写 真 散 歩

特別じゃなくて、普段の散歩のときに見つけた
モノを写真で綴る、ページです。

OM-System

2007-05-03 | Weblog
このセットを揃えたのは、もう20年近く前の事に成ります・・・
OLYMPUSがOMの後に、AFのシステムをなかなか展開しなかったために、
AFの一眼はパスしていたのです。
その間は、写真の世界からも遠ざかっていました。
仕事とか結婚して・・・自分の時間をもてなかったのも理由ですが・・・
手放さずに、ずっとカメラバッグの中で眠っていたカメラ達です。

OM-1n OM-4
OM24mmF2 OM28mmF2 OM35mmF2 OM50mmF1.4 OM50mmF3.5MACRO
OM85mmF2 OM135mmF2.8 OM180mmF2.8 OM75-150mmF4

この当時のカメラのファインダーは、今のフォーサーズのカメラ達と比べると
あきれるぐらいに、ファインダーの像が大きく見えて、まさに撮るものが
克明に観察できます。

E-SYSTEMを新規に買いそろえるときも、このレンズが
アダプターを間に挟むことで使用可能になるのも魅力の一つでした。
OM ADAPTER MF-1も手に入れてあります。
OMレンズの資産が使えるのが良いですね。
まあ、自動絞りが使えず、実絞り込み測光ですから・・・絞り優先AEしか
使えないとか・・・もろもろ制限は有りますけど・・・汗

私のOLYMPUSとの出会いは、最初はOM-1の憧れに成るのかなぁ・・・
当初、私は中学、高校と模型マニアで、自分の作ったモノを写真で
撮影したい衝動に駆られ・・・
その願いを叶えてくれるのが一眼レフによる接写撮影だったのです・・・
今では、MACROと言って紹介されることが一般的だと思われますが、
20年以上前は「接写」と、言われていたのです。
カメラを使って接近して写す・・・略して「接写」ですよね・・・
その模型雑誌の記事の中で、たまたま紹介されていたカメラが
OLYMPUS OM-1だったのです。
このカメラは、本当に美しいカメラだと思いました。
しかも小型なくせに、必要な機能は、全く省略されることなく、全て備わって
いました。そのカメラは、異端な存在でした。

その当時の、発売されていた他社のカメラの標準的なレイアウトをまるっきり
無視したスタイルをしていたのです。
一般的なカメラの性能を全く落とすことなく、軽量化し尚かつ使いやすさを全く
犠牲にしないために考え抜かれて採用されたレイアウト、
他社では軍幹部に有ったシャッターダイヤルがオリンパスでは、
レンズマウントの部分に有りますこれは、かさばる機械式シャッターユニットを
小型化のために横に寝かせてミラーボックスの下に治めてしまったことによる
レイアウトです。その為、シヤッターのダイヤルをカメラの底に配置する
わけにはいかないため、レンズのマウントの基部に配置したそうです。
そうすると、今度はレンズの絞り還と位置が接近して使いにくく成るため、
今度は交換レンズの絞り還をレンズ先端へと配置するデザインとしたのです。
レンズから見ると、絞り還・ピントリング・シャッター還という一直線の
レイアウトです。
他社には無い独創的なレイアウトで、レンズ交換一眼レフのシステムを
作り上げていたのです。
操作する部分を小さく作らずむしろ、大きくしながら無駄なスペースを
極限まで削ってちぃさくしていく凝縮した一貫した物作りの姿勢が、
オリンパスのDNAだと私は感じるのです。
OM-1が他のカメラに与えた影響は
「小型・軽量」のインパクトです。

その後、発売されるOM-2もOM-1と全く同じ寸法のボディーに
「世界初のTTlダイレクト測光」を搭載して、今では全く当たり前となっている、
フラッシュによる完全自動制御を実現して見せました。
今の一眼レフカメラのフラッシュ撮影でこの機能を全く使用していない機種は
存在しないのでは無いかと思われるくらい、影響力の大きな機能だったと
思います。セカンドインパクトです。(TTlダイレクト測光は、ミノルタの発明
だそうですが、製品にして発売したのはOLYMPUSがパイオニアです。)

その後に発売されたカメラがOM-4です。
このカメラは、私の最初に買ったOLYMPUSの一眼で有り、
また、今もお気に入りのカメラです。
設計思想から、サイズ・デザイン・・・オリジナリティの固まりです。
このカメラはオリンパスからしか生まれなかったカメラだと断言できます。
このカメラが提示したインパクトは、露出革命でした・・・
今の全盛の自動化カメラと全く正反対に位置する考え方思想で想像された
システム一眼でした。
自動露出でありながら、限りなくマニュアル露出に近くかつ自由で、
撮影者の意図をカメラにダイレクトにインプットすることが可能なシロモノ
でした。それが、「マルチスポット測光」です。
私の下手な文章でこの機能を説明することができませんが、
私は、このカメラ以外でリバーサルフィルムを撮ることができないぐらいに、
依存してしまうほどすばらしい使い勝手を提供してくれます。
特にすばらしいのは、ファインダーの表示の仕方です。
簡潔でありながら、フィルムの光の再現域を的確に撮影者に教えてくれる壺を
心得た、心憎いまでの作り込みです。

例を説明すると、窓際に人物がいて外は明るく、人物は逆光気味、
こんな場面です。普通にAE撮影すると、窓の外の明るさに影響されて人物の顔は、
真っ暗で部屋の中の状態もシルエットに成ってしまいます。
この場面で、人物を明るく撮影し
尚かつ外の背景もシロ飛びさせずに撮影するには、どうしますか?
人物の顔の部分だけを計ってスポット測光して撮影。
または、カンを頼りに+の露出補正というのが一般的だと思います。

OM-4の場合は、こうなります・・・
まず、構えて構図を決めてシャッターを押せば、OM-2と全く同じ、
ダイレクト測光による絞り優先によるAE撮影が行われます。
このまま撮れば、シルエットの写真の完成です。>笑い
ファインダー表示では、絞り優先AEですから、制御されるシャッター速度の表示が
最高速の1/2000から1秒までの間で1/3EV刻みで刻まれたバーグラフのドットが
のび縮する表示で示されます。
この状態から、何の切り替え操作もダイヤル操作もなしに、人物の顔の部分を
ファインダー中央のサークルに捕らえてシャッターボタン脇の、スポットボタンを
押すだけで、スポット測光に切り替わり、AEロックがかかります。
このとき、ファインダーの表示では、バーグラフの上にスポット測光の測光点を
示すドット表示が一つ灯ります。ここまでは、良くあるスポット測光+AEロックで
特別珍しいことでは有りません・・・
この後に、明るい窓の外をスポットのエリアで捕らえて、もう一度スポットボタン
を押すと、最初に計ったスポット測光と、二度目に計った場所、二カ所の平均した
値が得られます。この2カ所の測光点の明るさの差が4.5EV以内であれば、
フイルムの上でシロ飛びせずまた、黒つぶれせずに階調を保ったままで記録することができます。
もし、この差がフィルムに記録できるラチュードを超えてしまった場合は、
撮影者の意図により、明るい方か、暗い方を優先するかどちらかを選択し
なければ成りません。
最近の優秀なAEカメラの場合は、概ね、人物などの主要被写体を最優先で
撮影者の意図を全く考慮せずに勝手に判断して露出を決定してしまいます。
OM-4の場合は、ここで撮影者の判断を加えることができます。
明るい方を優先したい場所は、窓の外を再度測定してスポットボタンを押して
3回目のスポット測光をします。
暗い方をを優先したい場所は、部屋の内側を再度測定してスポットボタンを押して
3回目のスポット測光をします。
このようにして、繰り返して最大8カ所の場所をスポット測光で計って
露出決定することができます。
決定した露出がフィルムのラチュードにおいてどのような結果になるか予測が
できるため、非常に安心感の有る露出の決定が行えます。
リバーサルフィルムを撮る場合は絶対的な安心感が得られます。
今の時代に、再び復活して欲しい機能です。
(PS. 皮肉な事に・・・現行の機種でこの機能を持っているのは・・・
CANONのEOS-1だけです。>涙)
結果だけ見たら3カ所のスポット測光の単純平均かもしれませんが、
露出を決めるプロセスを自分で組み立てることができると言うことに、意義が
有ると私は思います。今の自動露出のカメラでこの露出決定のプロセスが自動化
され、メーカーの技術者が判断するブラックボックスの中に入ってしまいました。
趣味のカメラで有る以上はこの辺の写真を撮るというプロセスを楽しみたいと
考えるのですが・・・コレは、今は古い考え方なのかもしれませんね・・・

私の、持つOLYMPUSのフィルム一眼は、上記のOM-4と、後に中古で手に入れた
OM-1nです。
写真に写っているのがそうです。
未だにこの思想を超えるモノに出会っていないため・・・今でも私の
お気に入りなんです。


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