池ちゃんのページ


行政・町内情報、地域活動やスポーツクラブ・昔遊び・ジャズオーケストラの活動などを紹介します

台風シーズンはいよいよ本番

2024年09月04日 16時15分29秒 | 一言
 東京・上野動物園のパンダ「リーリー」「シンシン」2頭の本国帰還が決まり、別れを惜しみ多くの人が訪れています。名前の繰り返し表記は、相手をかわいがる、日本の“ちゃん”のようなニュアンスだとか。
 こちらはとてもかわいいとは言えません。「サンサン」と呼ばれた台風10号、強風豪雨が各地に大きな被害をもたらしました。メディアはいくつかの異名を。迷走、鈍足、停滞、最強、縦断、ノロノロ…はては「遠隔豪雨」まで。
 鹿児島県薩摩川内市付近に上陸した先月29日朝から1日正午に東海沖で熱帯低気圧に変わるまで、行方定まらず停滞ノロノロ状態。上陸時の威力が「最強級」だと注目され、過去の台風との比較表まで登場しました。
 一路北上との当初予想が大きく外れました。優勢な太平洋高気圧の張り出しに押され西へ西へと。周辺海域の高温海水からエネルギーを補給し続けつつも、偏西風の蛇行により気流に乗れぬまま。停滞・迷走の要因です。
 世界的な気候変動に伴う気象の激変が、かねて指摘されてきました。今回のような迷惑極まりない台風がこの先も到来するのではないか。「気候を温暖化させる限り、台風の威力は激化し続ける」との英国研究チームによる分析結果の報道も。
 台風シーズンはいよいよ本番。第二室戸、伊勢湾など名のついた台風は多くが9月です。「備えあれば憂いなし」といいますが、「経験したことのない」の警句が頻発される昨今、さてどんな備えをすればいいのか、考えてしまいます。


北陸新幹線延伸

2024年09月04日 16時08分22秒 | 一言
条件の破綻した計画断念せよ
 ばく大な費用、長期にわたる建設、古都京都の自然環境と文化を壊す恐れのある北陸新幹線延伸(福井県敦賀―新大阪間、小浜〈おばま〉・京都ルート)計画。国土交通省は8月末、2025年度の概算要求に、同計画を金額も示さず盛り込みました。政府・与党は、多くの反対意見を顧みず推し進める構えです。

■費用対効果下回る
 国交省が8月、与党プロジェクトチーム(PT)に提示した「小浜・京都ルート」詳細案は、新設する京都駅の位置が異なる3案です。建設費は年2%の物価上昇が続く場合、最大5兆3千億円となり、当初の2兆1千億円の2・5倍に膨らみます。新幹線建設「着工5条件」の一つである費用対効果は当初、1・1。目安の1をわずかに上回っていましたが、今回の詳細案にもとづけば1を下回ることは必至で条件が崩れます。

 工期は最長で28年と当初より13年長くなります。仮に来年着工したとしても完成は2050年代で、関西と北陸を結ぶ高速鉄道の貫通は21世紀半ばを過ぎることになります。

 「小浜・京都ルート」は140キロのうち8割がトンネルです。京都、松井山手(京都府京田辺市)、新大阪の3駅も地下に造られ、京都市内を深度20メートルから50メートルのトンネルが貫くことになります。計画にある新大阪駅付近とともに、新幹線が都市部地下を長い距離走る例は現在までありません。京都の地下水枯渇、有害物質を含む排出土、活断層への影響など諸問題が懸念され、京都府内では各地で中止や見直しを求める住民運動が広がっています。

■地下水枯渇の懸念
 国交省は、トンネルは「シールド工法」で「地下水は引き込まない」と主張しますが、十分な科学的根拠を示しておらず、「データを示さず断言している」(京都新聞8月12日付社説)との批判を招いています。

 鉄道運輸機構は6月、京都盆地の深層地下水は「京都駅や伏見酒造エリアにまで到達している可能性がある」と認めました。中央リニア新幹線のトンネル工事では地下水や周辺河川の枯渇が問題となっており、伏見の日本酒、和菓子、豆腐など京都の地場産業に深刻な影響を及ぼしかねません。

 政府・与党は年内に京都駅を通る3ルートのうち一つを決め、来年度中の着工をめざします。概算要求は、具体的な建設費の金額を示さない「事項要求」となりました。政府と与党は、費用対効果算出方法の見直しまで検討していると報じられています。このようなごまかしは許されません。

 同計画には、京都府民の6割が「再検討」「中止すべき」(京都新聞22年4月の世論調査)と答え、2月の京都市長選では、現職(当時)も含め誰一人、「推進」を表明しませんでした。京都新聞も前出の社説で「立ち止まって再考することを改めて強く求めたい」と主張しています。

 政府、与党、そしてJR西日本は、「小浜・京都ルート」を断念し、沿線住民、利用者にとってどのような鉄道整備がいいのか考えるべきです。沿線の与党国会議員だけでルートを決めるようなやり方も根本的に改める必要があります。


女性差別撤廃条約選択議定書批准必ず

2024年09月04日 16時06分03秒 | 一言
田村委員長とJNNCが懇談


(写真)日本女性差別撤廃条約NGOネットワークのメンバーと懇談する(右手前から)倉林副委員長、田村委員長=3日、党本部

 10月にスイス・ジュネーブで開かれる国連の女性差別撤廃委員会で日本報告審議が行われるのを前に、日本共産党の田村智子委員長と倉林明子副委員長・ジェンダー平等委員会責任者は3日、日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク(JNNC)の共同代表ら6人と党本部で意見交換しました。

 ジュネーブには、日本から85人が参加し、8年ぶりに国連の同委員会委員に直接面会する予定です。NGOとして文書を提出し、直接現状を訴えるロビー活動を行うことで、総括所見に反映させる取り組みを展開します。

 国際女性の地位協会名誉会長でJNNC世話人の山下泰子さんは、女性差別撤廃条約選択議定書を批准する意義について、女性差別撤廃委員会に個人通報できるようになり、女性の権利を国際法に引き上げ、労働問題での間接差別なども是正されるようになると語りました。日本はいまだ選択議定書を批准せず、ジェンダーギャップ指数が146カ国中118位となっていると指摘しました。

 田村氏は、「国際基準から見て日本のジェンダー不平等は異常です。その実態を国会でも取り上げていきたい」と語りました。

 参加者から同委員会への事前報告に、沖縄における米兵による女性への性暴力が頻発していることを追加したことや、選択議定書批准を求めて22日に東京・銀座でパレードを行うことが語られました。


総選挙は共産党躍進が最優先

2024年09月04日 16時01分35秒 | 一言
安保法制廃止の否定、共闘の基盤失う
立民代表選の議論巡り小池氏

 日本共産党の小池晃書記局長は3日、国会内での記者会見で、立憲民主党の代表選を巡り、政権についても集団的自衛権の行使を認める安保法制=戦争法を変えないなどとの議論が行われていることに関し、安保法制の廃止は野党共闘の一丁目一番地だ。この原点を否定するのであれば共闘の基盤が失われる重大な問題だ」と述べました。

 小池氏は、安保法制について「さまざまな安保政策についての立場の違いを超えて、集団的自衛権行使を容認した閣議決定を撤回し、安保法制を廃止することは野党共闘の原点。これがあるからこそ信頼し、協力してきた」と強調しました。

 また、前回総選挙での共闘が失敗であったかのような議論が一方的に行われていることについても、「これまで協力を重ねてきたことに対する、誠意も敬意も感じられない議論だと思う」と語りました。

 その上で、小池氏は来たる総選挙で「日本共産党の議席を伸ばすことを文字通りの最優先課題にすえて取り組まなければならない」と強調。今年1月の第29回党大会決議の「自民党政治のゆきづまりを打開し、国民が希望の持てる新しい政治をつくる最大の力となるのは、政治を『もとから変える』変革の党―日本共産党の躍進であり、総選挙では、その実現を最優先の課題とし、最大の力を集中したたたかいを行う」とした決定を紹介し、「この立場で頑張り抜く」と表明しました。

 具体的には、比例代表が軸となる総選挙で「650万票、10%以上」の票を獲得し、すべての比例ブロックでの議席獲得と議席増で、日本共産党の躍進を必ず勝ち取ると強調。小選挙区は沖縄1区の「オール沖縄」の「宝の議席」を必ず守り抜き、各小選挙区での候補者擁立も積極的に行っていくと述べました。

 小池氏は「市民と野党の共闘の再構築のために可能な努力は行っていくが、来たる総選挙では日本共産党の躍進に向けて、脇目も振らず進んでいくことが大事だ」と語りました。


裏金議員の温存狙う自民

2024年09月04日 15時56分49秒 | 一言
共産党伸ばし新しい政治
東京・池袋 田村委員長の演説から

 日本共産党の田村智子委員長が2日、東京・池袋で行った演説(要旨)を紹介します。


(写真)訴える田村智子委員長=2日、東京・池袋駅西口

 今の情勢についてお話ししたいと思います。

 岸田文雄首相が、突然の引退宣言をして、メディアは自民党総裁選挙の報道ばかりになっています。

 岸田首相は辞める理由として、“統一協会との癒着、裏金事件で国民から信頼を失った。自分が身を引くことが信頼回復の第一歩だ”と述べました。ここまで追い詰めたのは、国民の怒りの世論であり、その先頭に立ってきたのは、私たち日本共産党です。

 「しんぶん赤旗」のスクープ報道、草の根での対話、国会論戦では「裏金事件は自民党の組織的犯罪」という核心をついて徹底追及してきました。ここまで追い詰めたのですから、もっと自民党を追い込もうではありませんか。

 岸田首相の退任が「第一歩」だというのなら、「第二歩」は総裁選のはずです。しかし名乗りを上げた人は、誰も裏金事件の真相究明を言わない、「政策活動費の廃止」も掲げない。裏金議員を次の選挙で公認しないかのような発言をした人も、すぐに手のひらを返した。結局、裏金議員の票がほしいから何も言えないし、できないのです。

 これらは新総裁になった人にも問われます。8月26日報道の「朝日」の世論調査では、自民党の新総裁は裏金事件の真相解明を進めるべきだと答えた人は、7割に上りました。この国民世論にこたえずに、解散・総選挙を利用して裏金事件の幕引きをはかるなど、絶対に許されません。

 裏金事件は特定の議員個人のスキャンダルではありません。長年にわたる組織的犯罪です。財界・大企業から政治資金パーティーでお金を集め、金で政治を動かしてきた。これが自民党の本性です。

 日本経団連は、自民党の政策に通信簿をつけて企業献金をあっせんしています。法人税減税と消費税増税、保険証廃止でマイナンバーカードを全国民に持たせようとする、医療費の窓口負担増など、すべて財界が企業献金と一体で求め、自民党政治によって進められていることです。

 自民党も、建設業界に企業献金を「これだけほしい」と請求書を出しています。同業界では、公共事業の受注規模に応じ、献金額やパーティー券の枚数を割り振っています。

 こんな金で動く金権まみれの古い政治をいつまで続けるのかが問われています。

 企業・団体献金を全面的に禁止し、企業との癒着を断ち切る―日本共産党だけが、30年来、国会の中で法案を提出し求め続けてきました。ここに踏み出してこそ、金権腐敗の根を断つことができます。

 総選挙で、裏金議員の温存、古い政治の継続をねらう自民党の議席を減らし、自民党政治をもとから変える日本共産党を大きく伸ばしてください。それこそが新しい政治への確かな一歩となります。

 (QRコードで演説の動画をみることができます)


車いすラグビー 初の金

2024年09月04日 15時55分49秒 | 一言
パリ2024パラリンピック
 パリ・パラリンピック第6日は2日、日本が車いすラグビーで初めて金メダルに輝きました。米国との決勝を48―41で制しました。日本はこれまで2016年リオデジャネイロ、21年東京両大会の3位が最高成績でした。

 世界ランキング3位の日本は、同2位の米国に第1ピリオドでリードを許しました。しかし、激しい守備で圧力をかけ続けて相手のミスを誘うと第2ピリオドで逆転。その後もプレーの強度を落とさず完勝しました。

 車いすラグビーは、パラリンピック競技で唯一、車いす同士のぶつかり合いが認められている競技です。選手には障害の程度によって点数が付けられており、コート上にいる4人の持ち点の合計がルールで定められた点数以下になるようにします。男女混合種目で女性選手が加わると合計点の上限が1人につき0・5点追加されます。


麻生派裏金認める証言

2024年09月04日 15時47分53秒 | 一言
小池書記局長「自民党ぐるみ浮き彫り」

 日本共産党の小池晃書記局長は3日、国会内で記者会見し、政治資金規正法違反で罰金などの略式命令を受けた薗浦健太郎元衆院議員の秘書が自民党・麻生派での裏金の存在を認める証言を行っていたとの「毎日」報道(2日付)について「麻生派での裏金づくりが明確になり、自民党ぐるみで裏金づくりが行われていたことがまた浮き彫りになった」と述べ、国会への参考人招致を求める考えを示しました。

 小池氏は、麻生派の裏金については「赤旗」日曜版が昨年12月に、派閥パーティー券収入のキックバックを裏金として現金で議員側に渡していたとの関係者の証言をスクープしたと紹介。今年3月には麻生派の井上信治元万博担当相が2018年に派閥からのキックバック458万円を裏金化していたと報じていました。

 小池氏は、今回の薗浦氏の秘書の証言が、麻生派で裏金づくりが行われていた動かぬ証拠となったと指摘。自民党総裁選に立候補している同派の河野太郎デジタル相が「クリーンにやってきた」と述べているものの「麻生派も含め裏金づくりをやってきた責任が問われる」と述べました。

 小池氏は、今回の麻生派での裏金づくりの発覚や、20年からの4年間に「政治とカネ」の問題などで13人もの自民党議員が起訴されていることをあげ「本当に異常な事態だ。自民党全体が汚染されているということではないか」と指摘。一方、自民党総裁選では真相解明や企業・団体献金禁止の議論が全くなく、裏金議員を公認するかなど身内のかばいあいのような議論になっていると批判し、「やはり自民党政治を変えなければいけない」と強調しました。



 3日の衆院予算委員会理事懇談会では、日本共産党の宮本岳志議員が、予算委員会の閉会中審査で、薗浦元議員や秘書ら関係者の参考人招致を行うことを求めました。


日本は世界でも突出した「米軍基地国家」  米軍海外基地の資産評価額

2024年09月04日 15時24分12秒 | 一言
日本突出25兆円 嘉手納3.6兆円
 米軍の海外基地のうち最も高価な基地の上位10基地中6基地を在日米軍基地が占め(表)、資産評価額の総額は約1745億4000万ドル(約25兆3083億円=1ドル145円で計算)に達することが、米国防総省がこのほど公表した2024会計年度版「基地構造報告」で判明しました。第2位のドイツ、韓国の3倍以上に達しています。

資産評価額上位の米海外基地
(単位100万ドル、1ドル=145円で計算。米海外領は除く。2023年9月現在)
① 嘉手納(空軍、日本) 25079.43
(3兆6365億円)
② ディエゴガルシア(海軍、英領) 18993.13
③ キャンプ・ハンフリー(陸軍、韓国) 18117.60
④ 岩国(海兵隊、日本) 17807.30
(2兆5821億円)
⑤ トゥーレ(空軍、グリーンランド) 17353.13
⑥ 横須賀(海軍、日本) 16039.56
(2兆3257億円)
⑦ 三沢(空軍、日本) 15774.72
(2兆2873億円)
⑧ グアンタナモ(海軍、キューバ) 13743.39
⑨ 横田(空軍、日本) 13712.17
(1兆9883億円)
⑩ キャンプ瑞慶覧(海兵隊、日本) 9134.71
(1兆3245億円)

 報告によると、米軍は45の国・地域(グアムなど米海外領を除く)に545基地を保有。このうち、日本には98基地が置かれているとしています。基地数ではドイツの122が上回っていますが、同国では小規模基地が大半を占めています。

 基地別にみると、嘉手納(沖縄県)が米軍の海外基地で最も資産評価額が高く、約250億7943万ドル(約3兆6365億円)と突出。以下、日本国内で見ると、岩国(山口県)が世界4位、横須賀(神奈川県)が6位、三沢(青森県)が7位、横田(東京都)が9位、キャンプ瑞慶覧(沖縄県)が10位と続いています。

 資産評価額は、別の場所に同じ基地を建設する場合にかかるコストを、基地内の建物の棟数や面積などで計算。地価は含みません。日本政府は毎年、世界に例のない米軍「思いやり予算」や米軍再編経費などで施設を新設・改修しているため、必然的に評価額が上がります。




 さらに、米国防総省が3カ月ごとに公表している兵力に関する報告書によると、米軍の海外兵力16万5830人(今年6月現在)のうち、日本には5万2852人が駐留。全体の31・9%を占め、2位のドイツ(3万4894人)、3位の韓国(2万3732人)を大きく上回っています(表)。日本は文字通り、世界でも突出した「米軍基地国家」となっています。

米軍の海外駐留兵力(1万人以上)
①日本 5万2852人
②ドイツ 3万4894人
③韓国 2万3732人
④イタリア 1万2319人
⑤英国 1万 180人


「共産主義と自由」についての日本共産党の探究

2024年09月04日 14時56分33秒 | 一言
ベルリン理論交流 志位議長の発言
 日本共産党の志位和夫議長が2日、ベルリン市内のローザ・ルクセンブルク財団本部で開催された「共産主義と自由」についての理論交流で行った発言全文は次の通りです。


(写真)ローザ・ルクセンブルク財団との理論交流で語る志位議長=2日、ベルリン

マルクス、エンゲルスの母国での理論交流は大きな喜び
 こうした懇談の場を設けていただき心から感謝します。日本共産党が理論的基礎とする科学的社会主義の創設者――マルクス、エンゲルスの母国でこうしたテーマでお話しできることは、私にとって大きな喜びです。

 この懇談の素材にと、二つの英文のテキスト――『Q&A 共産主義と自由――「資本論」を導きに』、『「自由な時間」と未来社会論――マルクスの探究の足跡をたどる』をお届けしました。前者は「共産主義と自由」というテーマについて、若者とのQ&Aを通じて話したものです。後者は、その理論的背景を、マルクスの『資本論草稿集』『資本論』などでの探究の足跡をたどって明らかにしたものです。冒頭、その中心点について説明し、懇談の素材を提供させていただきたいと思います。

綱領路線の確立と、マルクスの理論の本来の輝きを現代に生かす探究の発展
 まず内容に入る前に、日本共産党として、こうした理論問題を重視して取り組んでいる背景と動機についてお話しします。

 日本共産党は、1922年に党を創立して以来102年の歴史を持ちますが、現在の党綱領の土台となる政治路線を確定したのは、1961年の第8回党大会でした。綱領路線確定にいたる時期にわが党は深刻な苦難を体験しました。1950年、ソ連のスターリンと中国によって、武力闘争を押し付ける乱暴な干渉が行われ、党が分裂し、国会での議席がゼロになるという状況に陥ったのです。この分裂を克服する過程で、わが党は「どんな大国の言いなりにもならず、自らの進路は自らの意思で決定する」という自主独立の路線を確立し、その立場にたって61年に綱領路線を確定しました。

 61年綱領の骨格は、国民多数の合意にもとづいて、まず異常な対米従属と財界・大企業中心の政治を打破する民主主義革命を行い、続いて社会主義的変革に進むというもので、この路線はわが党の発展の理論的土台となりました。

 その後、わが党はソ連と中国の党による乱暴な干渉に遭遇しましたが、それを打ち破る中で綱領路線を独自に発展させる努力を続けてきました。スターリンによる理論の歪曲(わいきょく)を一掃し、マルクスの理論の本来の輝き――とくに多数者革命論、未来社会論を現代に生かす理論活動に力を入れ、その成果はこの間行った綱領改定で現綱領に反映されています。懇談の素材としてお渡ししている二つのテキストは、そうした理論的探究の今日における一つの到達点です。

「共産主義と自由」についての真実を広く伝えることは、多数者結集の戦略的課題
 その上で、いま私たちがこうした理論活動に力を注いでいる政治的動機についてお話ししたいと思います。

 61年綱領確定後の60年余に、わが党は国政選挙で3回にわたって躍進を記録しています。第1の躍進は、1970年代で約600万票を得ました。第2の躍進は、90年代後半で800万票を超える票を得ました。第3の躍進は、2010年代で600万票を超える票を得ました。

 どの躍進も重要でしたが、躍進のたびに支配勢力は激しい反共攻撃と政界の反動的再編で応え、わが党は後退を余儀なくされました。反共攻撃の最大の中心点の一つは、「共産主義には自由がない」というものでした。こうした反共的言説は、なお国民のなかに広く影響力を持っています。

 こうした経験と現状にてらして、私たちは「共産主義と自由」についての真実を広く国民に伝えることは、21世紀の今日において、日本の社会変革の事業に国民多数を結集する上で、とくに若い世代を結集する上で、避けて通ることができない戦略的課題だと考えています。

「人間の自由」をキーワードに未来社会の展望を三つの角度から特徴づけた
 今年1月に開催した第29回党大会決議で、私たちは綱領を土台に党の社会主義・共産主義論――未来社会論の新たな発展を行いました。

 党大会決議では、「人間の自由」こそ社会主義・共産主義の目的であり、最大の特質であると強調し、「人間の自由」をキーワードにして未来社会の展望を三つの角度から特徴づけました。

 第1は、「『利潤第一主義』からの自由」という角度です。

 第2は、「人間の自由で全面的な発展」という角度です。

 第3は、「発達した資本主義国の巨大な可能性」という角度です。

 お渡しした二つのテキストは党大会決議をさらに理論的に発展させたものです。その中心点を説明していきたいと思います。

「利潤第一主義」からの自由――「生産手段の社会化」と「自由」は深く結びついている
 Q&Aでは、「序論」として、「資本主義は本当に『人間の自由』を保障しているか?」という問いかけから始めています。

 ごく一握りの富裕層とグローバル大企業が、50億人の人々の貧困の拡大の上に繁栄を謳歌(おうか)する社会が、果たして「自由」な社会といえるだろうか。深刻化する気候危機は、人類の生存の自由という「自由」の根源的土台を危険にさらしているではないか。こうした問いかけから始めています。

 その上で、第1の角度――「利潤第一主義」からの自由について述べています。資本主義的な「利潤第一主義」がもたらしている害悪を、貧困と格差の拡大と、気候危機の深刻化という二つの面から告発し、それらの害悪をとりのぞく道が「生産手段の社会化」にあることを述べています。

 その際「生産手段の社会化」と「人間の自由」との関係に焦点をあてて、両者が深く結びついていることを明らかにすることに一つの力点を置きました。「生産手段の社会化」によって、人間は「利潤第一主義」から自由になり、「自由な生産者が主役」の社会の実現に道が開かれ、貧困や格差から自由になり、恐慌や気候危機など無政府主義的生産のもたらす攪乱(かくらん)から自由になり、「人間の自由」が大きく拡大することを明らかにしました。

人間の自由で全面的な発展――「自由に処分できる時間」こそカギ
 つぎに第2の角度――人間の自由で全面的な発展について述べています。マルクス、エンゲルスは、『共産党宣言』で、社会主義・共産主義社会を、「各人の自由な発展が、万人の自由な発展の条件となる連合体」と特徴づけました。

 人間は誰でも自己の中に素晴らしい潜在的可能性を持っています。しかし資本主義のもとでは、それが実現できるのは一部の人に限られ、実現できないままに埋もれてしまうことも少なくありません。どうしたらすべての人間が自由に全面的に発展できる社会がつくれるか。これはマルクスが若い時代から晩年まで一貫して追求した問題でした。

 その保障をどこに見いだすか。マルクスは1850年代に入ってからの経済学の本格的研究の中で、十分な「自由に処分できる時間」を得ることこそ、人間の自由で全面的な発展のカギだということを突き止めていきます。

「自由な時間」と未来社会に関するマルクスの探究の足跡
 二つのテキストでは、マルクスの探究の足跡を時系列でたどってみました。

 ――マルクスは、1851年、大英博物館の図書館で、イギリスのチャールズ・ウェントワース・ディルクという評論家が匿名で出版したパンフレットに出会います。このパンフレットは、1日の労働時間を12時間から6時間に短縮することを提起し、富とはこうして人々が得ることができる「自由に処分できる時間」だという主張を行っていました。マルクスは、この主張に強い感銘を受け、ノートに詳細に記しました。

 ――マルクスは、1857年から63年にかけての『資本論草稿』の研究の中で、資本主義的搾取の秘密を解明するとともに、搾取によって奪われているものは何かを考察していきます。ここでマルクスは、ディルクの主張に立ちかえり、「自由に処分できる時間」という考え方を、自らの理論の根幹に据えていきます。彼が導きだした結論は次のようなものでした。

 “搾取によって奪われているのは単に労働の成果――「モノ」や「カネ」だけではない。「自由に処分できる時間」――「自由な時間」が奪われている。「自由に処分できる時間」こそ、人間と社会にとっての「真の富」だ。奪われている「自由な時間」をとりもどし、大きく広げ、人間の自由で全面的な発展を可能にする自由な社会を開こう。それこそが社会主義・共産主義だ”

 ――『草稿集』でのこうした探究は、『資本論』第3部に書き込まれた社会主義・共産主義論――人間がまったく自由に使える時間――「真の自由の国」を拡大することにこそ、「人間の自由で全面的な発展」の保障がある、「労働時間の短縮が根本条件である」という未来社会論に結実していきます。

 「自由に処分できる時間」こそ「真の富」だというマルクスの提起は、未来社会で初めて問題になることではありません。私たちは、マルクスの提起を現代日本の闘いにも生かすことが大切ではないかと訴えています。日本は、発達した資本主義国の中でも異常な長時間労働のもとにあります。「過労死」は依然として大きな社会問題です。賃上げと一体に、労働者の自由な生活時間の全体を豊かにするための闘争は日本で焦眉の課題となっています。

発達した資本主義がつくりだし、未来社会に継承・発展させられる諸要素
 第3の角度は、発達した資本主義の国から社会主義・共産主義に進む場合には、「人間の自由」という点でも、計り知れない豊かな可能性が存在しているということです。

 日本共産党は、2020年に一部改定した綱領で、発達した資本主義がつくりだし、未来社会に継承・発展させられる「五つの要素」として、(1)高度な生産力(2)経済を社会的に規制・管理する仕組み(3)国民の生活と権利を守るルール(4)自由と民主主義の諸制度と国民のたたかいの歴史的経験(5)人間の豊かな個性―をあげました。

 Q&Aでは、「五つの要素」のそれぞれについて、未来社会において「継承」させられるだけでなく「発展」させられるということに力点を置いて論じました。二つの点にしぼって説明させていただきたいと思います。

「高度な生産力」――ただ引き継ぐのでなく、新しい質で発展させる
 一つは、「高度な生産力」を継承・発展させるということについてです。気候危機との関連などから生産力一般を否定する議論もあることも念頭において、「生産力」をどう考えるかについて少し踏み込んで書きました。その中心点は以下の通りです。

 ――第1。資本主義がつくりだす高度な生産力そのものは、労働時間の抜本的短縮の条件をつくりだし、未来社会をつくるうえでの不可欠な物質的土台になります。

 ――第2。生産力とは、本来は人間が自然に働きかけて、人間にとって役に立つものを生み出すための「労働の生産力」ですが、資本主義のもとではそれが資本の支配のもとに置かれて、あたかも「資本の生産力」のようにあらわれ、搾取を強化したり、自然を破壊する力をふるいます。

 ――第3。未来社会に進むことによって、生産力は、「資本の生産力」から抜け出して、「労働の生産力」の姿をとりもどすことになるでしょう。未来社会は、資本主義がつくりだした「高度な生産力」をただ引き継ぐのでなく、新しい質で発展させるものとなるでしょう。その内容としては(1)「自由な時間」をもつ人間によって担われる(2)労働者の生活向上と調和した質をもつ(3)環境保全―これが私たちの展望です。

「旧ソ連、中国のような社会にならない保障は」という問いに対して
 もう一つは、「旧ソ連、中国のような社会にならない保障は」という問いにどう答えるかという問題です。Q&Aでは、こうした問いに対して、指導勢力の誤りとともに両者に共通する根本の問題として「革命の歴史的な出発点の遅れ」という問題があったこと、日本における社会主義・共産主義の未来が自由のない社会には決してならないという保障は、発達した資本主義を土台にして社会変革を進めるという事実の中にあることを強調しました。

 旧ソ連の歴史的失敗は、マルクス、エンゲルスの未来社会論の輝きを損なわせるものでは決してありません。私たちが取り組んでいる発達した資本主義国での社会変革の事業の中でこそ、それは真の輝きを放つだろうというのが私たちの確信です。

 ご清聴に感謝します。ぜひ忌憚(きたん)のないご意見をいただければと思います。


欧州訪問

2024年09月04日 14時48分50秒 | 一言
「共産主義と自由」めぐり理論交流
志位議長が識者と縦横に意見交換

 日本共産党の志位和夫議長は2日、ベルリン市内にあるドイツの進歩的シンクタンク、ローザ・ルクセンブルク財団本部で、同財団のビアバウム理事長の司会のもと財団の理論・労働・社会分野の専門家らと「共産主義と自由」について理論交流を行いました。


(写真)「共産主義と自由」をテーマに行われたローザ・ルクセンブルク財団との理論交流=2日、ベルリン

 この間の日本共産党の「共産主義と自由」についての理論・実践活動の中で、欧州の専門家と理論交流をするのは初めての試みとなります。

 志位氏は冒頭に「マルクス、エンゲルスの母国での理論交流は大きな喜びです」とドイツ語であいさつ。日本共産党が「共産主義と自由」をテーマに取り組みを強めている背景と動機について、1961年に党綱領路線を確立して以降のマルクスの理論の本来の輝きを現代に生かす探究の歩みを紹介。党の前進に対して支配勢力が繰り返しの反共攻撃で応えるという政治闘争の攻防の教訓を踏まえて、「共産主義と自由」についての真実を広く国民に伝えることを多数者結集の戦略的課題として取り組んでいると語りました。

 その上で、(1)「人間の自由」をキーワードに未来社会の展望を三つの角度から特徴づけたこと(2)「利潤第一主義」からの自由――「生産手段の社会化」と「自由」は深く結びついていること(3)人間の自由で全面的な発展と「自由に処分できる時間」こそ未来社会の基本原理でありカギであること(4)「自由な時間」と未来社会に関するマルクスの探究の足跡(5)発達した資本主義がつくりだし、未来社会に継承・発展させられる諸要素について(6)「高度な生産力」をただ引き継ぐのでなく新しい質で発展させること(7)「旧ソ連、中国のような社会にならない保障は」という問いについての回答―などを簡潔に語りました。

 参加者は、志位氏が最近出版した『Q&A 共産主義と自由』、『前衛』9月号に発表した論文『「自由な時間」と未来社会論』の二つのテキストの英訳を事前に読んだ上で「生産手段の社会化と自由の関係は?」「個人の発展と社会の発展の関係は?」「ケア労働と『自由な時間』との関係は?」などさまざまな角度から質問。志位氏が質問の一つひとつに回答し、活発な意見交換となりました。

 参加者からは、「二つのテキストは、労働時間の問題を未来社会の幅広い問題と結び付けて展開している大事なものだ」「マルクス、エンゲルスの『時間』についての深い考え方がよくわかった」「『自由な時間』についてのマルクスの探究を詳細に聞いたのは初めてのことだ」「『自由な時間』の解明は、刺激的で歓迎する」「『共産主義と自由』の問題は東独時代を経験したわれわれにとって中心問題だ」などの感想が出されました。

 また、「生産力を最大限に拡大する上でも、それが人間的なあり方と合致することが必要だ」「労働時間短縮の闘いは未来社会に向けた闘いにもつながっている」などの意見も出されました。

 ローザ・ルクセンブルク財団とは今後も理論面での交流を適切な形で継続することになりました。