明るい陽光のもとで氷河は覚醒し、溜息を吐いた。
目の前に、眠り呆けた淫獣の顔がある。
氷河は明るい陽射しに照らされる一輝の、空腹を満たしたライオンのような顔を見つめていた。
無防備な一輝の寝顔を、氷河は初めて見るような気がする。
昼は体内に宿したものから醸し出される気迫でそうは感じないが、やはり一輝は老けた。
よく見れば頬や眉間には深い皺が刻まれ、眠っているせいか、躯には張りがない。
少年期から、無理に無理を重ねてきた躯であった。
こうして見ると、一輝の体躯には額の傷をはじめ、様々な傷痕ががある。
その傷がどこで、どのような闘いで受けたものなのか、氷河は知っている。
かつてはその闘いの中に身を置いていた氷河であった。
だが、今の氷河の身体には傷一つない。
傷も思い出も病魔に蝕まれ、燃え尽きてしまった。
今の氷河は、白鳥星座の聖闘士の培養品に過ぎない。
不意に鋭利な刃物で突き刺されたような痛みが胸に走り、氷河は身じろいだ。
「氷河…」
一輝は腕を伸ばし、氷河の柔らかな髪に指を絡めた。
「よく眠っていたな」
一輝の掌が、氷河の頬を辿ってゆく。
「お前もな…以前はオレに寝顔など見せたこともなかったのに、お前も年を――」
そこまで口にし、不穏な空気に氷河は言葉を途切れさせた。
「お前は、学習せんヤツだな」
一輝に腕を摑まれ、氷河は身を強張らせた。
だが、氷河はすぐ平静を取り戻した。
昨夜、一晩――一輝は氷河の身体を捻じ伏せている。
昨夜のようなことはないはずであった。
「なんだ、本当のことだろう」
――ろう、といったときには、氷河はベッドに押し倒されていた。
「なにを…」
覆い被さってくる一輝に氷河は瞼を見開いた。
――まさか…!
と思った時には、氷河は圧し掛かってくる一輝に両手腕を押さえ込まれ、口付けられていた。
「続く」
目の前に、眠り呆けた淫獣の顔がある。
氷河は明るい陽射しに照らされる一輝の、空腹を満たしたライオンのような顔を見つめていた。
無防備な一輝の寝顔を、氷河は初めて見るような気がする。
昼は体内に宿したものから醸し出される気迫でそうは感じないが、やはり一輝は老けた。
よく見れば頬や眉間には深い皺が刻まれ、眠っているせいか、躯には張りがない。
少年期から、無理に無理を重ねてきた躯であった。
こうして見ると、一輝の体躯には額の傷をはじめ、様々な傷痕ががある。
その傷がどこで、どのような闘いで受けたものなのか、氷河は知っている。
かつてはその闘いの中に身を置いていた氷河であった。
だが、今の氷河の身体には傷一つない。
傷も思い出も病魔に蝕まれ、燃え尽きてしまった。
今の氷河は、白鳥星座の聖闘士の培養品に過ぎない。
不意に鋭利な刃物で突き刺されたような痛みが胸に走り、氷河は身じろいだ。
「氷河…」
一輝は腕を伸ばし、氷河の柔らかな髪に指を絡めた。
「よく眠っていたな」
一輝の掌が、氷河の頬を辿ってゆく。
「お前もな…以前はオレに寝顔など見せたこともなかったのに、お前も年を――」
そこまで口にし、不穏な空気に氷河は言葉を途切れさせた。
「お前は、学習せんヤツだな」
一輝に腕を摑まれ、氷河は身を強張らせた。
だが、氷河はすぐ平静を取り戻した。
昨夜、一晩――一輝は氷河の身体を捻じ伏せている。
昨夜のようなことはないはずであった。
「なんだ、本当のことだろう」
――ろう、といったときには、氷河はベッドに押し倒されていた。
「なにを…」
覆い被さってくる一輝に氷河は瞼を見開いた。
――まさか…!
と思った時には、氷河は圧し掛かってくる一輝に両手腕を押さえ込まれ、口付けられていた。
「続く」