ややっ、とりあえず中古のXLR用リヤサスをバラして研究した前回の記事(7月23日)から、1ヶ月半も経過してしまった。スミマセン。
当初希望した部品や消耗品類は全てあっさり入手できた。
なかなか部品注文に行けなくて、結局入荷が盆休みに被る事となってしまった。その上に入荷後、放置していたのです。
今回は俺のXR改、280馬邪のリヤサスをオーバーホールする。2年近く前に某プロショップに依頼してオーバーホールした物。その2年間の内、半分程度は乗っていない。そのオーバーホール時にはロッドの錆びが発覚したため、再メッキを行ったそうだ。一般的にリヤサスは、ガンガン乗った場合には1シーズンに1回のOHが望ましいらしい(風説)のでオーバーホールには程よい頃合か。
ご存知の通り、本来は一般市販車のリヤサスは非分解の設定。ところが各メーカー共、競技用車両や輸出用車両にはリヤサスのインナーパーツに対して部品番号の設定がある。
下の画像は各社の同時期の125モトクロッサーのリヤサス廻り。
例外はヤマハ。部品の設定が無い。対して一番細かく部品が出るのはホンダ。スズキは細かくは出ないが、一応オイルの交換くらいはやれって事だろう。
XR250(MD30)のリヤサスをオーバーホールする際に非常にありがたいのが、ME08の存在である。そう、ME08はリヤサスのインナーパーツが入手可能なのである。
今回はそんな訳でME08の部品を使用する。ME08とMD30はリヤサス(ショックアブソーバー)のAssyとしては別の物である。自由長やストローク量が異なるそうだ。パーツリストを見てもインナーパーツが共有かどうかは判らない。が、ほぼ同サイズのシャーシに組まれる物である以上は、それほどボディ寸法は違わないであろうという事で、ダメ元でME08用純正部品注文。
問題はXLR。XLRとMD30のロッド径は同じだがシリンダーの径は異なるので、少なくともME08用のピストンはXLRには使えない事になる。もしやと思ってME06のパーツリストも見てみたが、残念ながら調べた限りではインナーパーツは出ないようであった。まあそれでもオイルシールには目を瞑り、オイルの入れ替えとガス封入、バンプラバーが交換できれば及第点だ。
お次はオイルの入手。
フォークオイルの粘度表を載せた記事で、良く見るとリヤクッションオイルもいくつか記載してあるのに気づいた方もみえるかと思う。この記事を書いた時点で既にリヤサスOH作戦があったので、事前に調べておいたのだ。やはり風説では、カートリッジフロントフォークオイルでOKとの話もあったが、折角なので本物を手配。
あまり好きでない近所のバイク用品店で注文。カウンターで「リヤサス用のオイルを下さい」っつったら、店頭在庫してある筈も無いのに店員さんは在庫を見に行った(爆)。まあこんなものを注文する客はほとんどいないだろうから分からなくても仕方ないのだが、それなのに知ったフリして講釈をタレるのはヤメてほしい。
「ショーワの物」とお願いすると、なんとショーワからは直接入らないらしい(お店の仕入れルート上の問題と思われる)。仕方ないのでカワサキ純正パーツのルート(別に他のメーカーでも良い)でショーワのオイルをお願いした。ちなみにカワサキは自社ブランド(勿論OEM)のリヤクッションオイルも扱っているようだ。
車体からショックユニットを外す。XRの場合はリヤフレームが外れる仕組みになっているので上のボルトを緩めて部品を付けた状態でトリャッと持ち上げるだけでショックの取り外しが可能。
次回のサグ出しを容易にするためにアジャスターの位置を計ってから、アジャスターを緩める。自作のスプリングコンプレッサーもあるが、XR250の場合はこれで外れてしまう。バネがヘタってるからなのかも?
リザーバータンク裏のエアバルブから内部の圧を抜く。
今度はXLRの時と違って「プシュッ!!」と勢い良くガスが吹き出した。リヤサスのガスの容積は非常に小さいのでエアゲージ等で圧を測るだけでかなり圧が低下してしまう。聞いた話では圧は10キロらしいのだが、実際にはどのくらい入っていたのだろう?エアを入れてみて、エアバルブから吹き出す勢いで大体の見当をつけてみた。
6キロぐらいであろうか? 多分自然に抜けてしまっていたのだろう。
リヤサスと同じような構造のステアリングダンパーはやはり油圧で減衰力を発生させているが、当たり前だがどの位置でも静止する事ができる。ところが加圧式ショックアブソーバーの場合は、圧縮しても自力で戻ってくる。これはガスの圧力によるもの。圧を抜いてしまうと戻ってこない。なので、ヘタったリヤサスは分解せずにガスを入れるだけでもそれなりの効果があるのではと思う(あくまで想像です)。
リザーバータンク裏の部分をグイッと沈めると、Cリングが出てくる。コイツを外し、中身をプライヤーで引っ張り出す。すると出てくるのがブラッダー=bladder=空気袋。オイルが泡だらけなのに注目。
リヤサスは勿論フロントフォークに似た構造をしているが、違いの一つ目がここ。液体(オイル)と気体(窒素)を別室にしている。正確な理由は不明だが、相互に混ざるのを避けるためであろうと思う。フロントフォークの場合は単なる筒状なので、カートリッジ内部にエアが大量に混入しても走っている内にエアは抜けるが、リヤサスの場合はそれは無理だ。フロントフォークよりも限られたスペースに配されるが故の、またオーバーホール回数を減らすための工夫であろうか。
今度はシリンダー側のキャップを外す。フロントフォークでいえばダストシールに相当する。ねじではなく、叩き込まれているだけなので、皮スキで外した。するとオイルシールが現れる。コチラもリザーバータンクを同じくCリングで押さえられているだけ。
バンプラバーも交換したいので、万力で銜えてナットを緩める。ロッドの中には減衰力調整用のニードルが入っている。
アッちゅー間にバラバラ。とても簡単。バラした部品をME08の物、及びXLRの物と照合。
結果、ME08のインナーパーツは全てMD30と共通であるようだ。XLRはシリンダーの内径が異なるのでここの内部に関しては流用不可。ブラッダーやバンプラバーは使用できる。
オイルシール部分だけ新品部品から外して移植したら・・・?と思うかもしれないが、残念ながら完全に一体成型のようで、外す事は出来ないようだ。ここを観察すると俺には結構未知の世界で、一番外側にオイルシール、中に金属パイプ的な物が仕込まれている。
そして裏側にもオイルシールリップ的な物がある。フロントフォークと違って少々の事ではオイル漏れしそうにない。オイルシールの反対側には伸びきったとき用の(?)バンプラバーが付いている。
コレを入手する事ができればどんなサスでもOHできそうだが、ジックリと観察するとオイルシールに「KYB」の刻印が・・・。車種問わずリヤサスはみんな同じような大きさなので、少なくとも同じメーカーのバイクのリヤサスのオイルシールが車種によって全て違うって事はないだろう。この辺の流用のノウハウがあれば何とかなるのでは? まあサスペンションのプロショップは独自のルートで入手してるのであろう。
ロッドの先についているピストンを観察。俺のXR馬邪は冒頭に書いたとおり一度ロッドを再メッキしている。その時に外したのであろう、カシメを削った跡がある。
左がXR250、右がXLR。XLRの方が径が小さい。
今回はここはバラさない。ピストンリングはフロントフォークであれば金属製だが、どうも樹脂っぽい。フロントフォークの様にはスリ割りが無く、取り付け取り外しはOリングのように行う。ゴムほどに伸びるわけでもないが、プラスチックよりは柔軟性がある。そして薄い。コレを外すとOリングが現れる。全く同位置で重なっているのだ。
ピストンの上下にはシムが共締めされている。油がこの隙間を通るので減衰力が発生する仕組みのようだ。
今回入手した部品。予備に・・・と思って同じ部品を3つから4つ注文した。
箱の中に入っているのはXLRのエンジンOH用の部品。
つづく。
この、リアサスの状態だと、ちょっと無理みたいですが、直っていればよろしくです。
ME08のサスペンションならパーツが出るのですね。知りませんでした。
私も今年中には業者にてRサスペンションO/Hの予定でしたがパーツが注文できるなら自分でやってみようか悩みます。
O/H後のインプレ期待しております。
作業は非常に簡単です。ただ、このあとちょっとしたハードルがありますが・・・。
あと、ロッドが錆びている場合(勿論ロッドも注文可能)は再メッキのできるプロショップの方が手っ取り早いかもしれません。
1シーズン毎にOHする覚悟なら、自分でやるのが良さそうです。
リアサスが別室になっている理由はキャビテーションによる減衰力の低下を防ぐ為です。液体の中に気泡が混じると正常に動作が阻害されてしまいます。フロントが別室でない理由は十分な高さがあり、混じった気泡も上へと逃げるからです。リアのショックはフロントに比べ、はるかに短いストローク長なので、キャビテーションを避けられないのです。
この記事を参考にさせてもらい、GSXRのショウワ製リアサスのOHを計画中。メンテ不可とは書いてありますが、少なくともオイルだけでも交換できないかと思い、読ませてもらっています。なんとか出来そうな気になるのは管理人さんの腕が良い証拠ですね。さて、どうなるか。