徒然日記~港幸樹’sブログ~

道産子・港幸樹のブログです。

ルドルフの音楽その2

2012-06-18 18:55:32 | 舞台
この前、ルドルフの音楽の特徴の一つとして“ライトモチーフ”が多く使われているという説明をしましたが、あえてこの欠点を申し上げるなら、特定のモチーフをくり返し使うことにより、必然的に曲のバリエーションが少なくなるという事があります。
この事に関して、D・ルヴォーが次のような笑い話をしてくれました。
「ワイルドホーンはとても素晴らしい作曲家だから、ありがたい事に次から次へと新しいモチーフをもってきてくれるんだ。でも僕は『一幕で使ったあのモチーフがとても素敵だったから、二幕でもまた使いたい』と言って、大変申し訳ないけど断ったんだ。彼はきっと納得していないだろうけどね。」
これはルヴォーが我々にしてくれた数ある話の、とある一部分を切りとったものですから、ここだけを読んで変な誤解だけはしないで下さいね。
シリアスではなく、あくまでジョークとして話してくれた事ですから。
とにかく、僕がここで強く感じたのは、ルヴォーは作品の中で音楽をとても大切に使ってるんだという事でした。
一つのモチーフに深い意味を求め、それを表現として多用するというのは、かなり音楽に造形が深くないとできないことだと思います。
それを裏付けるように、ルヴォーは稽古前や休憩中にたまにピアノを弾いているのですが、一体何の曲なのかはわかりませんが、日本で馴染みが深いG・ウィンストンやA・ギャニオンのような雰囲気の曲を弾いているんです。
音楽をヴィジュアル的に使用する彼のセンスは、転換や役者の出ハケのきっかけを出す時にも、相当注意深く音楽に神経を注ぎ込んでいる所からも伺えますし、我々が確認でタイミングを尋ねても「音楽で“ここだ!”というタイミングがあるから問題ない」と言って教えてくれません(もちろん、その後で指示は出してくれますよ)。
目をつぶり音楽に集中し、あるタイミングで“ガッ!”とエネルギーを解放しキューを出すその様子は、まるで指揮者のようです。
それに、なんとカッコイイことか…
憧れます(^з^)-☆