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酷暑の高校野球

2024年08月24日 13時51分55秒 | 一言
昼の試合回避だけでいいのか
 スポーツや教育にとって安全は一義的な課題であり、その対策は急務です。

 23日に決勝を終えた全国高校野球選手権大会は、今年も危険な暑さとのたたかいでした。35度前後の酷暑が続き、兵庫県では熱中症警戒アラートが連日、出される中で試合が開催されました。これは日本スポーツ協会の基準でも、「運動の原則中止」レベルです。

 実際、大会中に熱中症疑いで手当てを受けた選手は56人、観客らは282人を数えました。この5年で最も多い数です。試合中に足がけいれんを起こし、交代する選手が相次ぎ、救護室で点滴処置を受ける選手もいました。

■初の2部制の実施
 今大会は開幕から3日間、日中の暑い時間帯の試合を避け午前と夕方のみの2部制が実施されました。

 「日中に比べてだいぶ涼しい」「試合後の疲労感が少ない」など選手からは好評でしたが、この期間でも8人の選手が熱中症の手当てを受けています。

 この間、日本高校野球連盟は選手の健康を守る対策を講じています。試合中に水分補給などを行うクーリングタイムや勝負を長引かせない延長タイブレークの導入のほか、▽大会中の休養日を増やす▽「1週間に500球まで」とする投手の球数制限―などを導入しています。

 さらに公式戦での「7イニング(7回)制」の検討を始めていることが報じられました。

 これは少子化に伴う野球部員の減少、投手の肩やひじを守るとともに、夏の猛暑対策でもあります。7回制が実施されれば、夏の甲子園で2部制を実施する際に1日4試合が可能です。

 選手を第一に考え、安全を担保する上で、7回制と2部制の全面実施の議論をすすめることが求められます。

 しかし、それで十分とは限りません。いかに体を鍛えていても、熱中症が重症化しない保証にはなりません。トップ選手でも対応を誤ると命の危険があります。同時に「熱疲労の蓄積」が重症化のリスクを高めると指摘する専門家もいます。炎天下での熱曝露(ばくろ)が続くような環境をつくらないことが肝要です。

 その点で地方大会も含めた改革が必要です。開始時期を前倒しし、余裕ある日程で、朝夕の試合開催などを同時並行で進めることが求められています。

■欠かせない抜本策
 また選手権大会では、甲子園球場にとどまらず、近隣のドーム球場使用も含めた、抜本策の検討を始めるべき時期に来ているように思います。

 暑さは年を追うごとに苛烈さを増し、地球温暖化ではなく「沸騰化」時代とも言われています。その中で高校野球にとどまらず、スポーツ活動全般にとって困難な状況に陥っていることに目を向ける必要があります。

 根本的には気候危機打開のため、国際的な議論に見合った大幅な二酸化炭素の排出削減が不可欠となっています。これらに後ろ向きな日本政府の姿勢を改めさせることが必要です。「脱炭素」の世界の取り組みを加速させていくことが、現在と将来の正常なスポーツ活動にとって、欠かせない課題となっています。


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