国債購入2社独占で新事実
本紙が内部文書入手
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の植田栄治理事・最高投資責任者(元ゴールドマン・サックス証券取締役)が、自身との「人的な関係性」を決め手として国債取引企業を選定していたことが、本紙が情報開示請求で入手したGPIFの内部文書で分かりました。植田氏と企業の癒着を疑わせる新事実です。
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GPIFは国民の納めた年金保険料を金融市場で運用する公的機関。運用資産は250兆円超です。GPIFの国債取引をめぐっては既に、植田氏が2023年7月~24年4月にかけ、宮園雅敬理事長にも秘密にしたまま特定の2証券会社(A社とB社)に取引を独占させ、植田氏が証券時代に知り合ったB社役員には電話で投資計画まで伝えていたことが、GPIFの監査報告などで明らかになっています。同時期のGPIFと2社の国債取引額は数兆円に上るとみられます。
本紙が入手したのは、23年12月に内部通報で2社の独占が発覚した後、GPIFが「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」に委嘱した調査の報告書です。企業名や個人名は黒塗りです。
報告書によると、問題の国債取引に先立ち、植田氏とGPIFの投資運用部長、同部の3人のファンド・マネジャーが、植田氏の理事室で会合を持ちます(日時は不明)。情報の秘匿性担保を口実に取引企業を2社に絞ると決定し、過去の実績からまずA社を選定。もう1枠の候補には最終的にB社とC社が残ったものの、B社に植田氏の知り合いがいたことから、知り合いを通じてB社の情報管理を徹底することで秘匿性を担保できるとしてB社を選定しました。
C社については「上記のような人的な関係性がなく、GPIFとの約定実績も■■(黒塗り)よりも下位であったことなどから採用が見送られた」としており、植田氏の「人的な関係性」がB社選定の決め手となったことが明白です。「最終的な決定はA氏(植田氏)が行った」などの記述も、植田氏が主導したことを示しています。
24年6月の監査報告で尾﨑道明監査委員は、植田氏が自身の「特別な人的関係」に基づいて取引企業を選定したと批判していました。ところが、GPIFを所管する厚生労働省は、尾﨑氏の批判が監査委員会内で少数意見にとどまったことからまともに取り合わず、本紙などの聞き取りにも「植田氏の知り合いがいる証券会社を選定したのではなく、選定した証券会社にたまたま知り合いがいた」と説明していました。本紙が入手した報告書は、厚労省のこの説明を覆すものです。(佐久間亮)
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