木沢の頭から堂平山や金岳、雷電山などが見える。相変わらず展望は悪くない。休憩を取っているとローディの男性がやって来る。峠の西側は完全に通行止めとはなっていないようだ。
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(刈場坂峠)
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(峠からの眺め)
さて刈場坂峠から関八州見晴台までは所々奥武蔵グリーンラインを通らなければならないのだが、峠の東口に立てられた通行止めの案内板を見ると傘杉峠までを一応通行止めとしているようだ。問題があるようなら途中で(今年の9月に歩いた)岩井沢林道や柏木尾根を使って下ることもできるので、行ける所まで行ってみよう。ツツジ山の入口は入れないので、峠の東に広がる緩斜面を上がってそこからツツジ山の登山道に入る。登山道はツツジが植栽された関係で迂回路が整備されたが、ここは朽ちた土留めの木段を上がっていった方が雑木林を楽しめる。刈場坂峠から10分も歩けばツツジ山(879.1)の山頂に出る。東側が一部開けているが、今日は薄い靄がかかっていて展望は冴えない。奥武蔵登山詳細図には刈場坂山と名付けられているが、地元のボランティアがツツジを植栽したので、ツツジ山という名称が定着していくのではないだろうか。
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(刈場坂峠からツツジ山への道)
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(ツツジ山頂上)
ツツジ山から関八州見晴台の間は「奥武蔵へようこそ」が第2シーズンに入ってから頻繁に歩いている所であり、特筆すべきことはない。ツツジ山から東に延びる尾根を下り、グリーンラインに出る。工事個所はそれほど長くないようで、全面的に通行ができないというわけではないようだ。旧刈場坂峠と三本ブナ(833)は以前に立ち寄った所でもあり、どちらもグリーンラインを使って巻いていく。グリーンラインの北側は広葉樹の林が多く、杉檜ばかりと思われがちな奥武蔵にしては紅葉も楽しめる。9月にも訪れた檥峠を過ぎ、その際にも使った南の脇道に入ると暗い杉林の林床を紫陽花の黄色く紅葉した葉が彩る。改めてここは通らないと損だなと思う。連続するヘアピンカーブの所も山道に入る。ここは雑木林の紅葉が美しい。9月の際にはカットした飯盛山(センズイ 816.3)に久し振りに寄っていく。グリーンラインからだと傾斜の緩い道を登っていけばよいので寄りやすい。木立に覆われた飯盛山を越えると飯盛峠へと下りてくる。
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(ツツジ山はグリーンライン沿いの山にしては雑木林が多い)
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(こんな笹薮の道もある)
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(グリーンラインの紅葉 もう見頃過ぎという感じだった)
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(檥峠 日向根へ下る林道は通行止めとなっている)
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(9月にも使った巻き道 紫陽花の葉が色づいていた)
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(グリーンラインの紅葉 北側は雑木林が多い)
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(ヘアピンカーブが連続する所は山道を上がったほうが近道)
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(飯盛山の標識)
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(飯盛峠)
飯盛峠の南東にはもう一つの飯盛山である龍ヶ谷富士があるが、こちらは傾斜の急な斜面をよじ登る必要があるのでグリーンラインを使って巻く。793m峰も巻き、グリーンラインが右に曲がる所で道標に従って山道に入る。山道は北東に向いた斜面を巻いていくが、山道を外れて尾根を上がるとカンナタテの山頂に出る。ここは以前訪れたはずなのだが、全く見覚えが無い。2015年の記事を読んでみるとカンナタテの南側を巻いたらしく、そちら側には大日如来の石碑が置かれていたようだ。カンナタテの山頂から東へはかなり急な斜面で下ることができないので、道を戻って巻き道を使ってグリーンラインへ下りると梅本林道の分岐に出る。
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(カンナタテ)
千段萱と呼ばれる平たいピークを横目に過ぎると再び山道が尾根上に延びる。770m峰は奥武蔵登山詳細図によると井戸入と呼ばれているらしい。だがこのピークを越えるとまたグリーンラインへ下りてしまうのでわざわざ登るほどではない。次に山道を上がれば後は関八州見晴台まで尾根を進めばいい。途中2軒の廃屋らしきものがあり、少々薄気味悪さを感じる。アンテナの立つ建物を回り込むと関八州見晴台(山頂標識によると771.1m)に到着だ。ここは人気の山だけあって既に10人ほどの登山者が憩っている。東屋のベンチが空いていたのでザックを下ろし、ここで昼食を取っていくことにする。その前に展望を楽しもうと思ったが、南側はやはり白く靄っていて遠望が利かない。西側はいくらか青い空が望めるが、以前よりも枝が延びて武甲山辺りは隠れるようになってしまった。辛うじて富士山は拝めたので良しとしよう。昼食は3月の秩父御岳山以来久し振りのカップラーメンにした。新型コロナウイルスが再び流行しているので、素手で触りがちな菓子パンやカロリーメイトは避けることにしたのだ。
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(千段萱 結構広い)
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(井戸入 道が直角に曲がるのが特徴的)
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(関八州見晴台に立つ高山不動の奥の院)
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(関八州見晴台から南東側の眺め)
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(関八州見晴台から南西側の眺め 武甲山はだいぶ枝が被るようになった)
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(靄っていたが、何とか富士山も拝めた)
大窪峠越え
昼食を終えて時計を見ると11時前。ここから西吾野駅までの最短ルートは高山不動からシバハラ坂を使って間野集落へと下りるものだが、頻繁に使っているので面白味に欠ける。以前中尾山を登った時に大窪峠に登ったが、峠を越えたことは無かったので、今回は峠を越えて休暇村奥武蔵へと下りてみよう。関八州見晴台から高山不動へは南に延びる尾根を下る。山頂付近はツツジの木が多く、葉が真っ赤に色づいている。尾根上も広葉樹が多く、黄色く色づいたものが多い。不動茶屋跡の西から高山不動の本堂へと下りてくる。本堂脇には大きな椛の木があるが、色づいているのは葉先だけで、全体に色づくのはまだ先のようだ。急な石段を下りきると高山不動の見所の一つである大イチョウが出迎えてくれる。こちらも青い葉が目立ち、見頃まではまだ1週間くらいかかりそうだ。
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(関八州見晴台頂上付近の紅葉)
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(丸山という標柱が立っている辺り 右手に巻き道も付いている)
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(丸山下の紅葉)
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(不動茶屋跡からの眺め)
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(高山不動の本堂 側の椛は葉先だけが赤くなっていた)
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(急な石段を下る)
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(石段下の広場にある椛)
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(大イチョウの紅葉は始まったばかり)
大イチョウのある広場から東へ行くと飯能市の旧高山小学校の建物がある。その下を舗装路が下るが、これを使うと南西へ延びる車道に出てしまう。建物の脇を通り過ぎると八徳(やっとく)・瀬尾(せび)を示す道標が現れる。どうせなら広場側に道標を置いた方が良いのではないだろうか。車道に出て、少し登り返すとカーブの所に道標が立ち、山道が延びる。虚空蔵山(618.7)を西に巻く道で墓地があるせいかよく整備されている。左手から虚空蔵山からの尾根が下ってくる所が嶽ノ越。道は尾根を越えてそのまま八徳へと下るが、大窪峠へは南西へ延びる明瞭な尾根を下る。
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(旧高山小学校の建物 嶽ノ越へは下に見える道ではなく、建物の脇を行く)
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(ここから嶽ノ越へ入る)
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(嶽ノ越)
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(嶽ノ越からは歩きやすい道が下る)
フラットな鞍部を経て尾根は三ツ平(570)と呼ばれるピークで登り返すが、道はこの三ツ平を東から巻く。尾根が西へ曲がる所がエゴ辻で樽沢コースが分岐している。以前男滝見物の際に使ったことがあるが、そのときと変わらず落枝が多いように見える。樽沢コースを見送ると南側に傾いたトラバース道を行く。踏み幅が狭く、ここは歩きにくい。エゴ辻から少し歩くと志田近道が現れる。これは樽沢コースの尾根より一つ西にある尾根を下るものだ。以前大窪集落を訪れた時は近道を使わずに九十九折を下りたので、今回は近道に入る。近道は尾根を真っ直ぐ下るもので、九十九折になっている所はない。傾斜がかなり急な所もあり、登りに使うのはしんどいだろう。ずっと尾根を下っていくが、一か所だけ尾根を外れてトラバースする所がある。踏み跡がやや薄いので迷わないようにしたい。
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(鞍部へ下りてくるとフラットな尾根となる)
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(右を上がれば三ツ平だが、上がったことが無い)
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(エゴ辻 ここに訪れたのも3度目となった)
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(このトラバース道は傾いているので歩きにくい)
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(志田近道の分岐)
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(志田近道は尾根を真っ直ぐ下っていく)
沢沿いを下るようになると九十九折の道と合流する。200m近い標高差を15分で下ってきてしまった。何気なく振り返ると他の登山者も志田近道を下ってくる。道が良く整備されているので、西吾野駅を基点とした周回コースを採る人が多いのだろう。杉林を抜けると明るい民家の敷地裏に出る。この民家が奥武蔵登山詳細図にある柿の木坂の家だ。ここから道はクルマが通れるほどの広さとなる。よく整備された砂利道を下り、志田川に架けられた橋を渡る。奥武蔵登山詳細図にはこの橋を沢戸橋としているが、現地の道標には「わたど」橋と書かれている。橋の袂に置かれた石にも「わた…」と彫られているので、当ブログではわたど橋と表記することにする(なお山と渓谷社の分県ガイドでも「わたど橋」と表記している)。
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(志田近道と九十九折の道との合流点)
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(柿の木坂の家)
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(わたど橋)
わたど橋から大窪集落内を抜ける道は2016年にも歩いており、その頃と状態に変化はない。古道らしい歩きやすいトラバース道で、高山不動から大窪集落へと下りてきたのなら、この道を使わないのは損だと思わせるほどだ。道はよく整備されている一方、山中にある民家は今ではほとんど使われていないようだ。長沢川沿いの集落へ出る道中、若い男性二人組とすれ違う。大窪から高山不動へと登る道は傾斜が急なので、間野から登る人が圧倒的に多いのだが、敢えてこの道を使う人もいるのだなと感心する。祠のある岬のような尾根を越えると大きく下って長沢川沿いの集落へと下りてくる。集落の上には神社があり、建物の側にある巨大な岩に驚かされる。
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(岩を掘ってつくった道 古道の雰囲気はあるが、古い地形図には載っていない)
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(薪が積んであるが、左の建物は廃屋となっている)
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(路傍の石仏)
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(道標 志田川に架けられている橋は「わたど橋」と書かれている なおあじさい館とは現在の休暇村奥武蔵である)
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(以前は綺麗に整備された農地だったが、今は若干荒れた雰囲気である)
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(集落を結ぶ道ということでかなり広い道だ)
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(尾根の手前にある民家 以前は洗濯物が干されていたのだが…)
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(道の山側にも家があるようで結構石垣が積まれている所が多い)
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(突き出した尾根の上にある祠)
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(尾根を越えると大きく下っていく)
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(集落内にある神社 左の大岩が特徴的)
大窪峠への大窪集落側の入口は民家の車庫裏にあり、以前訪れた時も敷地内を通ってよいものなのか悩んだ所だ。長沢川の側に腰を下ろして休憩を取っていると志田近道を下りてきた若い男性二人組が追い越していくが、やはり入口で迷っていた。ボクのアドバイスに安心して峠へ向かっていったが、奥武蔵には民家の敷地を通るルートが結構多くて困ってしまう。畑の先の竹林をトラバースしていくとそのまま大窪峠に出る。人の手で掘った切通は比較的小さなものだが、以前梨本峠へ向かった際にはかなり細い尾根だったので、大荷物を背負って越えるには必要な工夫だったのだろう。
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(大窪集落 左に見える民家の車庫裏から大窪峠への道が延びる)
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(竹林を抜けていく このままトラバース道を上がって峠に出る)
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(大窪峠 北側からのアングル)
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(南側からのアングル)
峠から休暇村奥武蔵へと下る道も歩きやすい。途中南西に延びる尾根を越える所で小さな切通があり、こういう心遣いも嬉しい。この小さな切通を過ぎるとフェンスが張られた開けた谷に出る。休暇村奥武蔵の建物を見下ろし、背後には子ノ権現や古御岳・伊豆ヶ岳などが見渡せる。それにしてもこのフェンスの向こうの敷地は何なのだろう。フェンス沿いに下っていくと木製のドアがあり、道は敷地内を延びていく。敷地内は整備された庭園となっており、植えられた椛の葉が赤く染まっている。順路は今一つわからないが、時折現れる道標を見る限り、下へ下へと進んでいけばよいようだ。左手から小沢が見える辺りに石碑が立ち、地主の好意によって奥武蔵花楽会が整備した庭園であることが記されていた。
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(大窪峠を南に下るとすぐに小さな切通で尾根を越す)
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(杉林を抜けると整備された庭園の上に出る 左奥が子ノ権現 中央右寄りの奥の双耳峰が古御岳・伊豆ヶ岳)
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(ドアを開けて庭園へ入れる)
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(庭園内で色づく椛などの広葉樹)
朝も歩いた国道299号へ下り立ち、舗装路を歩いて西吾野駅へ向かう。疲れた身体でこの舗装路歩きは腰に来る。西吾野駅への最後の上り坂はかなりきつい。駅のトイレで顔を洗ってホームに上がると間もなく電車がやって来る。タイミングが良すぎて息つく暇も無い。電車に乗り込み、ようやく炭酸飲料に一口付ける。11年目のスタートとしてはなかなか良い山歩きだった。虚空蔵峠道は枇杷ノ沢内で明瞭な道が残されていたので、地図から消えた今でも歩く人は結構いるのではないかと感じた。今後もこうした古道散策を無理のない程度に続けていこうと思うのだった。
DATA:
芦ヶ久保駅6:22→6:44赤谷集落(大野峠登山口)→7:09正丸トンネル初花口→8:02 666m峰→8:27虚空蔵峠→8:44高麗川源流の碑→9:04刈場坂峠9:10→9:19ツツジ山(刈場坂山 879.1)→9:45檥峠→10:01飯盛山(センズイ 816.3)→10:04飯盛峠→10:14カンナタテ→10:35関八州見晴台10:59→11:19高山不動→11:32嶽ノ越→11:38エゴ辻→11:40志田近道分岐→11:58柿の木坂の家→12:01わたど橋→12:18大窪集落→12:26大窪峠→12:36休暇村奥武蔵(旧奥武蔵あじさい館)前→13:01西吾野駅
地形図 正丸峠
トイレ 刈場坂峠 高山不動
交通機関
西武池袋・秩父線 小手指~芦ヶ久保 471円 西吾野~小手指 377円
関連記事:
平成27年11月28日 高山不動から正丸峠
平成28年3月21日 北川尾根から中尾山
平成28年6月12日 四寸道と男滝
2020年9月22日 正丸から上大満
辰目沢右岸尾根及び枇杷ノ沢内の峠道は一般ルートではありません。地形図とスケール付きコンパスの使用必須です。不安な人はGPS機器があると便利です。辰目沢右岸尾根については奥武蔵登山詳細図に詳しく載っていますが、ルートファインディングの経験があったほうがよいでしょう。枇杷ノ沢内は峠付近を除いて踏み跡は比較的明瞭です。下りよりも上りのほうがわかりやすいかもしれません。
高麗川源流の碑から刈場坂峠へ向かう道は一般ルートです。特に難しい所はありません。
注意!辰目沢右岸尾根は一般ルートではなく整備されていません。
埼玉県飯能市とときがわ町との市町境に刈場坂峠という眺めの良い所がある。その南から源を発する高麗川の右岸の尾根は牛立久保北西にあるピーク(奥武蔵登山詳細図(吉備人出版)では二子山)から南下し、高畑山で東に向きを変えて天覧山へと延びている。この高麗川右岸の尾根のうち、牛立久保北西のピーク(二子山)から伊豆ヶ岳までを一般に正丸尾根と呼んでいる。人里近いこの尾根にはいくつもの峠があるが、地理院地図や登山ガイドを見るとその中に虚空蔵峠という峠道の無い峠があるのに気づく。正丸尾根は昔の地形図にも道が描かれていた尾根で、現在でも関東ふれあいの道としてハイキングコースが設定されている。ボクもかつて何度かこの尾根を歩き、虚空蔵峠も通ったことがあるのだが、峠道が無いことをいつも不思議に思っていた。
昔の地形図を見ると虚空蔵峠から西に下る枇杷ノ沢を使って現在の正丸トンネルの横瀬町側(初花口)へと下りる峠道が描かれている。地理院地図には正丸トンネル付近から東へ登る尾根(辰目沢右岸尾根)道が描かれているが、虚空蔵峠への峠道は描かれていない。しかし正丸尾根を何度か歩く内に枇杷ノ沢に踏み跡が残されていることに気づいた。そこで今回は正丸トンネル付近から辰目沢右岸尾根を登って666m峰まで行き、666m峰付近の鞍部から枇杷ノ沢を使って虚空蔵峠まで登ってみたい。虚空蔵峠より先はどこへ行っても良かったのだが、未踏であった高麗川源流の碑から刈場坂峠までの道を上がり、刈場坂峠からは夏に訪れることができなかった関八州見晴台まで歩くことにした。
芦ヶ久保駅から虚空蔵峠
朝、始発電車で芦ヶ久保駅へとやって来る。かつての虚空蔵峠道の横瀬町側の登山口である初花集落へは芦ヶ久保駅からバスで行くこともできるのだが、本数が少なく(休日は4本)、駅での接続も悪い。少々面倒だが、芦ヶ久保駅から初花集落まで歩くことにした。始発電車としたのは次の電車ではバスに抜かれる可能性が高いからで、接続が良ければバスで行きたかった。駅を出ると駅前広場は工事の囲いがされている。ここは日向山や芦ヶ久保大観音の展望スポットとして使っていたので、囲いがされてしまったのは残念だ。駅前広場の石段を下って国道299号に出る。ここから4㎞弱舗装路を歩いていく。日曜日の朝6時台にしては行き交うクルマが多い。国道沿いは北側に集落が広がっており、あまり見所は無い。逆に南側は横瀬川の向こうに雑木林が広がり、紅葉が楽しめる。ただ今日はまだ時間が早いせいで横瀬川の谷は暗く、スマホのカメラで撮っても色が出ない。
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(芦ヶ久保駅前広場から)
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(国道を東へ 横瀬川の対岸は紅葉が盛り)
駅を出て20分ほどで赤谷集落内の大野峠登山口に着く。当ブログを始める前にこの峠道を歩いたことがあり、わりと歩きやすかった記憶がある。ここを過ぎるとトンネルが見えてくるが、目的地の正丸トンネルではなく、赤谷トンネルだ。短いトンネルを抜けると中井集落で芦ヶ久保駅周辺や赤谷集落に比べると人家は少ない印象だ。長渕バス停を過ぎるとようやく正丸トンネルが見えてくる。トンネルの手前に民家があり、その脇を舗装路が下っている。民家の敷地に踏み入れるような感じがして緊張するが、舗装路は民家の前を素通りして橋を渡っていく。
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(大野峠登山口 この辺り結構民家が多い)
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(赤谷トンネル ここは短いので人が通るのもOK)
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(中井集落に入ると横瀬川の左岸を行くようになる)
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(正丸トンネル 人の通行は禁止されている 虚空蔵峠への道は左の道を入る)
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(横瀬川にはしっかりとした橋が架かっている)
橋を渡ると杉林の中の砂利道となり、急坂を登りきると草地脇に出る。奥武蔵登山詳細図には立入禁止の看板の右を登るとあり、草地の向かいの斜面を見ると笹薮の中を道らしきものが延びている。立入禁止と書かれた看板は無いが、文字の消えかけた看板があるので、おそらくこれのことなのだろう。笹薮の中の道に踏み入ると意外にも地面は固い。笹薮を抜けると西向きの斜面の下をトラバースしていく。地理院地図だと真っ直ぐ登っているように見えるが、実際は北にある人家のほうへ一旦入り込んで折れ曲がる形で西に延びる尾根を横切っているようだ。尾根を回り込むと小さな谷になっていて、踏み跡が分かれる。左は雑木林が広がる緩斜面でかつて畑作などに使われたのだろう。踏み跡はここで切れるので、今度は右の道に入る。
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(左下に見えるのが奥武蔵登山詳細図に書かれている立入禁止の看板だろう)
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(笹薮を抜けるとトラバース道になる 踏み跡は明瞭)
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(左の道に入るとこの雑木林で道が途切れる)
右の道は斜面を横切るように延びる。辰目沢へ近づいたのが沢の音が聞こえてくる。踏み跡は薄かったり草で覆い隠されたりするものの、足裏からはしっかりと踏み固められた地面の感触が伝わってくる。道が一旦途切れたかと思うと九十九折の折り返しとなっていて、急斜面をジグザグに登っていく。結構急に感じる斜面ではあるが、大きな九十九折となっているので楽な登りだ。かつての峠道の雰囲気が濃い。辰目沢右岸尾根を登り始めてから20分経った頃、不意に住居跡のような平場に出る。峠道は基本的に杉林の中を登るが、ここだけは切り株すら無い更地で、小さな沢が流れている。これほどの山の中で水が得られるというのは貴重だったのではないだろうか。
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(しばらくはトラバースしながら上がっていく)
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(トラバース道が途切れたかと思うと九十九折の道となる)
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(平場に出た 奥に見える窪地には小さな流れがある)
開けた平場で一瞬道を見失うが、平場の西にある小さな尾根の上に踏み跡が延びるのを見つける。ここもジグザグの九十九折となっているが、踏み跡は草藪に隠れ、度々見落としてしまう。多少道が崩れた所もあるらしく、地面も柔らかくなっている。ただ道が不明瞭になれば尾根を直登すればよいので、この尾根を登りに採る分にはそれほど難しくない。尾根を直登するうちに草藪の中に斜面をトラバースする踏み跡を見つける。それを辿っていくと杉林の無い開けた所に出る。ただ先ほどのような平場はなく、草や灌木が繁茂している。住居跡というよりは畑でもあったのではないだろうか。ここで踏み跡は完全に消える。東へトラバースを続ければどんどん急な斜面となってしまうので、西に見える尾根を直登するのが正解のようだ。
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(平場で道を見失ったらこの道を見つけよう)
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(踏み跡がグズグズになっていて、九十九折が崩れている 尾根を直登していこう)
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(伐採地で道が途切れる 藪の薄い所を通って尾根に上がるのが正解)
西に見える尾根は今立っている所より高く盛り上がっていて、周囲も藪に覆われているので、できるだけ藪の薄い所を進む。藪の薄い所は獣道にもなっているらしく、鹿の糞が多い。尾根に上がってみると傾斜はそれほど急ではなく、直登していくと立木にテープが巻かれている。奥武蔵登山詳細図にも赤テープと書かれている所があるが、どうも地形が違う。もっと尾根が緩くはっきりとしているのだ。そこでスマホの地図ロイドを起動させると尾根が舌のように出っ張っている所にいることがわかった。今のところ順調に高度を稼げている。舌状の尾根からは特に踏み跡はないが、尾根自体は明瞭で迷う所はない。真っ直ぐ登っていくと東へトラバースする踏み跡が草藪の中を延びていく。
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(尾根に上がると立木にテープが巻かれている 右下へ尾根が続いているがこちらは通っていない)
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(舌状の尾根を登っていくとトラバース道の踏み跡がある)
トラバース道をどんどん進むと右手に突き出した小さな岩場がある。コンパスを使うとこの岩場は南に延びる急な尾根の上辺りにいるらしい。666m峰の山頂付近に差し掛かり、傾斜がかなり緩くなった。明瞭な踏み跡を進むと666m峰北東の鞍部に出る。そしてこの鞍部の東には北東にあるピークを南から巻いていくように道が付けられている。方向からするとこの道が枇杷ノ沢へと続いているのではないだろうか。ここまで来れば急ぐ必要はないので、666m峰の山頂へと寄り道していく。下からも見えていたように山頂の南側は檜に覆われているが、北側は明るい雑木林となっている。広葉樹の落ち葉が地面を覆い尽くし、もう冬枯れの山といった雰囲気だ。結構広い山頂なので休憩するには良い。
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(666m峰の山頂を巻く道に出た)
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(道を外れた所に岩場がある)
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(666m峰北東の鞍部)
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(666m峰の山頂)
地理院地図を見ると道形は鞍部から北東のピークを南に巻いて更に登っている。今鞍部からやや薄く延びている道が尾根を登っていく道でないことを祈るばかりだ。鞍部の東にある道に踏み入れると尾根からだいぶ外れて東へと向かう。踏み跡は思ったよりも明瞭で辰目沢右岸尾根を登ってきたときよりもわかりやすい。辰目沢の核心部へと近づいたせいか沢音が再び聞こえる。途中ヌタ場があり、それを避けていくと小さな沢が道を横切る。沢を少し遡る形で渡り、東へ更に延びるトラバース道を進むと右下に沢が見えてくる。これが枇杷ノ沢だ。沢を大きく高巻いているためか、峠道はしっかりと維持されていて、崩れている所は全くない。枇杷ノ沢の右岸を進んでいると沢の中にスポーツタイプの自転車が横たわっているのが見える。沢の中なので上流から流されてきた可能性はあるが、少々気味が悪い。
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(鞍部の東にこの道がある 結構明瞭)
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(ヌタ場 小さな沢があり、水が溜まりやすいのだろう)
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(道を横切る沢 踏み跡があり、容易に渡渉できる)
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(右下に枇杷ノ沢が見えてきた)
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(かなりしっかりとした道だ)
順調に踏み跡を辿っていると前方が開け、やや大きな沢にぶつかる。枇杷ノ沢は右手に見えているので別の沢だ。踏み跡はここで消えていてどう進んだらよいか迷う。周囲を見回すと沢の向かいの尾根に枝に巻きつけられた赤テープがある。尾根に薄く踏み跡があるようだ。沢を渡渉し、尾根を上がると再び枇杷ノ沢右岸に踏み跡が復活する。高巻いていた沢が段々と近づき、傾斜も緩くなると沢は左に曲がり、広い谷となる。谷の左岸は一面の広葉樹の林で、右岸は伐採作業も入った杉林になっている。谷の中心は細い水流があるようだが、問題なく渡渉できる。踏み跡は特になく、歩きやすい所を適当に行けばよいようだ。どちらかといえば伐採作業の入った右岸より雑木林が広がる左岸のほうが歩きやすい。この辺りは以前虚空蔵峠を訪れた時にいくらか散策して見覚えがあり、峠はもう近いことがわかって、思わずガッツポーズをしてしまった。
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(谷が大きく二つに分かれている所に出る 見えている沢を渡渉し、尾根を登るのが峠道)
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(沢を渡るとテープの巻かれた枝がある)
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(尾根に上がるとしっかりとした道が枇杷ノ沢右岸に付けられている)
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(枇杷ノ沢が左に曲がると広い谷に出る 峠は近い)
緩やかな左岸の平地をのんびり進むと暗い杉木立の向こうが開けているのがわかる。杉木立を抜けるとやはり見覚えのある東屋が現れる。無事虚空蔵峠に着いた。時計を見ると8時半前で思ったよりも時間が掛かっていない。辰目沢右岸尾根は多少傾斜の急な所があり、また枇杷ノ沢の中がどんな状態かわからなかったので、2時間は優に掛かるだろうと思っていた。しかし実際に歩いてみると辰目沢右岸尾根には各所に峠道が残されており、枇杷ノ沢も明瞭な道が残っていて、往時の峠道の歩きやすさを実感することができた。ザックを東屋に置き、周囲を少し散策する。尾根上には石祠があり、顔の削られた石仏がある。その石祠の前を抜けた先が飯能市側の峠道が延びていた斜面だ。下れないほど急という訳ではないが、道形は残っていない。
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(峠の直下までやってきた 虚空蔵峠に来たらこの辺は散策しても楽しい)
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(虚空蔵峠の東屋)
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(鞍部にこの石祠がある)
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(虚空蔵峠の飯能市側の斜面 踏み跡らしきものはない)
高麗川源流の碑から関八州見晴台
虚空蔵峠の峠道を歩き通せたことで今日の目的の大半は達成してしまった。もう旧正丸峠経由で正丸駅に下ってしまっても良いのだが、時間は8時半。これで下ってしまうにはもったいない。計画書では関東ふれあいの道を使って牛立久保経由で刈場坂峠に行く予定だったが、奥武蔵登山詳細図を見ていて、高麗川源流の碑から刈場坂峠へ至る道を歩いたことが無いことに気づいた。どうせならここも歩いてみたい。虚空蔵峠から高麗川源流の碑までは林道苅場坂線を下っていく。古い地形図には当然この道は載っておらず、かつては高麗川沿いに登山道が延びているだけであった。現在は全面舗装の立派な林道が延びていて、虚空蔵峠から高麗川源流の碑までは問題なく歩くことができる。林道沿いは杉檜の林が優勢ではあるが、時折紅葉した雑木林に目を奪われる。
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(林道苅場坂線からの眺め この日は靄っていて展望には恵まれなかった)
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(林道苅場坂線で出会えた紅葉)
虚空蔵峠から20分弱下ると高麗川源流の碑に着く。石碑の周りは整備が入っていて、紅葉した椛が美しい。ここは以前林道苅場坂線を延々と下ったときに訪れたことがあったが、刈場坂峠までの道は荒れ気味と聞いて、歩くのを避けたのだった。さて荒れ具合はどんなものなのだろう。石碑の裏に山道が沢沿いに延びている。この道はかつての刈場坂道をほぼ踏襲しているものと考えられ、明瞭な踏み跡が続く。沢の側なので多少の荒れはあるだろうとは思ったのだが、予想よりもしっかりとした道が続き、傾斜が急なことを除けば歩きにくい所はない。沢が二手に分かれる所で左の沢に入る。刈場坂峠の南に位置する谷を直接登っていくのかと思っていたのだが、道は西にある谷を登り、そこから九十九折に斜面を登っていく。九十九折を登りきると刈場坂峠から林道苅場坂線を少し下った所に出る。
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(高麗川源流の碑)
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(源流の碑の裏へ道が延びている)
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(高麗川の源流がつくる小滝)
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(奥に見えるのが西の谷 道は西の谷へ向かっている)
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(西の谷を離れる形で九十九折が付けられている)
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(林道に出た 奥が刈場坂峠)
別荘地を横目に刈場坂(かばさか)峠へとやって来る。いつもはクルマやオートバイ、ロードサイクルなどで訪れた人たちで賑やかな所だが、今日はバイクのライダー一人しかいない。どうやら峠のすぐそばを通る奥武蔵グリーンラインの東側で道路工事が行われているせいらしく、ツツジ山の入口も通行止めとなっていた。峠の北側からはだいぶ木が邪魔するものの、川木沢の頭から堂平山や金岳、雷電山などが見える。相変わらず展望は悪くない。休憩を取っているとローディの男性がやって来る。峠の西側は完全に通行止めとはなっていないようだ。
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(刈場坂峠)
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(峠からの眺め)
さて刈場坂峠から関八州見晴台までは所々奥武蔵グリーンラインを通らなければならないのだが、峠の東口に立てられた通行止めの案内板を見ると傘杉峠までを一応通行止めとしているようだ。問題があるようなら途中で(今年の9月に歩いた)岩井沢林道や柏木尾根を使って下ることもできるので、行ける所まで行ってみよう。ツツジ山の入口は入れないので、峠の東に広がる緩斜面を上がってそこからツツジ山の登山道に入る。登山道はツツジが植栽された関係で迂回路が整備されたが、ここは朽ちた土留めの木段を上がっていった方が雑木林を楽しめる。刈場坂峠から10分も歩けばツツジ山(879.1)の山頂に出る。東側が一部開けているが、今日は薄い靄がかかっていて展望は冴えない。奥武蔵登山詳細図には刈場坂山と名付けられているが、地元のボランティアがツツジを植栽したので、ツツジ山という名称が定着していくのではないだろうか。
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(刈場坂峠からツツジ山への道)
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(ツツジ山頂上)
ツツジ山から関八州見晴台の間は「奥武蔵へようこそ」が第2シーズンに入ってから頻繁に歩いている所であり、特筆すべきことはない。ツツジ山から東に延びる尾根を下り、グリーンラインに出る。工事個所はそれほど長くないようで、全面的に通行ができないというわけではないようだ。旧刈場坂峠と三本ブナ(833)は以前に立ち寄った所でもあり、どちらもグリーンラインを使って巻いていく。グリーンラインの北側は広葉樹の林が多く、杉檜ばかりと思われがちな奥武蔵にしては紅葉も楽しめる。9月にも訪れた檥峠を過ぎ、その際にも使った南の脇道に入ると暗い杉林の林床を紫陽花の黄色く紅葉した葉が彩る。改めてここは通らないと損だなと思う。連続するヘアピンカーブの所も山道に入る。ここは雑木林の紅葉が美しい。9月の際にはカットした飯盛山(センズイ 816.3)に久し振りに寄っていく。グリーンラインからだと傾斜の緩い道を登っていけばよいので寄りやすい。木立に覆われた飯盛山を越えると飯盛峠へと下りてくる。
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(ツツジ山はグリーンライン沿いの山にしては雑木林が多い)
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(こんな笹薮の道もある)
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(グリーンラインの紅葉 もう見頃過ぎという感じだった)
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(檥峠 日向根へ下る林道は通行止めとなっている)
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(9月にも使った巻き道 紫陽花の葉が色づいていた)
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(グリーンラインの紅葉 北側は雑木林が多い)
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(ヘアピンカーブが連続する所は山道を上がったほうが近道)
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(飯盛山の標識)
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(飯盛峠)
飯盛峠の南東にはもう一つの飯盛山である龍ヶ谷富士があるが、こちらは傾斜の急な斜面をよじ登る必要があるのでグリーンラインを使って巻く。793m峰も巻き、グリーンラインが右に曲がる所で道標に従って山道に入る。山道は北東に向いた斜面を巻いていくが、山道を外れて尾根を上がるとカンナタテの山頂に出る。ここは以前訪れたはずなのだが、全く見覚えが無い。2015年の記事を読んでみるとカンナタテの南側を巻いたらしく、そちら側には大日如来の石碑が置かれていたようだ。カンナタテの山頂から東へはかなり急な斜面で下ることができないので、道を戻って巻き道を使ってグリーンラインへ下りると梅本林道の分岐に出る。
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(カンナタテ)
千段萱と呼ばれる平たいピークを横目に過ぎると再び山道が尾根上に延びる。770m峰は奥武蔵登山詳細図によると井戸入と呼ばれているらしい。だがこのピークを越えるとまたグリーンラインへ下りてしまうのでわざわざ登るほどではない。次に山道を上がれば後は関八州見晴台まで尾根を進めばいい。途中2軒の廃屋らしきものがあり、少々薄気味悪さを感じる。アンテナの立つ建物を回り込むと関八州見晴台(山頂標識によると771.1m)に到着だ。ここは人気の山だけあって既に10人ほどの登山者が憩っている。東屋のベンチが空いていたのでザックを下ろし、ここで昼食を取っていくことにする。その前に展望を楽しもうと思ったが、南側はやはり白く靄っていて遠望が利かない。西側はいくらか青い空が望めるが、以前よりも枝が延びて武甲山辺りは隠れるようになってしまった。辛うじて富士山は拝めたので良しとしよう。昼食は3月の秩父御岳山以来久し振りのカップラーメンにした。新型コロナウイルスが再び流行しているので、素手で触りがちな菓子パンやカロリーメイトは避けることにしたのだ。
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(千段萱 結構広い)
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(井戸入 道が直角に曲がるのが特徴的)
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(関八州見晴台に立つ高山不動の奥の院)
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(関八州見晴台から南東側の眺め)
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(関八州見晴台から南西側の眺め 武甲山はだいぶ枝が被るようになった)
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(靄っていたが、何とか富士山も拝めた)
大窪峠越え
昼食を終えて時計を見ると11時前。ここから西吾野駅までの最短ルートは高山不動からシバハラ坂を使って間野集落へと下りるものだが、頻繁に使っているので面白味に欠ける。以前中尾山を登った時に大窪峠に登ったが、峠を越えたことは無かったので、今回は峠を越えて休暇村奥武蔵へと下りてみよう。関八州見晴台から高山不動へは南に延びる尾根を下る。山頂付近はツツジの木が多く、葉が真っ赤に色づいている。尾根上も広葉樹が多く、黄色く色づいたものが多い。不動茶屋跡の西から高山不動の本堂へと下りてくる。本堂脇には大きな椛の木があるが、色づいているのは葉先だけで、全体に色づくのはまだ先のようだ。急な石段を下りきると高山不動の見所の一つである大イチョウが出迎えてくれる。こちらも青い葉が目立ち、見頃まではまだ1週間くらいかかりそうだ。
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(関八州見晴台頂上付近の紅葉)
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(丸山という標柱が立っている辺り 右手に巻き道も付いている)
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(丸山下の紅葉)
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(不動茶屋跡からの眺め)
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(高山不動の本堂 側の椛は葉先だけが赤くなっていた)
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(急な石段を下る)
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(石段下の広場にある椛)
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(大イチョウの紅葉は始まったばかり)
大イチョウのある広場から東へ行くと飯能市の旧高山小学校の建物がある。その下を舗装路が下るが、これを使うと南西へ延びる車道に出てしまう。建物の脇を通り過ぎると八徳(やっとく)・瀬尾(せび)を示す道標が現れる。どうせなら広場側に道標を置いた方が良いのではないだろうか。車道に出て、少し登り返すとカーブの所に道標が立ち、山道が延びる。虚空蔵山(618.7)を西に巻く道で墓地があるせいかよく整備されている。左手から虚空蔵山からの尾根が下ってくる所が嶽ノ越。道は尾根を越えてそのまま八徳へと下るが、大窪峠へは南西へ延びる明瞭な尾根を下る。
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(旧高山小学校の建物 嶽ノ越へは下に見える道ではなく、建物の脇を行く)
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(ここから嶽ノ越へ入る)
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(嶽ノ越)
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(嶽ノ越からは歩きやすい道が下る)
フラットな鞍部を経て尾根は三ツ平(570)と呼ばれるピークで登り返すが、道はこの三ツ平を東から巻く。尾根が西へ曲がる所がエゴ辻で樽沢コースが分岐している。以前男滝見物の際に使ったことがあるが、そのときと変わらず落枝が多いように見える。樽沢コースを見送ると南側に傾いたトラバース道を行く。踏み幅が狭く、ここは歩きにくい。エゴ辻から少し歩くと志田近道が現れる。これは樽沢コースの尾根より一つ西にある尾根を下るものだ。以前大窪集落を訪れた時は近道を使わずに九十九折を下りたので、今回は近道に入る。近道は尾根を真っ直ぐ下るもので、九十九折になっている所はない。傾斜がかなり急な所もあり、登りに使うのはしんどいだろう。ずっと尾根を下っていくが、一か所だけ尾根を外れてトラバースする所がある。踏み跡がやや薄いので迷わないようにしたい。
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(鞍部へ下りてくるとフラットな尾根となる)
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(右を上がれば三ツ平だが、上がったことが無い)
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(エゴ辻 ここに訪れたのも3度目となった)
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(このトラバース道は傾いているので歩きにくい)
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(志田近道の分岐)
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(志田近道は尾根を真っ直ぐ下っていく)
沢沿いを下るようになると九十九折の道と合流する。200m近い標高差を15分で下ってきてしまった。何気なく振り返ると他の登山者も志田近道を下ってくる。道が良く整備されているので、西吾野駅を基点とした周回コースを採る人が多いのだろう。杉林を抜けると明るい民家の敷地裏に出る。この民家が奥武蔵登山詳細図にある柿の木坂の家だ。ここから道はクルマが通れるほどの広さとなる。よく整備された砂利道を下り、志田川に架けられた橋を渡る。奥武蔵登山詳細図にはこの橋を沢戸橋としているが、現地の道標には「わたど」橋と書かれている。橋の袂に置かれた石にも「わた…」と彫られているので、当ブログではわたど橋と表記することにする(なお山と渓谷社の分県ガイドでも「わたど橋」と表記している)。
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(志田近道と九十九折の道との合流点)
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(柿の木坂の家)
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(わたど橋)
わたど橋から大窪集落内を抜ける道は2016年にも歩いており、その頃と状態に変化はない。古道らしい歩きやすいトラバース道で、高山不動から大窪集落へと下りてきたのなら、この道を使わないのは損だと思わせるほどだ。道はよく整備されている一方、山中にある民家は今ではほとんど使われていないようだ。長沢川沿いの集落へ出る道中、若い男性二人組とすれ違う。大窪から高山不動へと登る道は傾斜が急なので、間野から登る人が圧倒的に多いのだが、敢えてこの道を使う人もいるのだなと感心する。祠のある岬のような尾根を越えると大きく下って長沢川沿いの集落へと下りてくる。集落の上には神社があり、建物の側にある巨大な岩に驚かされる。
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(岩を掘ってつくった道 古道の雰囲気はあるが、古い地形図には載っていない)
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(薪が積んであるが、左の建物は廃屋となっている)
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(路傍の石仏)
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(道標 志田川に架けられている橋は「わたど橋」と書かれている なおあじさい館とは現在の休暇村奥武蔵である)
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(以前は綺麗に整備された農地だったが、今は若干荒れた雰囲気である)
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(集落を結ぶ道ということでかなり広い道だ)
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(尾根の手前にある民家 以前は洗濯物が干されていたのだが…)
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(道の山側にも家があるようで結構石垣が積まれている所が多い)
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(突き出した尾根の上にある祠)
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(尾根を越えると大きく下っていく)
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(集落内にある神社 左の大岩が特徴的)
大窪峠への大窪集落側の入口は民家の車庫裏にあり、以前訪れた時も敷地内を通ってよいものなのか悩んだ所だ。長沢川の側に腰を下ろして休憩を取っていると志田近道を下りてきた若い男性二人組が追い越していくが、やはり入口で迷っていた。ボクのアドバイスに安心して峠へ向かっていったが、奥武蔵には民家の敷地を通るルートが結構多くて困ってしまう。畑の先の竹林をトラバースしていくとそのまま大窪峠に出る。人の手で掘った切通は比較的小さなものだが、以前梨本峠へ向かった際にはかなり細い尾根だったので、大荷物を背負って越えるには必要な工夫だったのだろう。
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(大窪集落 左に見える民家の車庫裏から大窪峠への道が延びる)
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(竹林を抜けていく このままトラバース道を上がって峠に出る)
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(大窪峠 北側からのアングル)
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(南側からのアングル)
峠から休暇村奥武蔵へと下る道も歩きやすい。途中南西に延びる尾根を越える所で小さな切通があり、こういう心遣いも嬉しい。この小さな切通を過ぎるとフェンスが張られた開けた谷に出る。休暇村奥武蔵の建物を見下ろし、背後には子ノ権現や古御岳・伊豆ヶ岳などが見渡せる。それにしてもこのフェンスの向こうの敷地は何なのだろう。フェンス沿いに下っていくと木製のドアがあり、道は敷地内を延びていく。敷地内は整備された庭園となっており、植えられた椛の葉が赤く染まっている。順路は今一つわからないが、時折現れる道標を見る限り、下へ下へと進んでいけばよいようだ。左手から小沢が見える辺りに石碑が立ち、地主の好意によって奥武蔵花楽会が整備した庭園であることが記されていた。
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(大窪峠を南に下るとすぐに小さな切通で尾根を越す)
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(杉林を抜けると整備された庭園の上に出る 左奥が子ノ権現 中央右寄りの奥の双耳峰が古御岳・伊豆ヶ岳)
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(ドアを開けて庭園へ入れる)
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(庭園内で色づく椛などの広葉樹)
朝も歩いた国道299号へ下り立ち、舗装路を歩いて西吾野駅へ向かう。疲れた身体でこの舗装路歩きは腰に来る。西吾野駅への最後の上り坂はかなりきつい。駅のトイレで顔を洗ってホームに上がると間もなく電車がやって来る。タイミングが良すぎて息つく暇も無い。電車に乗り込み、ようやく炭酸飲料に一口付ける。11年目のスタートとしてはなかなか良い山歩きだった。虚空蔵峠道は枇杷ノ沢内で明瞭な道が残されていたので、地図から消えた今でも歩く人は結構いるのではないかと感じた。今後もこうした古道散策を無理のない程度に続けていこうと思うのだった。
DATA:
芦ヶ久保駅6:22→6:44赤谷集落(大野峠登山口)→7:09正丸トンネル初花口→8:02 666m峰→8:27虚空蔵峠→8:44高麗川源流の碑→9:04刈場坂峠9:10→9:19ツツジ山(刈場坂山 879.1)→9:45檥峠→10:01飯盛山(センズイ 816.3)→10:04飯盛峠→10:14カンナタテ→10:35関八州見晴台10:59→11:19高山不動→11:32嶽ノ越→11:38エゴ辻→11:40志田近道分岐→11:58柿の木坂の家→12:01わたど橋→12:18大窪集落→12:26大窪峠→12:36休暇村奥武蔵(旧奥武蔵あじさい館)前→13:01西吾野駅
地形図 正丸峠
トイレ 刈場坂峠 高山不動
交通機関
西武池袋・秩父線 小手指~芦ヶ久保 471円 西吾野~小手指 377円
関連記事:
平成27年11月28日 高山不動から正丸峠
平成28年3月21日 北川尾根から中尾山
平成28年6月12日 四寸道と男滝
2020年9月22日 正丸から上大満
辰目沢右岸尾根及び枇杷ノ沢内の峠道は一般ルートではありません。地形図とスケール付きコンパスの使用必須です。不安な人はGPS機器があると便利です。辰目沢右岸尾根については奥武蔵登山詳細図に詳しく載っていますが、ルートファインディングの経験があったほうがよいでしょう。枇杷ノ沢内は峠付近を除いて踏み跡は比較的明瞭です。下りよりも上りのほうがわかりやすいかもしれません。
高麗川源流の碑から刈場坂峠へ向かう道は一般ルートです。特に難しい所はありません。