かつて、選挙では候補者による立会演説会が開かれていました。聴衆は下駄ばきで参加。飛び交うヤジには政治への怒りが込められていました。そんなヤジがいきなり警察に排除されたとしたら…。
2019年、参院選さなかの札幌市内で安倍首相(当時)が演説中に問題は起きました。「アベやめろ」「増税反対」。声を上げた市民らを北海道警が取り囲み、排除したのです。「年金100年 安心プランどうなった?」というプラカードを掲げた人も同じ扱いを受けました。
ドキュメンタリー映画「ヤジと民主主義」が、この一部始終をとらえました。首相を支持する人々の発言やプラカードは許されるのに、反対の声は暴力的にはねのけられるのか。「言論の自由」の保障を正面に掲げました。
安倍政権が推し進めた特定秘密保護法、集団的自衛権行使容認も視野に入れました。製作したのは地元の北海道放送。4年かけて追った執念を感じる一作です。
19年当時、いくつものメディアが取材に。しかし、事態を追及したところは、他にはありませんでした。山崎裕侍監督は「人権侵害に対する沈黙は加担を意味する。権力に忖度(そんたく)せず報道を続けていくことが、崩れかかっている自由や民主主義をかろうじて止める力になる」と。
排除された当事者2人は、精神的苦痛を受けたと道に損害賠償を求めて提訴。今も裁判は続いています。何を言ってもどうせ変わらないとあきらめてはいけない。「おかしい」と思ったら声をあげようと勇気づけられます。
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