ほら吹き男爵夫人

私の幼なじみのお母様は、ほら吹き男爵夫人です。

本人に言ったら、ぜったいセッカンされます。
だから、口が裂けても言えません。
うめももももほころぶんだから、
口がほころぶくらいはあるかもしれません。





例えば・・・。

幼なじみんちに電話をかけます。

「はい。○※です。」
と例の彼女が出る・・・。
「あのぉ・・・。」と用件を言おうとすると

「お客さまのおかけになったお電話は
現在使われておりません。」と言う。

・・・バリバリ本人じゃねーか。

「・・・あら、ばれた？」
ばれるワイ！！
「あの・・・お宅の白鳥玲子さまをお願いしたいんですが。」
と言うと・・・。
「あ、玲子ね・・・。今、お取次ぎしますわ～。
なんせね～、間取りが１００部屋もあるもんだから
どこにいるのかわからないのよ～。」
と、電話をふせる・・・。
遠くで玲子っ玲子っと名前が聞こえる。
断っておくが、私の呼び出したい人物は白鳥玲子ではない。
ちょっとふざけただけだ・・・。
「あ、ごめんなさい～。
玲子、テニスに出かけたみたいなの～。
う～ん。
テニスコートも３０あるので、探すの大変なのよ～。」
・・・君んちはインターホンもねーのかと思いつつも
黙ってると・・・
「広すぎて、息が切れちゃうわ～。ぜえぜえ。」
とのたまうお母さん。
「それはいけません。喉を大切にしなきゃ～。
吸引機を送ってさしあげます。」
「ありがとう！１００台くらいあるけどぉ。」

この調子で話していると、本人登場まで
えいえんこの調子で１０分は続けている。

「あ、ども！うめももちゃん元気？」
「アンタ何してたのよ～？」
「え～お風呂洗ってた。」
・・・さすが、間取り１００部屋の白鳥玲子である。
きっと、大理石のライオンがお湯をがーっと
出すあれを洗ってたんだろうな・・・と
思う私であった。