先日、出産が大変だったよ、という話を聞きました。
その中で「帝王切開で産んだ」ということを軽視されたり、出産したうちに入らないと言ったような軽蔑されたような発言をされてしまうことが辛かったという話がありました。
このご時世、帝王切開はもはや市民権を得たというか、ポピュラーな出産方法だと思っていただけに、まさかそんな蔑まれるようなことがあるのかと驚き、辛かったと言うのです。
私もその話を聞いて大変に驚きました。
コラムなどを読んで、世間にはそういう話があると知ってはいたのですが、極めて一部の話だと思っていたのです。
ですから、そのように実際に非難されてしまったと、それも一度や二度ではないと聞いて、心が苦しくなりました。
私がこんなことを言っても効果がないとは思いますが、あえて言います。
私は帝王切開で生まれた子どもです。
人生において、いろんな壁にぶち当たり、劣等感しか持っていないくらいの時期もありましたけれども、そのような時に
「私、帝王切開で生まれたからこんなことになったんだわ。」
と一度も思ったことはありませんでした。
そして、同じように
「私、帝王切開で生まれたからこんな人生になったんです!」
と苦悩されている方がいるという話を聞いたことはありません。
私は大浴場などに行った時に、お腹がつるつるの他のお母さんを見てびっくりしました。
母のお腹には、ざっくりと切り刻んだようなアトがあって、こんなに痛い思いをして産んでくれたんだ、大変だったんだなと思っていました。
帝王切開なんぞで産んで、楽したな?なんて思ったことはもちろん一度もありません。
今でもそんなことは思いません。
あのアトを誰が好き好んでつけますかね。
お腹をかっさばくなんて、人のためにできませんよね!
当の子どもはこんな風に思っていますから、どうぞお気になさらないでくださいと言いたいのですが。
そんなこと言われてしまったら、傷ついてしまうと思います。
私みたいな人に話して楽になるならそれも良いですし、いっぱい泣いて、でも心の底から愛しているんだとお子さんに伝えてだきしめてあげても良いと思います。子どもはこういう時、必ず何かくれますから。
そして、自然分娩推奨派の皆さんにも、ぜひお伝えしたいです。
どんな出産も、子どもにとっては親がお腹を痛めて産んでくれたことに変わりはなく、子どもの人生にそれが影響することはありません。
少なくとも科学的な根拠は今のところないのです。
そんなことのために、傷ついてしまう善良な心優しいお母さんがいることの方がとても悲しいです。
むしろ、私のように自然分娩を推奨し過ぎたがために病気になって、育児に多大なる影響を及ぼしている人間がいるのだということも知って欲しいです。
自然分娩の方も、もちろん多大なる苦労をして出産したことに違いないのです。
みんなみんな、頑張って産んだのです。
誰かを非難することで、自分が大変だったと労るのではなくて。
みんな大変だったと称え合いませんか?
時々いらっしゃる「私楽だったよ!」という方も、その方がすごいのではなく、運がいいだけなのかもしれません。
羨ましいことですし、すごいなあと思いますが、それで難産だった私が劣っていると思ったこともありません。
楽だった方は、大変だったという方に「こうすれば楽だったのにー」みたいな否定をせず、ぜひ労ってほしいです!
母になったみんな、それだけですごいんですから。
それぞれに、何かドラマがあるんです。
私はいろんな話を聞きたいです。そして、がんばりましょうね、といろんな勇気をもらいたいです。