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時のしずく

COCCOのフォトダイアリー

ストリートから切り取る  「森山大道 モノクローム」展 

2013年12月24日 00時25分42秒 | 美術・工芸
クリスマス前で賑わう吉祥寺。

半分、賑わいを求めて行ったのに、

クリスマスに浮きたつ街の雰囲気が苦しい・ ・ ・ 



たまらなくなって、美術館に逃げ込みました。

吉祥寺美術館では、「森山大道 モノクローム」展が。 



都会のワン・シーンを切り取った白黒写真の世界。

街の深淵に切り込む眼差し。

容赦のない毒々しさ。

突き放した感さえある距離感。

It's cool!



心のクールダウンができました。





日本民藝館 「新作工芸公募展」に行って来ました♪ 

2013年12月16日 02時31分42秒 | 美術・工芸
東京に暮らしていると、ものすごいスピードで毎日が過ぎていきます。
そんな毎日を過ごしていると、いつの間にか、自分がなんだか上っ面の薄っぺらいモノに流されているような気がすることがあります。
そんなことを感じた休日、日本民藝館に行って静かな時間を過ごします。
昨日もそうでした。

行く前にスケジュールをチェックしたら、毎年開催している「新作工芸公募展」をやっているとのこと。私はこの展覧会は初めてです。日本各地で伝統的な民藝品を作り出しているところが新作を発表する展覧会ということで、期待も募りました。

玄関を入ってみたら、かなり早い時間に行ったのに、いつもよりすごい来館者の数にビックリ!
展示品は、大好きな陶磁器、染織、竹工、木漆工、和紙など。もう最初から、釘付けです。しかも、入選、準入選の品を含めてすべて販売しているので、いつも博物館などで「これ欲しいなぁ~」などとつぶやいているのが、ここでは現実に手に入ります。

●釉薬を流し掛けした入選作のお皿が5000円。・・・買えない値段じゃありません。・・・ほしい。

●網代編みの籠が良い感じです。洋服でも着物を来た時でもどちらでも合いそう。使い込んだら素敵そうです。・・・ほしい。

●ざっくりした風合いが素敵なウールの敷物が40万円です。高いけど、トルコで見たヘレケの絨毯に比べたら比較にならないくらい安いし、むしろ絨毯なんかよりず~と自分好みです。・・・ほしい。

●結城紬のグレーの生地がうれしい色合いです。呉服屋さんで見る値段よりはるかに安い。・・・ほしい。

●高いものばかりじゃありません。出品作品の皿が1000円台のもあります。

もう、見ているうちに、物欲が爆発!!! (^O^)(^O^)(^O^)

こういう時は後悔してもいいから買わないことにしています。第一、何か買おうとして行ったんじゃないし。

いつもは民藝館の玄関を出るとき、静かに何か満たされた気持ちで出ることがほとんどなのですが、今回ばかりは、いつもとは逆の気持ちです。
まぁ、良いものに出会えたことには変わりないので嫌な感じではありませんから、たまにはこういうのも良しとしましょう(^O^)(^O^)(^O^)
来年あたり、母と一緒に来て、お気に入りのものを選んでもらって、早めのクリスマスプレゼントにしましょう♪(あんまり高いものは無理ですが。)

この日は、柳宗悦の元の邸宅の『日本民藝館 西館』が公開されていたので、こちらも見学して柳宗悦の生活を偲んできました。奥様を紹介するコーナーもあり、奥様がクラッシックの歌手として、結婚してからも、ご高齢になってからも活躍なさった方と知りました。
私は、妻の才能を殺さずに花開かせた男が大好きです。柳宗悦はそう言う意味でもいい男だったんですね!

【民藝運動について -日本民藝館のHPから-】
 民藝運動は、1926(大正15)年に柳宗悦・河井寛次郎・浜田庄司らによって提唱された生活文化運動です。当時の工芸界は華美な装飾を施した観賞用の作品が主流でした。そんな中、柳たちは、名も無き職人の手から生み出された日常の生活道具を「民藝(民衆的工芸)」と名付け、美術品に負けない美しさがあると唱え、美は生活の中にあると語りました。そして、各地の風土から生まれ、生活に根ざした民藝には、用に則した「健全な美」が宿っていると、新しい「美の見方」や「美の価値観」を提示したのです。工業化が進み、大量生産の製品が少しずつ生活に浸透してきた時代の流れも関係しています。失われて行く日本各地の「手仕事」の文化を案じ、近代化=西洋化といった安易な流れに警鐘を鳴らしました。物質的な豊かさだけでなく、より良い生活とは何かを民藝運動を通して追求したのです。


<携帯で撮った写真です。カメラの調子が悪いんです(;_;)>

日本民藝館 本館



民藝館 西館(旧柳宗悦邸)







素敵な再会・・・興福寺仏頭展

2013年10月06日 02時40分18秒 | 美術・工芸
<サブカル的なノリで感想を書かせていただきます。許されたし>

先月中旬、イケメンギターリスト、ダニエルさんのストリートライブに行った後、急いで次の場所に向かいました。次のイケメンが上野で待っていたからです。
上野では東京芸術大学美術館で「興福寺仏頭展」が行われていました。イケメンとは、興福寺の『銅造仏頭』と『十二神将』たちです。

『仏頭』は、「白鳳の貴公子」とも呼ばれています。
興福寺は何回も火災にあい、このお仏像も被災して仏頭部分だけが焼け残ったそうです。完全な形でないのに国宝に指定されているのは非常に珍しいとか。それだけイケメンっていうことでしょう。

初めての出会いは十年以上前でした。大スター『阿修羅』に会いたくって奈良の興福寺に行ったのですが、国宝館にはお目当ての『阿修羅』といっしょに『仏頭』もありした。
実は『仏頭』、最初は変な印象でした。
その時『仏頭』は「置く場所がないから、とりあえずここに。」みたいに低い位置に置いてあって、かわいそうでした。
本来、見上げて見る仏像のお顔をほぼ自分と同じ高さで見るので、なんだかお仏様というより、普通の大きな彫刻のよう。
それになんだか・・・加藤登紀子にそっくり!
「わぁ、加藤登紀子」って声に出して笑いそうになって、そんな自分が恥ずかしかった。それに冷静になってよく見れば、眼差しの奥に深い慈愛みたいなものも感じるけっこういいお顔のお仏様です。
(その後、だいぶ経ってから、いとうせいこうさんが著書「見仏記」の中でやっぱり「加藤登紀子にそっくり。」と書いてあったのを読んで、「やっぱり!そうでしょう!そう思ったでしょう!」って嬉しくなりました。)
そのあとも、もう一度、興福寺に行ったのですが、その時は『阿修羅』と『仏頭』が目当てになってました。

今回の展示では、興福寺の時とは違って、『仏頭』が『木造十二神将立像』に囲まれるような形で展示してあって、照明も素晴らしく圧巻でした。何より、もともとの高さではないにしても、少し高い位置にあって、お顔の印象が最初ととても違いました。やはりお仏様らしく近寄りがたい雰囲気・・・主像となるお仏像はこうでなくっちゃね。

『十二神将』は、『板彫十二神将像』(平安時代)と『木造十二神将立像』(鎌倉時代)の2組が展示されていたのですが、なかでも『木造十二神将立像』の伐折羅大将立像(バサラ像)は迫力満点でした。剣を構えてこちらをすごい顔で睨んでいます。
これも、国宝館のギュウギュウ詰めの展示ではそんなに感じられなかったことでした。
バサラさんの剣先と目線の交点に、自分の目があるようにかがんでみたのですが、いや~怖い。怖い!
これはバサラさんの本質を捉える上で正しい鑑賞法だと思いました。皆さんに勧めたい(^O^)

今回の展覧会は、『仏頭』や『十二神将』と再会できただけでなく再発見ができた素敵な展覧会でした。

ちなみに、何とこの展覧会は、インターネットで募集していた招待に応募してあたったんですよ。映画の招待券は一回もあったったことがないけど、美術展は何回も当たってます。皆さんにお勧めです。



この仏頭展は撮影禁止だったので、カメ女としては物足りなくって、その足で近所の東京国立博物館によって、常設展の仏像を中心に写真を撮ってきました。

<東京国立博物館の常設展で>
●千手観音菩薩像 
 14世紀中頃に中国風を取り入れた院派仏師の作と見られるとのこと。
 持ち物が失われていますが、それらがあったら、どんだけカッコ良かったことでしょう。
 お顔も美しくって品があります。思わずすがりたくなる気持ちが信仰のない人間でも分かります。 
 それにしても千手観音さまご本人も自分にピンスポットが当たるなんて考えたことなかったでしょうね。


●データなし(ごめんなさい)
 かなり装飾的で、色っぽいお仏像です。
 腰を曲げたり、手のひらを見せたりは一つの仏像の様式ですが、彫刻として見てもすばらしいと思います。
 こんなお仏像があるから、見飽きないんですね。


●愛染明王坐像 重要文化財 
 最近装飾ガラスを洗浄して飾り直したそうです。
 怖いお顔に似合わず、ビーズ装飾が好きなおしゃれさん♪頭の獣の形をした冠?も迫力があってかっこいい。
 大げさな蓮華座も素敵。


●色絵紅葉賀図茶碗 仁清作 
 雅なお茶碗ですね。さすが仁清さん。
 源氏物語の紅葉賀の巻を光源氏を描かずに暗示的に描いているそうです。
 紅葉の見える広いお座敷で、こんなお茶碗でお茶飲みたいです。


 ダニエルさんのライブは立ちっぱなしだったし、美術館と博物館もはしごして・・・疲れました。
 池に映った雲が可愛かった。最近、空に癒されることが多いです。


集まってしまったマグカップ

2013年07月12日 22時24分11秒 | 美術・工芸
美術展に行っても図録を買いません。
研究者ではないし、何より図録を見ても実際に見た感動と同じものは得られないから。
でも、ミュージアムショップに気に入ったマグカップがあるとつい買ってしまいます。

スペインのプラド美術館でゴヤの「着衣のマハ」のマグを買って以来、何だかマグを買う癖がついてしまったみたいです。
「着衣のマハ」は私が高校生の時、初めて渋谷のデパートで開かれた美術展に行って「本物の絵ってすごいなぁ~!」と感動した、印刷物ではない本物の絵を見る楽しさを教えてくれた絵です。
うん十年ぶりに、スペインで再会してその記念に買いました。

というか、この「着衣のマハ」と「裸のマハ」に再会したくって、スペインに行ったとも言えます。
(でも、その何年か後に「着衣のマハ」は日本に来たんですよね。「裸のマハ」は来なかったけど。)

で、そんな『集まってしまったマグカップ』を紹介します。
一番新入りは、この間行ったファインバーグ・コレクション展での浮世絵のマグです。

※「着衣のマハ」のマグは、持ち手が割れています。東日本大震災でこれだけ棚から落ちて割れてしまいました(;_;) でも捨てられません。










ファインバーグ・コレクション展

2013年07月10日 01時40分38秒 | 美術・工芸
江戸東京博物館で開かれている「ファインバーク・コレクション展」に行ってきました。

アメリカの実業家ファインバーク夫妻が収集した江戸時代を中心とした日本画のコレクションです。
狩野派や土佐派などの保守的なものではない、ファインバーク夫妻の美の琴線に触れた日本画が有名・無名を問わず集められています。

私は美という概念は絶対的なモノではないと思っています。
時代や文明によって、○が×になってしまう、非常に危うい揺れ動くモノ。

東南アジアやトルコなどに行ってTVではなく生で異文化を体験すると、何と自分の美意識が欧米的な価値観によって作られているのかと感じました。
そういう意味で、今の私たちはアジアの人間であっても、美の世界では欧米文化に近い世界にいると思います。(ちょい悲しいけど、・・・昔の下膨れお顔の雛人形より、現代の雛人形のほうが綺麗と思うでしょ。)
これは良いとか悪いとかという問題ではなく、そういう時代に生きてるってことだと思います。

なので、この「ファインバーク・コレクション展」は、たくさんの日本画を自分に近い美意識を持った人が選んでくれた感じで、どれもこれも、どの作品も嬉しくってたまりませんでした。
作品の前でニヤニヤ。

特に谷文晁!
今までかなり日本画は見ているはずですが、なぜか今まで出会わなかった作者です。
『秋夜名月図』は、筆は迷いなく走っているのに、非常に丁寧に秋草を表現しています。
名月の幽玄な世界にとっぷりつからせていただきました。

ファインバーク夫妻ありがとうございました♫

●谷文晁 『秋夜名月図』



それにしても、会場の「江戸東京博物館」!

ポストモダニズム建築の作品で、できた時もあまり評判が良くなかったけど、アクセスは車と人の動線が交差してて危ないし、裏方さんも使い勝手が悪そうなプランニング。
ホールも散漫なデザイン(だって、トイレの入口がメインホールから丸見えなんだよ)。展示室からホールへの出口もまるで倉庫から出るような空間、大事な展示室がこれでは楽屋裏のような印象。

せっかく近くに国技館があって下町の風情のある地域なのに、そんな景観ともマッチしてないし。

積み木を積んだような形のイメージが先にあって、それ以外のことがすべておざなりな感じ。
その狙った形だって、いいとは言えない。

天国の菊竹先生、悪口ばっかりでごめんなさい。

でも、展覧会に来て、建築を見ることが目的でないのに、こんなに悪口を言いたくなる建築って珍しい。