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今回の話題はこの記事↓
東邦銀行がテレワーク試行導入
東邦銀行といえば福島県内トップの銀行。
業態的にも、書類作成や稟議、承認、決裁など書類回付業務は非常に多いと思われます。
また、社内定例会議も多そうですね。
求職者に未だに人気の地方主要銀行といえども、昨今の「働き方改革」により、柔軟で効率的な勤務形態が求められています。
ましてや優秀な女性が長期間働いてもらえる職場にすることは、もはや企業にとって対応が必須なものです。
つまりは「社外での業務遂行」が地方企業でどこまで実現されるかについてモデルケースとなりうる事案です。
対象は六つの部署の管理職や一般職員ら計18人とのこと。
また、対象業務は、
「企画、会議・報告資料の作成をはじめタブレット端末にて実施可能な業務」
とのことです。範囲が広いですね。
というより、「テレワークの試行導入」という題目と、資料作成がどう直接関係あるのかが不明です。
上で私は「社外での業務遂行」とあえて書きました。
これが今回の試行目的であれば納得なのですが、テレワークと書類作成は、業務としてはシーンが連続していたとしても、要素技術的には切り離されたものです。
そもそも、別の記事も読むと、「渉外担当者らが取引先を回る際に持ち歩いて使っている情報タブレット端末」というのがもともとあったようです。
それはこれまでどのような使い方をされてきたのか。
車内の書類をデータとして持ち出し閲覧できるだけなのか。
もしくは認証を通して社内の基幹システムに接続することもできていたのか。
いずれにせよ「書類作成」 は今回からのようなので、そういった使われ方はしてこなかったのでしょう。
となると、今回の試行は新しい要素が盛りだくさんではないでしょうか。
- 本人認証の使い勝手、情報漏洩やセキュリティリスクの評価
- 書類作成のためのツールとしてのタブレットのハードウェア性能評価
- 書類作成ソフトウェアの使い勝手の評価
- 書類回付(承認プロセス)のグループウェアの評価
- それら書類を用いたテレビ会議システム(もしくはWeb会議システム)の評価
- 会議システムを使うためのタブレットのハードウェア(マイク・スピーカ・カメラ)評価
- 会議システムの使い勝手(操作しやすさ、分かりやすさ)の評価
- 会議システムと書類閲覧・共有ソフトウェアとの相性評価
(もしくはそれらが一体となった会議システムであれば、書類登録・閲覧・会議記録保存等の評価) - 業務開始・終了エビデンスの取得、保管、信ぴょう性の担保等のガバナンス面
・・・たくさんありすぎてとても書ききれませんね。
おわかりのとおり題目の「テレワーク導入」は一部のトピックにすぎず、それ以外のもっとクリティカルな要素が満載です。
ましてやこれらの要素は、年齢や性別、利用環境、ITリテラシーなどにより変わるものであり、主観評価しかできません。
(もともと18人での調査とのことで、統計的評価はもとより系統的な分析も困難)
そうなると、何か課題があぶり出されたとしても、次のアクションとしてどの要素を改善して潰していくべきかの動きがとても難しいです。
どうせならもっと目的を絞って、たとえば
「テレワーク」による「仕事と家庭の両立支援」と銘打ち、
- 育児のために産休や時短勤務状態の女性社員を自宅から社内会議へ遠隔参加させる。
- 共有されるメディアは音声のみとして、カメラ前に居座る負担はかけない。
- それにより仕事から離れていても情報を共有でき、仕事に参画できるため、精神的なギャップも少なくフルタイムの職場復帰がしやすくする。
- ただし、勤務に対する報酬は支払われるため、意見を集約する、まとめるといった成果文書は提出させる。
- また、これにより同部署の他メンバーの負荷増大が抑制され、不満が減ったかどうかを匿名でアンケート回収する。
といったくらいまで突き詰めた設定があれば、効果や課題、その解決方法が見出しやすいのではないでしょうか。